第33話 女性陣躍進の件
その頃、エーメイに連れられた女性陣は地下一階でレベル上げに勤しんでいた。
現在のレベルは、エルが28、サヤが39、マコトが40、アカネが41、フィオナが32、ツキミが19らしい。
エーメイは先ずはツキミ、エル、アカネの三人を前に出した。
エルは前衛、ツキミは槍なので中衛、アカネを後衛として連携を取るように言う。
「この地下一階には入口近辺に小鬼リンガ、中程に中鬼リンガ、最奥に大鬼リンガがいる。地下二階への階段は最奥にあるから、そこを目指して行こう」
リンガは大中小で危険度が違う。小鬼リンガは体長一メートル半位で、気をつけて対処すれば、一般人の男性なら一対一でなら何とか倒せるだろう。しかし、小鬼リンガは大抵三~四体で行動するから、一体だけに遭遇する事は先ずない。
中鬼リンガは体長が二メートルあり、単独行動を好む傾向があるが、膂力に優れこん棒を使用した攻撃は当たれば普通に死ぬ威力がある。
大鬼リンガは体長は二メートル半~三メートルあり、大きさの割に素早く動いて槍を使って攻撃してくる。ごくわずかだが、身体強化を使える個体もおり、そうなると並の冒険者では太刀打ちできない。
そして、大中小リンガに共通なのは、人間の女性はその全てが性的対象になる所が危険なのだ。
人間の女性を見つけたリンガは、何とかして見つけた女性を犯そうと考えて行動をする。気絶させて、自分達の
「いたわ、前方八メートルの位置に小鬼リンガが五体!」
エルが見つけて後方の二人に報告する。向こうもエル達に気がついて興奮しながら向かって来ていた。その出鼻を挫く為にアカネが魔法を発動する。
「皆、目を瞑って! 爆裂光!」
アカネが発動した魔法は小規模な爆発を伴う強烈な光だ。こちらに向かって来ていた小鬼リンガの目の前で発動した為に、リンガ達は目をおさえて呻いている。先頭にいたリンガに至っては爆発を受けて気絶しているようだ。
エルとツキミは指示通りに目を瞑ってその前に手を翳していたので、光の影響はない。
「今よ!」
アカネの言葉に走り出すエルとツキミ。
エルは走りながら二体の小鬼リンガの首筋を斬る。ツキミは気絶しているリンガの胸を刺して仕留める。残る二体もエルが首筋を斬り、ツキミが胸を刺して仕留めた。初めてとは思えない見事な連携だった。エーメイが褒める。
「いやー、素晴らしい! 初めて組んだとは思えない位の見事な連携じゃあ! 特にアカネちゃんの魔法の判断が良かった。その後のエルちゃんとツキミの動きも良かったぞ! パーティー契約をしてあるから、誰が止めを刺したかに関わらず、皆に平等に経験値が蓄積されるから、この調子でドンドン行こう!」
そのエーメイの言葉に顔を見合わせて微笑み合う三人。そして、小鬼リンガの領域を出る頃にツキミは一つレベルが上がった。
「あっ! 一つレベルが上がりました!」
ツキミがそう言うと、アカネが
「おめでとう、ツキミさん。私達はまだのようだけど、中鬼リンガで一つ上がる感じかしら」
とツキミを祝福して自分とエルは中鬼リンガで一つ上がるだろうと予測した。
そしてその予測は的中する。中鬼リンガを七体倒した時にエルがレベルを上げ、十二体倒した時にアカネがレベルを一つ上げた。
そこでエーメイから指示が出た。
「よーし、三人共にレベルが一つ上がったようだから、交代しよう。今度はサヤちゃん、マコちゃん、セレちゃんの三人じゃ! サヤちゃんとセレちゃんの二人が前衛で、マコちゃんが後衛で行ってみよう! こちらも初めて組むから連携を考えて行動しよう!」
そして、交代した三人。サヤとフィオナの二人前衛はかなり強力だった。マコトが主に土魔法で中鬼リンガの足元を崩すと、そこに駆け込み一振で倒す二人。中鬼リンガの領域を後少しで出るという頃にフィオナのレベルが一つ上がった。
そしてそのまま大鬼リンガの領域に突入!
大鬼リンガは中鬼リンガと違い、土魔法で足元を崩しても素早く反応するために、マコトは雷魔法で槍を持つ両手を狙った。
痺れて槍を落とす大鬼リンガをサヤが胴体を、フィオナが首筋を斬り絶命させた。
大鬼リンガ五体目でサヤが、八体目でマコトのレベルが上がった。
そこでまたエーメイから指示が出た。
「よーし、それじゃあセレちゃんは下がって前衛はサヤちゃん一人で、中衛にツキミが入って、マコちゃんはそのまま後衛じゃ!」
言われた通りに入れ替わり、ツキミは大鬼リンガ三体を倒した時にレベルが上がった。
しかし、他の五人に比べるとまだレベルが低い為に、そのまま大鬼リンガの領域を出て、地下二階に向かうまでは交代無しで進む事になった。
「やった! 上がったわ!」
サヤがそう言ってレベルがあがった事を言うと、エーメイがすかさず交代を告げた。
「よし! サヤちゃんは下がってエルちゃんが入るんじゃ! マコちゃんはもう少しで上がるかな?」
エーメイはそう言いながらアカネを見た。アカネさんはエーメイに頷く。それを見たエーメイはフィオナに聞いた。
「セレちゃんはマコちゃんがレベルを上げたら後衛を交代して、魔法で攻撃じゃ! それで地下一階は終わりになるじゃろ」
エーメイの言葉通りに事は進み、マコトもレベルが上がった時点でフィオナと交代して、最奥の領域までたどり着いた一行。
しかし、階段手前に思わぬ敵が待ち構えていた。
「おお、こいつらが湧いておったのか!? そりゃあリンガどもが増える筈じゃ」
エーメイがそう言っているのには訳があった。皇鬼リンガと皇女鬼リンガのリンガ最上位種が待ち構えていたからだ。
エーメイから指示が飛ぶ。
「ここは、全員で対処するぞ。先ほどの連携を思い出しながら、各自が有効な行動を取るように!」
そこでアカネが先制した。
「皆を強化するわ!
続けてマコトが皆の武器に付与魔法を唱えた。
「皆、武器を掲げて! 行くよ、
そして、それぞれが自身の身体強化を行う。最上位種ではあるが、A級下位の皇鬼リンガ達は六人の強さに翻弄されて、倒された。
そして、六人共にレベルが上がった。目標だった二つレベルを上げるというのは達成したが、折角なのでこのまま地下二階も行こうという話になり、意気揚々として向かう女性陣だった。
女性陣がパーティー契約出来ているのはエーメイのスキルのお陰である。それがない男性陣は個別でしか経験値が入らない為に少し苦労するのだが、経験値が地下一階や二階よりも多く入る魔物がいる、地下三階、四階に行かしたので、目標は達成出来る筈だとエーメイは考えていた。
しかし、エーメイも思っていなかった敵が地下一階に出て来たので、早くも女性陣が目標を達成したのは嬉しい誤算でもあった。
『うむうむ、これで地下二階もサクッと魔物を減らして早く帰ってツキミとムフフな夜を過ごすとしよう! 昨日のツキミは可愛かったからのう。ワシも年甲斐もなく頑張れたし······ 今夜はもっと頑張れそうな気がしているからのう······ グフフフ、楽しみジャー!』
エーメイは昨夜、久しぶりに女性に触れてハッスルして、心も若返っていた。昨夜は久しぶりということもあり、三回戦で満足してしまったが、今夜はもっと出来そうだと考えていた。今日はエーメイなりに目標を立てていたのだ。
エーメイの目標は五回戦だった······
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