第三回 動きだすの、大いなる物語。
――喩えるなら、白雪姫。
私なりの新解釈。千佳をモチーフとした白雪姫。鏡を見て、そう思ったの。
そこからの執筆となった。参考にできるものは元々の、童話の白雪姫。そして
何があったの? と思える程。
これまでのことが、嘘のようにも思えて、二通りの世界? 不思議な世界。
私は読み続けている。
彼女が執筆している『ウメチカ』を。……その執筆している作者こそが、
思えば、そうなの。――私は自分から、人に話しかけたことがなかったの。
きっと彼女もそうだと思っていたのだけど、彼女は自分から声を掛けてきたの。晴れやかなる笑顔も一緒に。天気の子より天気なの。天気の子……つまり私の名前の由来。
お母さんが付けてくれた名前。だから毎日、鏡で笑顔をチェックしている。
王妃が見る鏡は「世界で一番美しい人は誰?」なのだけれど、そうなら白雪姫が見る鏡はきっと……「よし、今日も笑顔」なのかもしれない。自分で自分を元気づけられる人。
私みたいに仮面ではなく、
私を笑顔にしてくれるような、……きっと、千佳みたいな子だと思う。泣いても、最後には笑顔になれる強い子。だから、私はあなたを目標にした。私はあくまで、ライバル。
私はね、あなたの王妃。だけど、毒入り林檎は使わない。
作品のために、あなたをじっと観察するの。なってもらうの、この世界の白雪姫にね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます