第10話 リザ吉

「テスターさん、やりましたよ~!」 


俺たちは今、地下十階にいる。


俺たちというのは、先日、眷族化に成功したファイアリザードと一緒だからだ。額にアラビア文字のような紋様がくっきりと描かれている。 


「うん。よく倒したね。」 


リザ吉が第十階層のボス「ビッグバイパー」の単独討伐に成功したのだった。まぁ、単独といってもサポートはしているわけなんだけど。 


魔物にはもともと名前が付いていない。


リザ吉というのは仲間にしたあと呼びづらかったので、俺が適当につけた名前だ。


本人は名前が付いたことをとても喜んでいるから、あまり余計なことは言わず「吉」というのは縁起の良い字だと伝えている。


俺は全種族の言語スキルを持っているので、最初から言葉は分かるのだが、眷族化のスキル効果に書かれていた通り、眷族同士は種族関係なく、どこにいても思念で意志疎通ができるようだ。


テレパシーみたいなものだな。 


まさか眷族化一回目で成功するとは思わなかった。


魔物にも性格があるのか、眷族化の影響か分からないが、最初からやけに従順だった。 


「あっしがここまで強くなれたのもテスターさんのおかげでやんす!」


「いやいや、リザ吉が頑張ったからだよ。」 


最初は敵だった時とのギャップに戸惑ったが、最近はだいぶ慣れてきた。 


「次は十五階層のボスとも一人で戦わせてください!」


「あのボスならいけるかもね。」 


つい最近倒した第十五階層のボスはトロルという魔物だ。


体力があり攻撃力も高いが、スピードは遅いので、俺たちにとって大した相手ではなかった。


リザ吉の得意技はなんといってもファイアブレス。広範囲に火を吐くこともできるし、単体に向かってまっすぐ発射することもできる。


彼は仲間にした時から自分のことを「あっし」と言っている。どの国のどんな時代設定なんだか良く分からない。しかもたまに語尾がおかしくなっている。謎は深まるばかりだ。


最近の必勝パターンは共振で相手の動きを止め、リザ吉が接近戦で相手を弱らせてから、俺が仕留めるパターン。


ボス戦の場合、まだ最初から動きを止めるほどの力はないので、まずは遠距離攻撃で体力を減らしてからだ。


今回はリザ吉がどうしても一人でやりたいというから俺はサポート役に回った。 


「あっしとテスターさんのコンビは最強ですね!もう魔王まで一気に行っちゃいやしょ!」


「え?!それはまだ気が早いよ。二十階層と二十五階層のボスだっているんだし」


「大丈夫!」 


ビックバイパーに勝って興奮ぎみなのは分かるけど、リザ吉が暴走して突っ走らないように気を付けないと。


今の俺たちの最深到達階は地下十八階。ボスは五階層ずつ出現するので、まだ二体のボスが待ち構えている。


最深部三十階のボスが魔王というのはリザ吉が前に仲間から聞いた情報のようだ。この洞窟の魔物が言ってるのだから正しいのだろう。


魔王というとラスボス感があるが、この世界の魔王はピンキリだ。 


冒険者の力を試すためにある審判の洞窟、そこまで強大な力を持ってる敵が出てくるとは思えないんだが、、 


ただ、少なくとも今の人間にとってとてつもない存在なのは間違いない。


テスター   

種族:ヴァンパイア  種目:ヴァンパイア


体力:798/825

魔力:332/358


攻撃:221 

防御:200 

知力:185

速度:235


【基本スキル】創造主の記憶 

【種族特殊スキル】かみつき・吸血・眷族化・超音波・共振 



リザ吉 (ファイアリザード)    

種族: リザード  種目: 通常種


体力:342/360 

魔力:48/48


攻撃:111

防御:95 

知力:42 

速度:70 


【基本スキル】炎攻撃 cl.2・炎耐性 cl.3

【種族特殊スキル】 ファイアブレス

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る