第4話スキル②



近接戦闘のスキルは一通り試したけど[龍魔法][龍の威圧][龍の翼]をまだ試していない。



ここからは現実でも経験のないことなのでマニュアルに従う。



まずは[龍の威圧]から。


これは脳内でスキル名をいいながら対象を睨みつけることでスキルを発動させる。


睨むといってもそれっぽく顔をしかめていれば問題ないらしい。できるだけ威圧してる風に。


「(龍の威圧!!)」


脳内で叫ぶ。そして思いっきり顔をしかめる。



そうすると周囲は途端に張り詰めたようになるが、特に変化などは見受けられない。


相手の一時的なステータスダウンを図るこのスキル。自分より格下の角ウサギ相手にはあまり意味はなかったみたい。


もともと低いステータスなのにそこからさらに低くなっても気づかないということだ。



目に見えての効果がわかりづらいこのスキル。その後何回か試してみたものの効果があったのかどうかナギにはわからないのであった。





「次は[龍魔法]か。」


種族固有スキルの中に唯一あった魔法スキル。


小説や漫画の世界には必ずといっていいほど出てくる魔法という存在。


さすがゲーム。ここまでリアルに再現するなんてなかなかすごいと思う。


そして龍という種族として使う魔法は、通常よりも威力は高いらしい。


さぁ!試し打ちだ!



「確か、口からも手からも出せるんだったよね...?」


魔法といえば手や杖から出しているイメージが強い。最初は手から出してみることにする。



「属性は、、、最初だから炎で行こう。」



正確には火属性だが。

龍のブレスといえば炎でしょ!


手のひらに魔力を集めると、イメージで炎を生成される。


「おぉ!火が出た!」


生成されたそれを色々な角度から眺め、魔力を際限なく集めた手のひらごと前方に突き出す。


それが間違いだった。






手のひらから火炎放射が勢いよく吹き出し、前方にあるあらゆるものを燃やし始めた。


草原の草木が燃やされ、石も焼かれていく。


当然ナギの前方にいた角ウサギも例外なく焼かれていく。



「・・・・・・あ。」



気づいた時には辺りは燃やし尽くされ、ウサギも全て光の粒子となって消えていくところだった。


気づけばレベルがさらに3も上がっていた。

ステータスポイントも52ポイントはいっていた。1レベルアップごとに10ポイント、角ウサギ一体に対して1ポイントだ。


なんと22体も倒していたようだ。このポイントもすぐに振り分けた。


燃やし尽くしてしまったため角ウサギは素材も取れないためドロップ品もなし。




レベルを上げてモンスターと戦ったりプレイヤーと戦ったりするのがこのゲームの本質ではあるものの、流石にこれはやりすぎな気がする。


しかもこれは口から出すとさらに威力が上がるという。


これ以上になるとか、僕に何をさせようというのか。


「・・・しばらくは使うのを控えようかな?」


レベル上げにはとてもいい気がするが、少し自粛しよう。




もちろん時間経過で草原もウサギも復活するのだが、ナギはなんともいえない罪悪感に苛まれるのであった。






「さ、さぁ!最後は[龍の翼]だ!」


これは背中に龍の翼を出すスキルだった。


もちろん飾りじゃないよ!空を飛べるやつ。


発動させると背中からスルスルと自身の身長よりも大きな翼が生えてきた。


「おぉぉぉぉぉぉ!!!!つ、翼が生えてるぅぅぅ!!」


今までにない翼の感覚に驚きを隠せず声を上げる。


翼の動かし方はマニュアルに書いてあった。

流石に現実にない部位を動かすのは自力じゃ無理だった。



マニュアルに従って数回羽ばたかせる。


「おぉぉぉ.....!」



感動して語彙力が乏しくなってきた。こればっかりはしょうがない。


今のはただ羽ばたいただけだから飛びはしなかった。


これは練習。さぁ!飛ぼう!


ナギはそうして思い切りジャンプをしながら翼を羽ばたかせた。


ナギの体は空中に飛び上がる。複数回羽ばたかせるとその度に上昇し20メートルほどで止まった。そこで羽ばたきを続け滞空する。




これが飛ぶ感覚かっ!!


ナギは楽しくなり周囲を飛び回る。上昇、下降、旋回。気の済むままに飛び回った。


数分経つと翼にだいぶ慣れた。これなら咄嗟の事態であっても飛ぶという選択肢が取れそうだ。


そこからは気が済むまで空を飛び回った。






しばらく飛んで気が済んだナギは地面へ降り立ち翼をしまう。



「現実の体にもあればよかったのに。」


学校へ行くのがすごく楽になりそう。



しばらく飛んだ後にナギが抱いた感想はそんなものだった。



*************************************************************************************



「そういえば、ある程度やることが終わったらレベル上げっていうのがいいって達也が言ってたな。」


ナギは達也から言われたことを思い出していた。


常にトップに君臨するプレイヤーは暇があればレベル上げをしている。



そのプレイヤーたちに追いつきたいのであればレベル上げを頑張るしか方法はないと達也は言っていた。


少しでもステータスを上げておき、戦えるようにする。



いつか戦わなければならない日が来ても即敗北というのは避けたい。



というわけでこれからレベル上げをやっていきます。



ウサギはレベル上げにはとことん向かないらしい。初心者用モンスターのため取得経験値が他のモンスターと比べてとても少ないからだ。



というわけで森にやってきました。



「さぁ!張り切っていくよ!!」



そこからナギは時間が許す限り森のモンスターを狩り始めた。


ナギは次々に飛びかかってくるモンスターを流れるように捌いていく。


蹴り、殴り、斬り、刺し。スキルを活かし効率的にモンスターを狩っていくその姿ははたから見れば踊っているようにも見えるだろう。



それほどまでにナギの舞踊のようなモンスター狩りは綺麗だった。







一体どれほどの時間が経ったのだろうか。



ーーーピコン



「お?」



突然の通知にナギは狩りの手を止める。


通知は達也からだった。


文面は、今から合流しないか?とのこと。



時刻は17時30分。そろそろログアウトして夕食を作り始めるべきかもしれない。


このままレベル上げをやっていたかったが、これは夕食後もできる。

今は一旦ログアウトしよう。


そう考えるとナギは達也に一度ログアウトする旨を伝えると、夕食の準備のためにログアウトしていった。




自身の部屋にて目を覚ました渚はなんともいえない充実感に包まれていた。



こんなに興奮したのは久しぶりかもしれない。



「早く続きをやりたいなぁ・・・・!」



そういうと渚はご飯を作るためキッチンへ向かっていった。




*************************************************************************************





「ほう?なかなか面白いやつがいる。数時間であそこまでこの世界に順応するとは。」




遠目からナギを眺めていた●●●は感嘆の声をあげる。




「あやつなら耐えられるかもしれんな。」




彼はそういうと暗がりへと消えていった。







名前:ナギ

種族:龍種

性別:女

所属ギルド:なし


Lv.8


HP:120

MP:205


STR(筋力):70

VIT(生命力):40

AGI(敏捷性):115

INT(知力):80

MND(精神力):65

LUK(運):18/100


満腹度:85%


所持スキル(戦闘):

〔龍魔法〕Lv.3(種族固有)

〔龍の爪〕Lv.9(種族固有)

〔龍の威圧〕Lv.1(種族固有)

〔龍化〕Lv.0(種族固有)(未解放)

〔格闘術〕Lv.10



所持スキル(日常)

〔龍の翼〕Lv.3(種族固有)

〔身体強化〕Lv. 3

〔MP回復強化〕Lv. 2



種族特性:

《龍の鱗》・・・物理攻撃力上昇及び物理、魔法攻撃力耐性上昇。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る