第3話 初ハント

それにしても、今の体力と魔力は5か。ステータスだけは最弱だな。どうせならステータスも最強にしておいてくれよ!


初級回復魔法ヒールの消費魔力は6。

嫌がらせとしか思えない。


えぇーと、

俺が消費魔力0で使えるのは種族特殊スキルの「かみつき」と「超音波」か。


種族特殊スキルというのは、魔力消費なしに使えるその種族が得意とするスキルのことだ。


≪かみつき≫

単体へのかみつき攻撃

■スキル効果:なし

■消費魔力:0


≪超音波≫

発信した音波の反射により一定範囲の対象物を把握する

■スキル効果:なし

■消費魔力:0


確かに目は見えないが、超音波のおかげで周りの状態は結構分かる。


お?

いまあそこで何か動いたな。

ビビッときたぞ!

近づいてみるか。


そういえば飛んだことないけど、とりあえず羽ばたけばいいのかな?


バサバサ、バサバサ


俺は必死に羽根を動かしてみた。


端からみたらこの必死さがハッキリ伝わるくらいぎこちない動きだっただろう。

必要以上に上下を繰り返し、ぶつかりながら、なんとか対象に少し近づくことができた。


ん?なんだ?!


体力が4になっている!


今の初飛行のせい?

自爆でも体力が減るのかっ!。

こういうところはムダにリアルだな。


動きの正体はどうやらカエルだったようだ。少し弱ってそうだが、体は俺と同じくらい。


使えるスキルとしては「かみつき」!


なんだけどムリだよな~?!

あんなでかいやつに噛みついたところで

イテっ!で終わるのが落ちだ。


なんかないかスキル~


≪吸血≫

攻撃と同時に血液を吸い取る

■スキル効果:体力小回復

■消費魔力:3


うーん、吸血って結局噛みつくんだよね?!

しかもチャンスは一回。飛んでったらまた体力減りそうだし~。

コウモリって歩けるんだっけか?!


体力小回復は魅力だけど、、

吸ってる間に攻撃されそうだよなぁ


≪ファイア≫

[属性]火 [GRADE]1

小さな火球を対象に放つ。

■消費魔力:5


火属性の初歩魔法ファイアだ。

さすがにカエルならこれで一発だろう。


でも体力4なのよね。さらに減っちゃったから。


んー、噛みまくれば勝てるかな。

転生したばっかで、またすぐ転生なんて恥ずかしすぎるぞ。


といっても今一番現実的なのは魔法発動な訳で。カエルといえば火に弱い。ろくに目も見えない状態で、かみつき一撃クリティカル狙うよりはやっぱりこっちか。


結局、俺は比較的安全そうなファイアをとりあえず打ってみることにした。


超音波で回りの気配を確認し、歩いて岩影に移動する。


この体で歩くのも大変だなぁ。


よし、いくぞ。


俺は対象に狙いを定め詠唱した。声は出ないけどね。


ファイア~~~


目の前で火の玉が出現したことに怯んでいる俺を尻目に、火はまっすぐカエルに飛んでいく。


しかし、、、


なぜか俺は、また意識を失った。




なんだか暖かい光に包まれているような感覚。

これはやっぱり死んだのか?二度目の転生?数ある転生ものの中でも最短記録じゃないだろうか。



体力:1

《種族特殊スキルが進化しました。》


ステータス画面にはこのような表示がある。


体力1?

何があった!

カエルはどうなったんだ?!


ちなみに、かみつきのスキルが吸血に進化したらしい。


普通なら新しく使えるスキルが増えたということなのだろうが、一通りのスキルを網羅している俺にとっては消費魔力が3から0になっただけである。


何とか身体が動かせるようになってきた。

辺りの様子を確認すると目の前でトカゲのようなものが焼け焦げている。


こいつの仕業か!!


どうやら俺は魔法発動に気を取られ、横の岩場に潜んでいたトカゲに気づかなかったらしい。こんなのに意表をつかれるとは情けない。。


でもちょうど食料ができたじゃん!


パクっ!


俺は早速トカゲを口にした。

体の中に生気が戻っていく。


周囲に他の敵がいなくてホントに良かった。


トカゲの丸焼きなんて、いかにも魔族が食べそうなものだが、そんなことを言ってる場合ではない。俺は焼きトカゲにむさぼりついた。


トカゲは、、


予想以上に旨かった!


体力も回復している。

コウモリの口に合うのかもしれない。


カエルもコンガリと焼けている。


まさかコウモリが後ろからファイアーしてくるとは思わなかったであろう。ふっ。


カエルもしっかり堪能し余韻に浸りつつ一息着いたところで改めて辺りを観察すると、どうやらここは審判の洞窟のようだ。


冒険者たちが自分の腕を確かめるために、よく利用するダンジョン。

地下に行くほど敵が強くなっていく。

俺も地下何階まであるのかは分からない。


左から感じる熱は太陽の光か。

隣では炎のようなものが揺らめいている。

この状況から判断すると俺がいるのは一階のようだ。


初心者でも入りやすいよう第一階層は道が舗装され、等間隔に松明も付いて整備されていた。


しばらくはここでステータスアップに励むか。


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