第18話 三人の冒険者たち①
何事もなく、俺たちは地下七階へ。
さっきから魔物が全く襲ってこない。それどころか避けられている気がする。中ボスたちもノーリアクションだし。魔王がいるせいかな。
それと俺は人間になったけど、リザ吉はどうしよう。
リザ吉はサラマンダーになって更に大きくなり、身体の所々から炎を噴き出している。
こんなんでは目撃されたらなに言われるか分からんぞ。
前の形態に戻れないかな。
「リザ吉、ファイアリザードに戻ることはできるの?」
「へ?どうでやんしょ。」
俺も選択できるから、リザ吉も同じだと思うんだけどなぁ。
リザ吉はキョロキョロしながら、何か確認しているようだ。
「できそうです。」
「そろそろ人間たちと遭遇するかもしれないから、ファイアリザードに戻っておいてくれるかな。」
「分かりやした。」
そう言うとすぐ、リザ吉の体はみるみる小さくなり、前のファイアリザードの姿に戻っていった。
リザ吉は驚きと哀しみの入り交じった何とも言えない表情で自分の体を見つめている。
ちょっと申し訳ないけど、これからはこの状態を基本にしよう。
リザ吉 (ファイアリザード)
種族:リザード 種目:通常種
体力:442/460
魔力:58/58
攻撃:121
防御:115
知力:52
速度:90
【基本スキル】炎攻撃 cl.2・炎耐性 cl.3
【種族特殊スキル】 ファイアブレス
人間風の二人とファイアリザードの少し奇妙なパーティーでしばらく歩いていると、俺たちはとうとう本物の人間に遭遇した。
槍を持った少年と剣士、少女の三人パーティーだ。
まともに接触するのは初めてだから少し緊張するな。。
あれ?この三人はどこかで見たような気が。。
記憶を呼び起こす。
人間と出会ったのは最初の頃だけだから、それほど多くはない。
そのあと装備をもらいに何度か戻ってきたりもしたが、死体ばかりだ。
思い出した!
彼らは確かこの世界に来てすぐの頃に会った三人組だ。
あの魔法使いに察知されて逃げた記憶がある。
「君たち!早くこっちに来なさい!」
剣士が強ばった表情で俺たちに声をかけてきた。
俺たち二人を人間と勘違いしているらしい。
「ファイアリザードがいる!早く私たちの後ろに隠れるんだ!」
どうやらリザ吉を魔物と勘違いしているようだ。彼らも強くなっているみたいだが、リザ吉には勝てそうにないな。
ここにいるということは普通のファイアリザードは倒してきたのだろう。
「なぜこんな場所にファイアリザードが!第五階層に出てくるボスのはずだが。この階層で出現するなんて聞いたことがない。」
「またすぐ戦うことになるとは思いませんでしたね!」
剣士と槍使いが身構える。
あの少年は前に会ったとき剣士だった気がするが、今は槍使いになっているのか。
基本スキルが付与されたのかな。
アシュリー
種族:人間 種目:槍使い
体力:165/183
魔力:42/42
攻撃:41
防御:35
知力:20
速度:46
【基本スキル】槍術 cl.2・調合
前に合ったときより強くなっている。
やはり槍の適性あり。
なんと、調合のスキル持ちではないか。
そんな中、魔法使いの少女だけはしきりにこちらを気にしているようだ。感知で気づかれたか?!
鑑定能力がある者でも能力差がある俺たちのステータスは分からないはずなのだが。
とりあえずここは止めておくか。
「待ってください!このファイアリザードは仲間なんです。」
俺は攻撃しようとしている剣士を制止した。
その俺の声に、剣士は驚きの表情を浮かべている。
「仲間?この魔物は五階層のボスモンスターだぞ!俺たちも先日ようやく討伐に成功したばかりだ。」
剣士は信じられないといった表情をしている。
「え~と、私にはテイミングのスキルがありまして、運良くファイアリザードを仲間にすることができたみたいなんです。」
決して嘘は言っていない。人間の中にも魔物を飼い慣らして戦わせるスキルを持つ者がいる。私のスキルリストにも記載されているので間違いない。
「テイマーか?!それは珍しいスキルだな!ファイアリザードを仲間にできる冒険者はなかなかいないぞ。」
剣士は興奮ぎみにそう言い、私たちに近寄ってきた。
話の流れで俺の職業が決まってしまった。
「俺はレスティン。こっちがアシュリー、あの子はエリーゼだ。君たち名前は?」
レスティンは少し離れたところにいる女性を指差してそう言った。
「私はソーマといいます。」
「イベリア。」
イベリアは自ら名乗った。
魔王が名前言っちゃって大丈夫かなと思ったが、知ってる人なんていないか。
「しかし、ファイアリザードなんてどうやってテイムしたんだい?」
「えー、たまたま誰かにやられたのか、だいぶ弱ってまして、、」
俺は苦しい言い訳で誤魔化した。
「ファイアリザードを従えるなんて心強いですね!」
アシュリーも信じられないといった表情だ。
すると、エリーゼが恐る恐るこちらに歩いてきた。
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