その4(2021/10/30)
……………@
「たいへんたいへんたいいへーん!! 大変だよ、繋ちゃん! ハロウィーン特別編がエピローグも合わせてあと二話しかないよ! どうしよ~~!」
「あんたら出だしはメタネタじゃないと始めれないんですか…」
「まあ、楽だから…じゃなくて! 大変なんだよ!今回でオチをつけなきゃ!」
「前回までで怪和崎さんが無駄に文字数を使ってくれましたからね、今の所、今回の流れしか掴めてませんよ、まったく」
繋ちゃんまで乗り始めたらいよいよ歯止めが利かないんだけれど…
…と、こんな話をしている暇すらないんだよ。本当に。
「…でも、本当に今日、不可思議事象は出るの? ハロウィーンのイベントとしての趣旨に問題があると言うけれど、死神の思い過ごしという可能性はないかしら」
御咲ちゃんが疑問を呈す。和服とローブと吸血鬼コスという面子、この田舎ではあまりにも目立ってしまうなあ。
「確証とまでは言いませんが、可能性がある事には他なりません。それに、あなた方はこういった用事でもなければ外に出ることもないでしょうし」
「そう…」
気使ってくれてるのかなあ…
「…民家をパトロールするのはいいんだけど、飾りつけを取り上げたりどかしたりって言うのは、ちょっと強引じゃない? だいいち、明りが付いてても適応され…」
ピロリロ、ピロリロ、ピロリロ————
と、ここでわたしの携帯が鳴った。
電話の着信ではない、メールだった。FROM・鋏先輩。…
『齋兜はゾンビのコスプレだったんだが、粮香と倪祠仲くんは何か予想しようぜ!』
「知らねえ~~~」
というか、まだ応援を呼ぶつもりなのか…四人で充分な気もするけど。
…まあ、ハロウィーンだからなのかな。
「お、ありましたね」
雑念が降り積もるうちに、三人で歩き回っている理由を忘れかけていたが、繋ちゃんがあることに気が付く。
だん、だん、だん…雪だるまのように重なるジャック・オー・ランタン、てるてる坊主のような幽霊、そして雑多に置かれるくり抜かれないカボチャ。
…なかなか手が込んでいる…ハロウィーンの飾りつけ。事実上イベントへの参加を意味するこの行為は、「死者に紛れる行為」であり、「死者を迎える行為」である…つまり、不可思議事象と関わりが生まれる発端となり、あれらに襲われる可能性が生まれる発端となる…。
「それじゃあ、…どうするんだっけ、どかすの?」
「ええ、それだけで効果はあるかと」
「それじゃあ、私がやるわ」
「おおう…積極的だね」
「どかすって、どこへもっていけばいいの?」
「玄関でなければ条件を外れるはずなので、庭に移動するだけで充分かと」
「バッチグー。オールオッケー」
問答無用のいたずらが始まる。
なかなか派手な作業になるから、人目に付かないといいのだけど…
どさどさどさ、と…
「取り合えず…止めた方が良いんですかねぇ…僕は、正直言って困惑している」
「!!」
かしましい編成のパーティに、いきなり男の子の声が響くので、全員の警戒心が一気にMAXになる。…まだ敵性不可思議で居続けるつもりなのか、鋏先輩達の中学校時代の後輩、
「そんなことで、不可思議が出る訳ないだろう…先輩の先輩たる部分が発揮されてるというかなんというか…ただ単に、家の人に迷惑がかかるだけでしょうに」
「つ、繋ちゃん、どういうこと…?」
「まさか、信じませんよね? 寄垣さん…塑斗河は不可思議ですよ」
「それはそうだけど…」
なんだ、急に疑念が生まれて来たな。当然、普通の流れなら繋ちゃんを信じるけれど、塑斗河くんの正論も今更否定することは躊躇ってしまう。
…いや、本当に今更なのだが…そもそもをここで揺らがすのか?
「どう思う? 御咲ちゃん」
「いや、私に聞かれても…」
さすがに不可思議のプロフェッショナルとは行かないか…。
「そうだ、携帯電話を使おう!」
ガラケーを最近初めて持った人みたいな気づきだ。
鋏先輩ならともかく、わたしが判断を下すことはとても出来ない…。
ポロロロロ…
電話をかける…
「ってオチこれ!? ちょっとまって? 今回でオチついてなくない!?
ちょっと~!!」
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