第3話 書籍化が決まり、現実を知る。

書籍化が決まり、もしかして夢の小説家になれるのではないかと夢想しました。

そして、書籍化作業が始まりました。

出版社は宝島社様、イラストはTEDDY様です。

書籍化が決まったことで、色々な方と出会い多くの事を教えてもらいました。

また、自分で出版業界を調べもしてみました。

そこで現実を知ったのでした。







小説家でやっていく事の難しさ。高い確率で暗黒騎士物語は1巻で終わるという事を。







何故、そう思ったかというと理由は2つあります


1、そもそも、暗黒騎士物語の評価は高くない。

2、紙での出版は衰退傾向にある。


1については当たり前の事だったりします。

過去に何度か賞に応募したが特に何もなかった。

第4回にも応募したが、1次にも引っかからなかった。

要するにたまたまポイントが高くなったから書籍化できたというわけです。

ポイントが高い作品は他にもあり、この小説の代わりはいくらでもある。

実際は違うかもしれませんが、自分は書籍化作業中にそう感じてしまった。





しかし、出版社としては仕方がない事です。

その理由が第2の理由です。

調べてわかったのですが紙媒体の出版は減少傾向にある。

とにかく本が売れなくなって来ている。

なのに費用は変わらない。

書店に本を並べる為にどれだけの費用が必要となるのか、書籍化が決まるまで調べる事すらしませんでした。

ヒット作が出ないと利益が出ない。

出版社としては、本を出さなければならないが、全く売れそうにない本は出せない。

小説家になろうで高ポイントの作品なら売れないリスクは少ない。

宣伝しなくても一定の読者がついている。つまり、宣伝するための費用も少なくて済む。

そのためポイントが高い作品、ランキングで上位に行く作品を書籍化するわけです。

余裕のない出版社としては仕方がないのでしょう。

売れなければ打ち切らなければならない。

これは紙媒体の出版が衰退していなくても、当たり前の事ですが、さらに余裕がない状態になっている事は間違いありません。

余裕がない以上、出せる本にも限りがあり、ただ売れる作品ではなくヒット作を求めている。

また、何がヒットするかわからないから、ポイントの高い作品を書籍化する。

それが出版業界の現状。



そして、売れる自信は全くありませんでした。

暗黒騎士物語を高く評価して下さる方もいるが、万人に受けるかと言えば多分違う。

自分の好みの事ばかり書いているのだから当然です。

それに良く考えてみたら1200円は高い。

これは単価を高くすることで利益を出そうとしているらしいです。

この値段はダウンロード販売のゲームが1つ買えてしまうかもしれない。

昔はゲームの値段が高かったですが、ダウンロード販売により安くなり相対的に紙での小説の値段が高くなってしまった。

これも、第2の理由の1つでしょう。

スマホの普及で様々な娯楽コンテンツがネットで安く提供され、相対的に紙の小説が割高になり、売れなくなる。

消費者のお金にも時間にも限りがある。

より良く、安く楽しめるものにお金と時間を使う。

絵があり音楽があり、遊べるダウンロード販売のゲームと同じだけの価値を示せるのだろうか?


また、書籍化段階で暗黒騎士物語は100万字を超えていました。

これは小説10冊以上の文字数になります。

そして、どの小説も長編なら1巻が一番売れ、次第に売上が落ちていく。

例え2巻が出せても、その後続く可能性は低く、全てを書籍化する事はない。

自分は長編を書きたい。大作を書きたい。

おそらく200万字を超える事は確実でした。

その全てを紙媒体で書籍化したら、とんでもない費用になる。

出版社だって、よほど売れる見込みがなければ出し続けようとは思わないはず。

そして、暗黒騎士物語の評価は高くない。

確実に中途半端で終わる。

書籍を出してみたい気持ちもあるが、中途半端に終わるものを出しても良いのか?

現実に直面しました。

そんな不安を感じながら書籍化作業は続いていったのです。



※注意)電子書籍は伸びているらしいですが、2018年の時点での宝島社様は電子書籍に前向きではないので関係がなかったりします。

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