第15話 進化

近くでよく見ると、やはりとてもそんなふうには見えない。最近の魔王は可愛くなったもんだ。邪悪な気配もないし、純粋に戦闘を楽しんでいるようだった。


この魔王も一定時間経過すると復活するのだろうか。魔王とは魔族の中でも特に能力が高いものが進化できる存在。

生まれた時から魔王というのはごく稀で、大半は元魔物。イベリアもおそらくそうだろう。


だとすると、もし今とどめをさしたら、魔物に生まれ変わるのだろうか。今までの洞窟の魔物とは明らかに違うものを感じる。

このまま殺すにはおしいなぁ。



一応、試してみるか。


俺は眷族化を発動し、イベリアの腕に噛みついた。


いくらなんでも無理かと脳裏をよぎったが、見覚えのあるメッセージが表示される。


《対象の眷族化に成功しました。リストに追加されます。》


なんと!また成功だ。


ただ、眷族化の証である紋様が見当たらない。

リザ吉は額に浮かび上がっているから分かりやすかったのだが。

とりあえず成功したからいいけど。


成功率が高いのも俺の固有スキルの影響だろうか。

魔王まで可能とは眷族化恐るべし!


俺は自分とイベリアの体力を回復させ目が覚めるのを待つことにした。



《体力が2000を超えました。個体変化が追加されます。》


《種目選択:コウモリ/ヴァンパイア/人間》


久しぶりの個体変化だ。

人間!種目選択で人間?!人に変身できるということか?!


「よっしゃ~!」

俺は柄にもなくガッツポーズしてしまった。


このままヴァンパイアとして、ひっそり洞窟に住み、夜は人目を避けながら、こそこそ外で生き血を吸う。

そんな典型的なヴァンパイアを想像していたから、これは嬉しい。

これなら普通にどこでも行動することができるな。


体もまた変化している。

身長は二メートルくらいだろうか。前よりだいぶ大きくなり筋骨隆々。全身に赤い刺青のような模様が浮かんでいる。髪も長くなり、なんだか鬼のようだ。


《種族特殊スキルが進化しました。》


種族特殊スキルが共振から大気振動に進化した。

一定範囲の気圧を操作できるようだ。


≪大気振動≫

周囲の大気を操作し気圧変動を引き起こす

場合により突風、雷雨などが発生する

■スキル効果:範囲攻撃・状態異常(意識障害、盲目)


テスター   

種族:ヴァンパイア   種目:ヴァンパイア


体力:3125/3125

魔力:1040/1040


攻撃:622

防御:611

知力:754

速度:623


【基本スキル】創造主の記憶

【種族特殊スキル】かみつき・吸血・眷族化・超音波・共振 ・大気振動


封印魔法を使って魔王を倒し、個体変化までしたことで能力がまた大幅アップしている。


リザ吉 (サラマンダー)   

種族:精霊  種目:希少種


体力:422/906

魔力:104/104


攻撃:216

防御:213

知力:105

速度:175


【基本スキル】炎攻撃 cl.4 ・炎無効・物理攻撃耐性 cl.2

【種族特殊スキル】ファイアブレス


リザ吉もいつの間にかサラマンダーに進化している!

魔王との戦いで一気に能力値が上がったようだ。

しかも精霊の希少種になっているじゃないか!

リザ吉ってもしかしてスゴイやつ?!

封印魔法のせいか体力がだいぶ減っている。悪いことしたかなぁ。

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