第14話 魔王との対決②
「あんたたち強いから、いいもの見せてあげる。」
そう言うと魔王は下向きに両手を開いて何か詠唱し始めた。
声は聞こえないが、魔王の頭上に光の玉が現れ、どんどん大きくなっていく。バチバチと音をたてて今にも破裂しそうだ。
防御系スキルを探している時間もなさそうだし、どのスキルが効果があるか分からない。多すぎると判断に時間がかかってしまうのは課題だな。
これはまずい!
とりあえず避難だ。
リザ吉に逃げるよう合図し、俺もできるだけ遠くへ退避した。
光の玉が激しく輝き、辺り一面に無数の雷が落ちたような衝撃が走る!
あれは魔王の広範囲攻撃か。
直撃は避けたが、そこそこダメージを受けてしまった。
リザ吉も少しくらってそうだが、また壁にへばりついて、なんとか凌いだようだ。逃げ足は早くて良かった。
魔王に勝つには動きを止めて攻撃を当て続けるか、強力な攻撃で一気にダメージを与えるしかないが、今の状況で動きを止めることは難しい。
魔王もダメージの蓄積で体力は消耗しているようだ。
迷ってたけど、とっておきのあれを使ってみるか。ホントに使えるかな。
俺は昨日の休息で気になる魔法を発見していた。
その名も封印魔法。
よく分からないが、今は使われていない大昔に封印された魔法のようだ。
消費魔力から見ても威力は折り紙付きなんじゃないかと思うんだけどなぁ。
さて、どうだろうか。
封印魔法は一級から三級まであるが、等級未指定のものも多く、詳細は未だ解明されていないらしい。
通常、封印を解くためには儀式的な作業が必要なのかもしれないが、封印されているというだけで発動に何か特別な道具等が必要なわけでもないっぽいので、もしかしたら使えるのではと思ったわけだ。
使うのは三級指定封印。一番危険度は低い。それでも消費魔力が600だから、今はこれしか使えない。 果たしてどれほどの威力があるのだろう。
ひとまず魔力転換発動っと。
その間も魔王は楽しそうに攻撃を繰り出している。
早くしないと自然治癒でどんどん回復してしまう。
魔王の動きを観察し、油断して動きが少し単調になった瞬間を狙う。
よーく狙いを定めて、、
よし!
俺は右手を魔王に向け、左手を添えて唱えた。
「裁きの門!」
次の瞬間、空間全体が闇に包まれていく。
すると、いつの間にか魔王の後ろに赤黒い巨大な門が出現した。
門の扉がゆっくりと音をたてて開いていく。
体が動かない。
魔王も目を見開いて、扉のある方向に振り向こうとしているが動けないようだ。
ギシ、ギギ、ギ、ギ、ギ、、、
誰も動けない静寂の中、重厚な扉の開く音だけが鳴り響く。
扉は開ききると、今度は周りのものを勢いよく吸い込み始めた。
俺は発動者だからか影響を受けていない。遠く離れたリザ吉も柱にしがみついているので大丈夫そうだ。
そして、、
魔王は扉の中へと姿を消した。
扉は音をたてながら、またゆっくりと閉まっていく。
門が閉まりきると扉は消失し、次第に元の洞窟へと戻っていった。
あまりの出来事に少し身動きが取れずにいたが、扉が出現した辺りに魔王が倒れているのが見えた。
消滅してしまったかと思ったけど、まだ生きてたか。
体力は、、残り200ほど。
俺は今のうちにとどめを刺そうと魔王に近づいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます