第7話 想像以上に増えた件
エイダスさんが帰ってから、晩飯の弁当と朝飯のパンを買って宿に戻った俺は、受付にいたヤーン君のお母さんに、角ウサギの肉(後ろ足二本)と、大牙イノシシの肩ロースを渡した。
ヤーン君のお母さん(名前をまだ聞いてない)は非常に喜んで、明日のご主人の誕生日にステーキにして食べると言ってくれた。
そして、鍵を貰って部屋に行き、先ずは風呂に入った。スキル無臭を使用していたが、やっぱり風呂が一番だ。
風呂から出た俺は弁当を食べる。
食べながら「ステータス」と声に出さずに頭で念じてみたら、出たよ。画面が。
次回からはこれで行こう。何気に少し恥ずかしかったからな。
そして、見つめる事数分。
俺は食事を忘れて画面に見入ってしまった。
名前:トウジ
性別:男
年齢:三十二
職業:【無職】神級職
レベル:3
生命力:480 魔法力:290
体力:210 魔力:105 器用:180 敏捷:195
攻撃力:325(魔鋼小刀+55)
防御力:280(
スキル:【
(味方)自身や対象者(物)が発するあらゆる音を消す
(敵)相手を喋れなくして魔法詠唱を出来なくさせる 詠唱が必要なスキルも同様 また、音を聞こえなくする
刀を用いる剣術
(味方)自身や対象者(物)の毒を消す
(敵)自身や対象者(物)から消した毒を無形箱に保管でき、その効力を変化できる 毒を敵の体内に送りこめる
(味方)自身や対象者(物)の匂いを消す
(敵)どんなに嗅覚に優れた者でも、匂いを感じなくさせる
形のない箱で、何でも入れる事が可能 但し百メートルを越える物は入らない 内部は自動整理される
起点を中心に半径一メートル~八メートルの範囲(選択可能)を照らす尽きない灯り
うーむ、先ず数値の上昇が激しい気がする。
いきなり生命力が五百弱になり、魔法力も三百弱になっている。
そして、圧巻は攻撃力と防御力だ。
攻撃力は三百越えてるし、防御力も三百弱だ。
更にまたスキルが増えた。
この世界にあるのかは知らないが、ダンジョンで活躍しそうなスキルを手に入れてしまった。
それに起点って何だろう?
分からないならやってみようの精神で、俺は無尽灯を使ってみる事にした。
先ずは起点を部屋の天井の真ん中辺りに設定して、半径二メートルでスキルを発動した。
すると、部屋が明るくなった。
明るさは変えられないようだ。
俺が動いても起点が固定された場所だからか、灯りは動かない。
なので今度は天井の少しだけ下の俺の真上の空間を起点に出来るか試して見た。
今度は半径一メートルで発動してみる。
すると、空間に起点を設定する事が出来て、今度は俺が動けば起点も動く。
これは相当便利だと俺は思った。
今度は無回流の型をやろうと考えて、無形箱から刀を出した時にふと思い出した。
晩飯、食べ終わってねぇ······
検証を取り敢えず止めて、晩飯を食べる俺。
そして、改めて刀を取り出し型をやってみる。
地球で学んでいた頃には理解出来なかった事が理解出来る。Lv.5というのが地球では
そして、検証を終えた俺はベッドに横になり、目を瞑った。
翌朝、昨日と同じく七つの時刻に目を覚ました俺は、顔を洗いスッキリしてから受付に行きコーヒーをもらう。
その時にヤーン君のお母さんに改めてお礼を言われた。
「昨日は有り難うございます。今日、焼いて皆で食べますね。それから、まだ名乗ってなかったですね。私はヤーンの母でコーランといいます。よろしくお願いします。あと、あの奥を見ていただけますか?」
コーランさんに言われて受付奥に目を向けると、背の高い優しそうな顔をした男性と、ヤーン君と似た目をした少女が俺を見て頭を下げた。
コーランさんが言う。
「主人のダイカンと、上の娘のレイです。人見知りで、あれでも頑張って出てきてるので許してやって下さいね。」
「ハハハ、コーランさんからお礼を言って貰ってるから、無理しなくても良かったのに」
俺がそう言うと、コーランさんが
「大牙イノシシのお肉なんて、お祭りでもないと中々食べられないから、嬉しかったんですよ。だから、トウジさんにどうしてもお礼がしたいって言ってまして」
「いやいや、それは嬉しいです。有り難う」
俺が奥にいる二人にそう言ったら、二人もはにかみながら、再度頭を下げて奥に行った。
俺は朝から気分が良くなったなと、部屋に戻ってからコーヒーと朝飯をゆっくりと食べた。
そして、今日はヤーン君と一緒に隠れる様にレイちゃんも部屋にゴミを片付けに来てくれた。
「やあ、おはよう。今日もよろしくね」
そうヤーン君に挨拶してから、二人に銅貨を五枚ずつ渡す。
ヤーン君はニコニコして、
「トウジ兄ちゃん、有り難う」
と言い、レイちゃんもはにかみながら俺に頭を下げた。
そして、九つの時刻の少し前にエルさんがやって来た。一人の見知らぬ美少女を連れて。
「トウジさん、おはようございます。昨日は有り難うございました。お礼に今日はうちで晩御飯を食べて下さいね。仕込みもしてあるから、断るのは無しですよ」
先制攻撃を許してしまった。
「エルさん、おはようございます。昨日のお肉はエイダスさんが付き合ってくれたお礼のつもりだったのに。でも、お言葉に甘えて今晩はご馳走になります」
俺はそう言ってエルさんに頭を下げた。
エルさんは了承した俺をニコニコ見ながら、横にいる美少女を紹介してくれた。
「それでね、トウジさん。この
最後はサヤさんに向けて言うエルさん。
サヤさんはそれを受けて、俺を見ながら自己紹介してくれた。
「トウジさん、初めまして。サヤといいます。この世界には四年前、十四の時に来て、エルさんや、エイダスさん。ナッツンさんに助けられて生きてきました。今は冒険者として一人立ちしてます。
トウジさんのレベル上げに私も協力出来たらと思って今日はエルさんに言って連れて来てもらいました。よろしくお願いします」
うん、エエ
俺の中でサヤちゃんがエルさんに変わって最上位に位置付けされた。
ハッ! いかん、いつの間にか【さん】が、【ちゃん】になっている。
「サヤさん、初めまして。俺の為に有り難うございます。今日はよろしくお願いします」
俺がそう返事をすると、サヤちゃんはさんは要らない、呼び捨てで良いと言うので、俺は呼び捨ては無理だから、サヤちゃんでとお願いした。
そして、エルさんから提案があった。
「昨晩、エイダスから聞いたわ。トウジさん、レベルが二つも上がったって。それで、今日は昨日よりも強い魔物がいる北門を出た森に行こうと思うの。良いかな?」
俺はそう問われて素直にはいと返事をした。
そして、美女と美少女に連れられて北門に行く。
俺は昼飯を買おうと思い、エルさんに言ったら弁当を作ってきてくれたそうで、そのまま行く事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます