第8話 人間領と兄妹
人間領に向かう途中に出てきた
「獅子の顔を持ち胴体は山羊、尻尾は蛇の魔物」や
「5mはあるデッカイカマキリやら空飛ぶ石の像」を
《錯覚》のスキルを駆使して倒しているとステータスがこんな風になっていた。
『
種族名:人間 職業:なし
LV.120
HP:3680+1000
MP:6095+1000
攻撃:2000+1000
防御:2000+1000
魔法:3049+1000
速さ:2810+1000
知能:900
器用:800
スキル
《錯覚》対象を錯覚させる。
《取得経験値倍化》取得する経験値を2倍にする。
《原語通訳》全ての原語が話せる。
《アイテムボックス》収集容量3%
《環境適応》環境に即座に対応できる。
《並列思考》2つの事象を思考できる。
加護
【創造神の加護】MP.魔法+1000
【冥府神の加護】HP.攻撃.防御.速さ+1000
どいつもこいつも俺の事をただの餌としか思ってねーから「当たり前の事象を行う」って錯覚させれば自分達の都合のいいように解釈して隙だらけな所をこのよく斬れるミスリルの短剣で次々倒せた。
このステータスになるとアイツらの攻撃1回くらいじゃ死にはしないって事がわかったら《錯覚》のスキルを検証してみた。
例えば「自分は人間みたいに弱っちい存在です。逃げることしか出来ません」っていう錯覚を掛けたところあいつらには全く効かなかった。
しかし、散々痛めつけて死ぬ直前にさっきの錯覚を発動させると目の前でブルブル震えだし、必死に俺から逃げようとしていた。
このことから、自分と相反する意志の介入は錯覚でも無理であること、ある程度こちらで思考を誘導してやれば錯覚に陥ることが分かった。
ってか魔物相手にしかしてねーからな。
人間とか魔族に効き目があるかどうか...
まぁいい、取り敢えずは人間領に入ってまた色々と試してみよう。
アイテムボックスに入ってた満足バーみたいな食料と水を飲みながら思案していると、やっと森を抜けた。
目の前には高さ10mほどの壁があり、その壁には金色の幾何学的な文字が張り巡らせており、魔法を見たことない俺でもこれが魔法的な何かでコーティングしてんだろうなと予想が出来た。
その壁の上に立っているのは弓や杖を携えて周囲を警戒している者たちがいた。
空からの襲撃にも備えて、ああして警戒してんのか...ご苦労なこったな。
さてと入口はどこかなーっと
おっ!あそこの門の前で行儀よく1列になって並んでんなー目立たないようにしねーとな取り敢えずは。
そうして俺は人間領に入る門の列の最後尾に並んだ。
列に並ぶ際に前の奴らを見たんだが、人間は勿論だがエルフやドワーフ、獣人や天使までいるときた。
人間領と言っても一概に人間だけじゃないんだな。
多分こいつらにも国はあったけど魔族達に侵攻されて居場所がなくなりここに集結してるって事か。
そうしたら、ここの国?は連合軍ってことか?まぁ何にせよ中に入ったら色々と情報を集めよう。
「なぁ、あんたさっきあの魔の森から出てきたように見えたけどあんな物騒な所で何してんたんだ?」
2人組の男の方が怪訝な顔をしながら聞いてきた。
しかし、女の方は俺の顔をみると顔を赤らめて下を向いた。
ん?物騒な所?確かに空は紫だし空気はジメジメしてたが襲ってくる魔物はどれも弱かったしなぁ...
いや待てよ。こいつらからしたらあの魔物達は脅威なのかもしれないここは下手な事は言わないでおこう。
「いや探し物をしてたのだが道に迷ってな。気づいたら魔の森の中にいて、慌てて逃げ出してきた」
当たり障りのない事を言って相手の反応をまずは伺ってみる。
「だよなー。あんな危険度Aの
「私、あの森に彷徨うなんて考えるとゾクッとしちゃう」
「あぁ、そうだな」
男は俺の右肩に手をついて励ましてくれて、女は自分を両手で抱きながらちょっと震えていた。こちらをチラチラ見ながら。
さっきからこの女の反応はなんなんだ一体。
ってか、やはりあの魔物達はこいつらもとい一般的には相当危険な類だったんだな。
ここでアイツらぶっ倒してきたなんて言ったら速攻目をつけられて魔族達との戦闘に駆り出されて魔神に殺される未来しか見えねーからな。
ある程度力をつけるまでは目立たずに行こう。
「2人は門の外に何をしに来たんだ?」
「あぁ俺達は冒険者の依頼で薬草採取に行ってたんだ。戦争中の今だからポーションの素材はいくらあっても困らないからな」
冒険者か...。こんな侵攻されて領土も減ってるのに冒険もクソもないだろうに呑気だな全く。
「あのぅ...すいません。お名前とか伺っても良いでしょうか?私はリーシャって言います。どうぞよろしきゅっ!お願いしますぅ...」
急に女が話しかけてきたと思いきや自己紹介され盛大に噛んで恥ずかしかったのか耳まで赤くして下を向いてしまった。
「ちなみに俺はカイルだ。よろしくな」
ここで一瞬ホントの名前を言おうか迷ったが特に嘘をつく必要もないので名乗った。
「俺はギマンだ」
「ギ、ギマンさん...」
そう言うとリーシャがモジモジしながら俺の名前を呼んでいた。
さっきから反応がおかしいと思っていたが俺は1つ頭の中で閃いていた。
そう言えば今の俺、超絶美形イケメンだった。
__なんだろうな。今まで顔は普通だったがそういう色恋沙汰には縁がなく全く言い寄られたこと無かったからな。
今の状況、ひと言で言うと最高だ。
目の前のリーシャはとても美少女で、髪は栗茶色のセミロング、皮鎧の下からでも成長途中とはいえしっかりと実っているのが分かる。(何がとは言わないが)小動物系で守ってあげたくなるような女の子だ。
カイルも同じ栗茶色の短髪で、無精髭を生やしているワイルドなおっさんだ。
「ハハハ!この人見知りのリーシャがここまで打ち解けようとしてるのは初めてだな!さては恋か?」
「もう!やめてよお兄ちゃん!」
なるほど兄妹だったのね。え!?兄妹!?どう見てもカイルおっさんだけど!?
まぁちょっと安心したぞ。これで恋人だったらカイルからの視線が鬼のようになるからな。
「よし次!来い!」
そんな雑談をしているといつの間にか列の最前列まで来ており、全身に銀の鎧を身に付けており、声からして男が大きな声で兄妹達を呼んでいた。
「それじゃまたなギマン」
「ギマンさんまた是非!会いましょう!」
「おう、またな」
別れを告げると壁に貼られていた光の中に入っていった。
多分この魔法は人間に化ける魔族などを通さないようにしているんだとは思うが無事人間領に入れれば良いけどな。
気づかれぬようあの兄妹に《門番と揉めるような事があれば手助けする》と錯覚を発動して布石は打っておいたがさてこれからどうなるか...。
「よし次!」
光の中からまた銀の鎧の男から呼ばれ俺は中に入っていった。
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