第19話 三人の冒険者たち②

「あの、、あなたたちから何か不思議な力を感じるんです。それが何かは分かりませんけど。」


いきなり核心をつくコメント。

さすが感知スキル保持者。

さっきからドキドキしっぱなしだ。


「そうなんですか?」


俺はあえて何も言わず少し驚いて見せた。


「この子は感知のスキル持ちなんでな。魔物の位置とか相手の強さなんかもある程度分かるんだ。」


「たまに外れることもあるみたいだが、俺らはこの能力にかなり助けられてる。だから、ここまで来れたわけだからな」


いや、感知の能力は正確なんだろう。

このスキル面倒だな。


「それに、、、」


レスティンのあと、アシュリーが神妙な面持ちで続ける。


「最近、この洞窟では吸血鬼が出るという噂があるんです。」


完全に俺でしょう。

疑われてるのだろうか?!


っと心の中では心臓バクバクだったが、顔には一切出さず平静を装った。


「目撃情報によると、それは惨たらしい状態だったようで、、身ぐるみを剥がされて見るに耐えない、、」


そこまで言うと少年は口を抑えて黙ってしまった。


噂に尾ひれがつくというのは理解している。

確かに身ぐるみ剥がしたのは認めよう。


しかし、断じて俺は殺していない!


見るに耐えないのは服を拝借したあと魔物にでもやられたんだろう。


俺は殺ってないぞ!と言いたい気持ちをググッと押さえ込み


「こわいですねぇ」


と身震いしてみせた。我ながら迫真の演技だ。


一瞬の沈黙。


その沈黙を破ったのはイベリアだった。


「こわいですねぇ。」


わざとらしく身震いしながら俺を真似て、こちらをチラ見している。


くっそ!コイツ!


イベリアがこれ以上余計なことを言わないか警戒していたが、そのあとは特に何も言わず黙っていた。


「まあ、俺たちには感知スキル持ちのエリーゼがいるからな。いざという時はすぐに逃げるさ!君たちも気を付けた方がいいぞ!」


「は、はい!そうですね!気を付けます。ありがとうございます!」


ふぅ、なんとかやり過ごした。


その後、三人は一旦、街に戻ると言うので、別れることにした。


一緒にどうだと誘われたが、今回は丁重にお断りした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る