番外編① - 予測と結果の狭間で
日本月光党、超能力者管理委員会・委員長 葉山順也。またの名を〝不協の十二音〟 指揮者・〝
まず起こりうる結果を推測し、2択以上の選択肢を創り出して答えを選択する。実際に起こった事象と葉山が選択した回答が一致した場合、その結果までに対象が辿った過程を知ることができる。
回答形式や問題を複雑化することで知ることのできる過程の内容が変化する。その内容は事前には分からず、葉山のサイクスに判断が委ねられる。
①対象者とその期間を決める
②〝インナー・サイクス〟の状態で選択肢の設定と予測を確定する
③発動後はサイクスの使用を許可されるが、直接サイクスを使って対象者を自らの予測へ導くことはできない。言葉を使って巧みに誘導することのみが許される(ただし、脅迫は除く)
この超能力(葉山はこの一連の流れを〝ゲーム〟と呼んでいる)が予測に結果を引き寄せると言われる所以は葉山の予測が正しかった後にある。
選んだ選択肢と実際に起こった事象が一致した場合、葉山は『選択しなかった推測』へと過程を無視して結果を変更することができる。
ただし、葉山の予測が外れると1つ前のゲーム(2時間前以内)において結果を変えている場合、元の結果へと引き戻される(葉山が知った過程には影響が及ばない)。結果の変更を適用していない、又は前回のゲームが2時間以上前の場合は影響されない代わりにサイクスを2時間使用できなくなる。
④もし〝
⑤〝
発動した超能力は最低でも演奏される音楽が終わるまで使用し続けなければならない。超能力の併用をすることは不可能で、一度使った超能力を再度使用するには一度現実世界へ戻って再び〝
葉山は超能力者管理委員会においても暇つぶしに〝
まず欠席した第3回超能力者管理委員会から第4回超能力者管理委員会開始30分前に期限を定め、日月党を除く4党に派遣されたメンバー(4×3=12人)に対象を設定した。
その後、葉山は『葉山の動向を超能力を使って探り、行き先を特定した(A)』、『葉山の動向を超能力を使わずに探り、行き先を特定した(B)』、『葉山の動向を超能力を使わずに探り、行き先を特定できなかった(C)』、『葉山の動向を探らない(D)』の4つの選択肢を用意した。日陽党(A)、日光党(A)、自由党(C)、異共党(A)としてさらに4つの回答全てが正しかった時のみを正当とすることで難易度を上げた。
結果、葉山の推測は全て正しく、各党が辿った過程を知った。この時、4択であったことも加味されて使用された超能力、白井と木戸の超能力(異共党は派遣された議員以外の超能力を使用したために対象外として知ることはできなかった)を知ることが可能となった。
(僕の予測を上回ってくる党はありませんか……)
葉山は自由党の結果を(B)へ変更し、全ての委員会メンバーが月島姉妹と接触を図ったことを分かっている状態にした。
(期限をこの委員会終了後、対象を日月党を除く全てのメンバーと定める。九州地方を取りにくる(a)か否か(b)の選択肢を定め全て(b)と推測する)
葉山はこれまでの委員会でメンバーの力量を見限っていたが『月島瑞希』というワードに注目される中、冷静に状況を判断して九州地区の重要性に目を向けられる者はいるのか試すゲームを気まぐれに開始したのである。
白井は北海道地方・近畿地方・関東地方を既に有したことで満足感を示しており、葉山の発言に驚きを持ったものの全く疑念を抱く様子はない。
(やはり白井さんは単純ですねー。扱いやすい)
葉山は嘲笑する。また、他の党も目立った動きがないことから諦めて自ら九州地方を希望した。
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「我々日本光明党も九州地方を希望しようと考えていました」
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石野の言葉により、葉山の推測は外れた。これにより1つの前のゲームにおいて葉山は国民自由党の結果を変更していたためにこれがキャンセルされ、国民自由党は葉山の行き先を知らない状態となった。
*****
「差し支えなければ葉山委員長、前回はどのようなご用だったのですか?」
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これが伊田の発言に繋がった。
(非超能力者である石野さんが九州に目を向ける余裕があるとは……面白い存在になるかもしれませんねぇ)
葉山は不気味に笑って車に乗り込む。
本人は〝
使い方を間違えれば自分にもどのような混乱が訪れるのか分からない。そのリスクと不確定要素が葉山に、〝
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