第8話 授業中

あの後、俺たちは自分たちの教室に戻って、普段通り授業を受けている

先生「それでここの数式が~」

数学の先生の授業はなぜか、確実に眠くなる。ヤバイ、寝そうだ……

愛「ねえねえ蓮」

愛が小声で話してきた。俺にとっては不幸な話だが、俺たちの座っている席は後ろの方だから、小声で話してもギリギリばれない

蓮「どうした?」

俺も小声で返す

愛「今から、私が蓮の背中に書く言葉を当ててみてね」

蓮「え、嫌なんだけd」

愛「じゃあいくよ」

拒否権って知ってますか?

愛はそう話をさえぎると、俺の背中に指を当ててきてそっと動かした

蓮「くすぐったい……」

蓮「あっ……そこは……ダメ」

愛「ちょっと!変なこと言わないでよ!」

そうやりとりしていると、愛は目的の言葉を書き終えたみたい。


「愛」っか……


俺はすぐにわかった

愛「ねえ、わかった?」

蓮「ん~よくわからなかった」

俺はあえて、わからないふりをした

愛「も~~~」

愛はほっぺたをふくらまして、不機嫌そうに言う。かわいい……

愛「じゃあ、もう一回書くね」


俺は次もわからなかったふりをした。明らかに不機嫌な愛がかわいい


愛「もう許さない!」

愛はついに怒って俺の背中に何度も「愛」って書いてきた


なんてかわいいんだろうか……

こんな子が俺の彼女だなんて……ちょっと待て背中がだんだん熱くなってきた。恐らく愛が指を服の上で高速で何度も動かしているから、摩擦で熱を帯びてきたのだろう

蓮「愛!熱い!熱いから!!」

俺の背中からは黒い煙が出ていた

愛「あ、ごめんつい……」

俺の背中には「愛」という文字が黒く残っていた

愛「でもこれで蓮は私のものってことを、みんなに分からせることができるわね!」

愛はそう、満足そうに言っていた



さっきはさんざんだったな……

危うく、先生にばれるところだった。先生はまだ退屈な授業を続けている

蓮「なんだこれ」

後ろから紙が回ってきた


[しりとりしない?]


紙の内容は愛からのしりとりの誘いだった。


[いいよ]


俺はそう紙に書いて回した


[やった!じゃあまずは私からね!好き]


[きなこ]


[困るくらい好き]


[霧雨]


[滅入るくらい好き]


蓮「」

なんだこれ、どう返しても好きと繋げてくる

なら……


[俺も]


愛「え」

愛は顔を真っ赤にした。



どうやら押しには弱いみたい。愛は下を向いたまま黙っている


[あれ、愛さんどうしたんですか?]


俺は挑発する内容の文を、愛に渡した


すると愛は俺の背中に「愛」という文字をもう一度、高速で書いてきた


蓮「熱い!!悪かったから!!」


俺の背中からはさっきよりも多くの黒い煙が立ち上った


つづく



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