第2話キャラメイク
『それではキャラメイキングを開始します。当ゲームでは現実の体を元にアバターを作成するため、現実との差が大きいアバターは設定できません。性別等も変更できないためご注意ください。』
種族のことはどうやらこのままでいくらしい。基本は人型なので人間に種族の特徴である耳や尻尾がつくといったかたちである。詳しい説明は能力設定の時に詳しく聞けるそうだ。とりあえずアバターを決めてしまおう。
現実と差が大きいのが無理ってことは....身長を伸ばしたり今より男っぽく体型を変えることもできないってことか。
諦めるしかないのかな。この容姿。
髪型は現実ではショートボブなのだが、変更はしなくてもよさそうだ。
むしろここから更に髪を長くすると本当に男に見られなくなる。それはよくない。
僕の精神的に。
男の子っぽく短髪にしようとしたら『あなたはこれ以上短くできません』とアナウンスが流れてきた。性別的に無理なのだそうだ。
男でこれ以上短くできないんだったら現実でこれより短髪な男子諸君はどうすんのさ!?
まぁできないものにどうこう言ってもしょうがないのでここは諦める。
「髪の色はどうしようかな?」
髪は...現実では黒髪なので思い切って銀髪にしてみようと思う。やっぱりゲームっぽさを出さないとね。ゲーム内で現実と全く同じ姿なんてあり得ないって達也と香織も言ってたし。ポチポチっと。これでよし。
「肌は、、、特に変えなくていっか。」
髪色を変えたからだいぶ現実との差が出ている。これならば現実の僕とばれることはないだろう。
外見は終わった。次はステータスかな?
『次に初期ステータスの設定を行います。初期ステータス構築用として200ポイントを全プレイヤーに与えています。ご自由に振り分けてください。』
どうやら割り振りは自分で決められるらしい。STRとAGIは高い方がいい気がするから多めに上げておこう。他はそれなりに設定しておいてと。
ポチポチポチ、これでよし。
『次にスキルの設定を行います。次の初期スキル一覧の中からスキルをお選びください。戦闘スキル、日常スキルどちらでも構いません。選べる数は最大10個までです。今選択できなくても初回ログインから5日間であれば再選択することが可能です。』
一人10個もスキルが選べるなんて運営さんは結構大盤振舞い!しかも期限付きとはいえ再選択ができるなんて!
渚はスキル一覧を覗く。おお!いろんなスキルがある....
『【特異種族】を選択された方は種族の固有スキルがスキル枠を消費して自動で追加されています。ご確認ください。』
おっと!!?固有スキル!なんか強そうだ。
ええと、種族固有スキルは...[龍魔法][龍の爪][龍の翼][龍の威圧]そして[龍化]だ。名前を押すと詳細が出てきた。
龍魔法とはブレスのことだ。各属性のブレスを詠唱なしに撃てるらしい。口からだけでなく手からも撃てるらしいが、龍のブレスなので口から撃つ方が威力は高いらしい。
ポ○モンで例えるなら全タイプのはかいこうせんを反動なしで撃てるというもの。
まぁレベルが低いうちは威力も大したことないみたいだけど。
龍の爪とは、長く伸びた龍の爪を武器とするスキルだ。爪が剣などといった武器と同じ扱いになるためMPの消費はない。近接戦闘用のスキルだ。
龍の翼とは自身の背中に龍の翼を出すというもの。翼は空を飛ぶこともできるし翼で叩くといったこともできるようだ。そしてとてもデカい。
龍の威圧とは、龍として威圧をするスキルだ。レベルがスキル使用者より低いもののステータスを5%低下させるものだ。効果時間は10分。ただしスキル使用者よりレベル、MNDともに高いものには効かないようだ。
そして最後に、、、龍化だ。
これは巨大な龍になるというスキルだ。制限時間は20分、MP消費は激しいもののスキル発動中は全ステータスが20倍になるというもの。しかし反動でスキル発動後はMPの自然回復の速度が10分の1になるそうだ。
ただし、この[龍化]レベルが30になるまでは使用できないようだ。現在はスキル枠に存在するものの未解放となっている。
これらが初期スキル枠10個のうち5つを埋まっているわけだ。
うん、現時点で戦闘スキルはあまり必要なさそうだ。だって固有あるし。
でも武器を持って戦ってみるのもありだな、、、、なにがあるのかな?
剣、盾、槍、斧、槌、棍、杖、弓などなど、、、
う〜〜ん、、あまりいいのないなぁ。
よし、[格闘術]にしよう。
こう見えても近所の道場で格闘技を習っているからね。下手に武器持つより素手の方が戦えるんだ。
僕は容姿がアレだから護身用に格闘技を習ってたんだけど、あの道場って本当に色々なことするんだよね。格闘、武術、体技。他にも“気配の消し方“だったり“足音の消し方“という忍者のようなこともしていた。この平和な世の中でそんな技術使わないよっていったんだけどね。
師匠いわく「念には念を」だってさ?
熱心に学んだおかげで道場の中で唯一免許皆伝して今は門下生に教える側になってるんだけど。
...話が逸れてしまった。
話は戻るけど、爪だけだと物理的な攻撃力は少ない気がする。PvPの時に爪で刺したりしてたら怖いでしょう?
武器は後で考えよう。武器は爪があるし。
というわけで日常スキルを選んでいこうと思います。
格闘術のスキルを取ったから物理的な攻撃力高くした方がいいのかな?だとしたら[身体強化]。
あとは[MP回復強化]かな。龍魔法はMPの消費激しいみたいだし。最初に取っておいて[龍化]解放される前にレベルあげとこう。
あとは、、、何か取る必要ある?別に今とらなくても5日間であれば再取得可能だし、今はこれでいいか。運営さーん、終わりましたよー。
『それでは最後にプレイヤー名を決めてください。』
名前かぁ、、、本名と違いすぎても自分が呼ばれてるのか分からなくなりそうだね。それじゃあ、、、。
「“ナギ“っと」
なぎさって名前だからナギ。わかりやすくていいよね!
『これでステータスの設定が終了しました。それでは始まりの街、〈コメンザンド〉へ転送いたします。どうぞ『Liberal Online』をお楽しみください。』
こうしてナギは真っ白な光に包まれた。
目を開けるとそこは賑やかな街の中だった。中世ヨーロッパのような建物が並び、たくさんのお店が並んでいる。街の外側は草原地帯になっているらしいが、外壁で見えない。その街の中心にある噴水の前にナギは立っていた。
初めて体験するVRMMOの世界観にナギは圧倒されていた。第三者に本物の異世界だと言われても納得してしまいそうなほど視界に入る景色は現実味を帯びていた。
これがVRMMO...想像よりもはるか上のクオリティにナギの開いた口が塞がらない。これほどの世界を再現するのはどれほど大変だったのだろう。機械初心者のナギには想像もできない。
サービス開始初日だからなのか周囲には自分と同じような装備の人がたくさんいた。一部全身鎧の人や魔法使いのようなローブを着ている人もいる。
おそらくβテスターなのだろう。達也と香織がいっていた。βテスト経験者はその時作成したアバターやステータスをサービス開始後も継続できると。特別特典というやつらしい。
または今日のサービス開始後の数時間だけでそのレベルまで育てたという可能性もある。これができるのは余程の廃人ゲーマーのみだろうな。
さて、気を取り直して色々確認してみよう。
頭上には自分がプレイヤーだと表す緑色のマークのようなものが浮かんでいる。周囲のプレイヤー全員の頭上にも浮かんでいた。色が全員同じなのは仕様かな?
目線の左上には常に自分の簡易ステータスが表示されている。HPとMPは残量がわかりやすいようにゲージとして表記されていた。
上から順に眺めていたら性別の欄でナギの視線は止まった。あれ?
名前:ナギ
種族:龍種
性別:女
あはは、、、、おかしいなぁ。僕の見間違いだこれは。きっと夢でも見てるんだ。
一度目を瞑り自分の頬を思いっきりつねる。うぅ、痛い。だがこれで夢も覚めただろう。もう一度確認する。
名前:ナギ
種族:龍種
性別:女
なにも変わらない。
なんとなく予想はしてた。
現実が女の子みたいな外見だし、アバターの外見はほとんど変えられないから多少女の子っぽくなるだろうなとは思ってた。
こんななりでも男なんだよ。僕。
なのにさ........
「.....どうして女の子になってるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!?」
こうして世界初機械からも女の子と間違えられる男の子、いや
【男の娘】ができたのであった。
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名前:ナギ
種族:龍種
性別:女
所属ギルド:なし
Lv.1
HP:50
MP:100
STR(筋力):35
VIT(生命力):30
AGI(敏捷性):60
INT(知力):30
MND(精神力):35
LUK(運):10/100
満腹度:100%
所持スキル(戦闘):
〔龍魔法〕Lv.1(種族固有)
〔龍の爪〕Lv.1(種族固有)
〔龍の威圧〕Lv.1(種族固有)
〔龍化〕Lv.0(種族固有)(未解放)
〔格闘術〕Lv.1
所持スキル(日常)
〔龍の翼〕Lv.1(種族固有)
〔身体強化〕Lv. 1
〔MP回復強化〕Lv. 1
種族特性:
《龍の鱗》・・・物理攻撃力上昇及び物理、魔法攻撃力耐性上昇。
称号:
なし
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