第4話 最後の特訓

 「諸君!これから100戦目の前の、最後の特訓を行う!覚悟してこれに臨め!」

アリラスの大きな声が部屋中に響いた。

「はい!!」

2人は、大きな声で返事をする。そして、特訓が始まった―—―

 初めは、筋トレだ。重いダンベルを持ち上げる。今回は、2人で、どちらが

たくさん持ち上げられるかの対決だ。10㎏、20㎏、30㎏・・・。次は、

80㎏だ。ライラーは軽々と、ケンルーは少し重そうに持ち上げる。そして次は、

90㎏だ。2人ともこれをクリアした。そして、次は100㎏・・・。ケンルーは、

100戦目に臨む自分のように見えた。そして、ケンルーは、持ち上げ――

られなかった。ギブアップだ。ライラーは、これをも持ち上げた。

「ああ~、負けたぁ~!!」

「まあ、お前も前に比べたらすごく持ち上げられるようになったじゃん」。

 そして、次は、バーベルだ。これは、同点だった。

「最後は、とってもシンプルだ。2人で、戦え」。

戦いが始まった。ケンルーは、あの日を思い出した。あの強いライラーを互角にして

戦った大ゲンカを。その時に、いつの間にかケンルーは、成長していたのだった。

あの時同じようにひたすら戦った。ひたすら殴った。ボロボロになって戦った。

あの日がよみがえってくる。勇者の特訓をしようと誘われ、拒絶した自分。人の命が

かかっているこの仕事から逃げようとした自分。共に魔王と戦おうと思ったライラー

の提案にキレて、大げんかになったバカな自分。だが、そんなケンルーは、ここにはいない。2人の殴り合いは続いた。これは、ケンカではない。人間のトレーニングだった。殴り合いの向こうには、硬い友情があった。そして―—―

「ぐはっ!」

ケンルーの勝利だ。

「負けたよ。お前もこれで行ける。行こう!100戦目へ!」

「よし、いっくぜぇ~!!なんかやれる気がする!」

100戦目の戦いの会場は、メイラルに負けた川だった―—

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