死んでしまわぬように

川端 蓮部江

第1話

陽太郎は公園のベンチからはしゃぐ幼稚園児を見ていた、ちょうど不登校になって3ヶ月の少し暑い日だった。


ベンチから見るその景色はまるで誰かが

平和と言う題名で書いたような、みんなが望んでる平和のような、ともかく光輝いていた。

その光は僕の心をぎゅーっと締め付け、

「はぁ」

と息継ぎのようなため息をついて、逃げ帰るようにベンチを去った。

家にいると母さんが「外に行ったら気分が良くなるよ」と言ってくるので渋々外に出たが

家とさほど変わらない苦しさに加えて、家から出なかったもんだから、外の暑さも分からず長袖を着ていたので、さらに暑い。

「僕の居場所はなかったんだ」

なんて呟きながら帰りを急いだ。


ここで最悪の事態が起きた、

同じクラスのやつが向こう側から歩いてくるではありませんか。

学校の事なんか忘れたいくらいだから、今日が午前授業だったことがわからなかったのだ。

この場合、やり過ごす方法が僕には二つある。

一つ、スマホを見ながら相手の方を見ないで通り過ぎる。

二つ、下を向いて通り過ぎる。

僕は後者の方を選んだ、家にスマホを忘れてきてしまったからだ。

スタスタと足を動かし、無事通り過ぎた時

嫌な思い出を僕の頭が思い出してしまった。

そう、僕が不登校になった時の事だ。


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死んでしまわぬように 川端 蓮部江 @pakuritoharisuoekuto

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