第9話 眷族化

ファイアリザードを倒してから数日


ヴァンパイアに進化した俺は新しい身体の性能を確かめていた。


今までのコウモリと違って、手足による物理攻撃が容易になり、ステータスも急上昇したため、吸血と打撃攻撃だけで、あっという間に第九階層まで進んでいた。


この先の第十階層はまた中ボス戦になる。


だが、その前に仲間を作りたいな。


このままでも大丈夫そうだが、先日取得した《眷族化》のスキルをまだ俺は使っていなかった。


必要なかったというのが一番の理由だが、いまいちスキルのことが分かっていない。


血族とか思念とはなんだ?


とりあえず仲間にした魔物に指示できて、どこにいても話せるということだろうか?!


何匹でも眷族化できるんだろうか?


もし一匹だとしたら強い魔物の方がいいし。


俺は自問自答してみた。


となると第五階層のボス、ファイアリザードということになるな。


ボスを仲間になんてできるのか?!


まぁ、何度かやってダメなら諦めればいいや。


俺は一旦引き返し、再び地下五階の守護者ファイアリザードへ挑むことにした。




いるいる!


ファイアリザードはちゃんと復活していた。以前氷付けにして倒した時の痕跡はどこにもない。


さて、どうやって戦おうかなぁ。


眷族化するには相手を弱らせてスキルを発動し、吸血とは逆に俺の血液を注ぎ込まなければならない。


しかも一定量が必要なので、噛みついている時間が長くなる。


やっぱり共振が効くまで弱らせてから、ガブっといくのがいいよねぇ。


氷魔法で凍らせちゃうと噛みつきにくいから、打撃と吸血だな。


とごちゃごちゃ考えている間に、こっちに気づかれてしまった!


ファイアリザードが突進してくる。


俺はまず培ってきたヒットアンドアウェイ戦法で突進を避けながら、パンチとキックを繰り出す。


結構効いているようだ。


コウモリの頃はまず飛び込み、反撃されても必死でくらいつき、吸血完了したら離れるという、なんとも泥臭い戦いだったが、攻撃がだいぶスマートになったもんだ。


ステータスが爆上がりした俺にとって、ファイアリザードはもはや敵ではなかった。


同じことを何度か繰り返し、、、


そろそろか。


今だ!共振!


ファイアリザードの動きが止まった。

というかプルっている。


それじゃあ、いってみますかね!


吸血したい衝動を抑え込み、俺は尻尾に噛みついて眷族化を試みた。


他のスキル発動中でも共振はそのまま一定時間有効のようだ。


《対象の眷族化に成功しました。リストに追加されます。》


おぉー!成功だ!


ステータスの眷族リストにファイアリザードが追加されている。


ふむふむ。能力なんかは敵の時と変わらずか。


こうして俺は初の眷族化に成功したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る