第9話 お弁当

キーンコーンカーンコーン

四時間目のチャイムが鳴り響く。みんなは歓喜の声をあげる。


蓮「さてと、飯でも食いにいくか」

愛「蓮!~」

優希「蓮君!~」

どうやら死神が俺を呼んでるみたいだ

愛「ちょっと、蓮は私とご飯を食べるんですけど」

優希「いやいや、蓮君は私と一緒に食べたいって言ってるんですけど」

愛「なによ~!!」

優希「なによ~!!」

二人は互いの手と手をつかみあい、威嚇しているようだった

男子1「うらやましい……」

男子2「俺もあの二人の取り合いになりたい人生だった……」

さっきから男子たちの視線が痛い……

女子1「蓮君ってよく見たらカッコいいよね……」

女子2「わかる!」

女子たちが何やらヒソヒソ話している

蒼太「モテてていいね~」

蓮「俺がか?」

蒼太「」

蒼太(これだからヤンデレ製造機は……)

さて、どうしたもんか。どうにかしてこの戦いを止めなければ……

蓮「な、なあ」

愛「なに?」ギロッ

優希「なに?」ギロッ

蓮「ヒイッ」

蓮「み、みんなで一緒に食べないか?」

愛「あ?」

優希「あ?」


やべ、怒らせてしまった








愛「も~蓮が言うならいいよ!♡」

優希「蓮君には私が必要なのね!♡」

もうやだ帰りたい……





愛「蓮!はいあーん!♡」

優希「蓮君!口開けて!♡」

あの後、俺たちは屋上へと移動してきて、今に至る。どうやら二人とも手作りのお弁当を作ってきてくれたみたいだ

蓮「あの俺の口は一個しかないんですけど……」


激戦(じゃんけん)の結果、愛の弁当を先に食べることになった

愛「どう、おいしい?」

蓮「とてもおいしいよ!!」

さすがは黒井家のお嬢様だ。素材は一流だが、腕前も一流だ……料理もできて当然なのだろうか……

愛「えへへ、蓮のために国家予算の一割を使ったんだ♡」

蓮「」

蓮「つ、次からはそんなにお金をかけなくていいからな……」

愛「もう!遠慮しちゃって!!♡」

この国が崩壊したら、間違いなく愛のせいだろう





優希「……」

そういえばさっきから、横から何かおぞましい気配を感じる……

優希「蓮君、私のも食べて」

蓮「わたったわたった、今食べるから!」

優希は俺の口に無理やり、鮭らしきものを入れてきた

なんだこれ?

鮭を食べているはずなのに





甘い、甘すぎる……


蓮「な、なあ優希」

優希「どうしたの?私の料理がおいし過ぎて動揺してるの?♡」

蓮「これ何で味付けした?」

優希「砂糖だけど?」

優希は淡々と答えた

蓮「なんで砂糖入れたの?」

優希「その方が蓮君への愛情が伝わるかな?~って思ったからだけど……」

こいついつか人を殺めるだろう

優希「蓮君!他のも食べてよ!!」

蓮「……」

断りきれず俺は野菜炒めを食べた


なんだろう




妙にネバネバしてる……


蓮「なあ、野菜炒めに何入れた?」

優希「えっと……」

優希「なんだっけ?」

おそらく薄力粉だろう……

蓮「お前、白くて粉末状だったら何でも塩の変わりになると思ってるだろ」

優希「違うの!?」

蓮「」

優希「化学の時間に錬金術を成功させれたから、今回もいけると思ったのに……」

蓮「」

後で優希に化学を、愛には道徳を教させよう……


つづく

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