第2話 現状把握②
イタタタ!
激しい痛みで目が覚めた。どうやら床に落ちたみたいだ。
確かコウモリになっている夢を見てたと思ったけど?
病院に担ぎ込まれベットから落ちて目覚めると、心配そうに覗き込む美人ナースさんと目があった。
とかそういう展開?!
なんて一瞬思ったりもしたが、床の感触は明らかに人工的なものではなく、岩肌のようにゴツゴツしている。
美人ナースさんのほのかなトリートメントの香りなどするわけもなく、相変わらず生暖かい苔の匂いが鋭敏になっている俺の鼻腔をくすぐる。
激務の前世に比べると、好きなときに寝て、好きなときに起き、好きなときに食べる。
一見最高に自由な生活であるかと錯覚するが、もちろん、すぐには受け入れられるはずもない。
状況は何も変わっていなかった。
かなりの空腹感を感じるところをみると、だいぶ時間が経っているのだろう。
俺はふと目を閉じた。
ん?!
さっきまで全く気付かなかったが、右上の方に文字が浮かんでいる。
テスター 種族: ヴァンパイア 種目: コウモリ
体力:5/10
魔力:5/5
攻撃:6
防御:5
知力:10
速度:12
【基本スキル】創造主の記憶
【種族特殊スキル】かみつき・超音波
これはステータス画面?!
これが今の俺ということか。
テスターという名前のようだ。
テスター?
えっ!
これはもしや、あれなのでは?!
開発が最終段階に入った頃、製作チームが動作確認用に遊びで作成したモブキャラが存在するという噂があった。
社内でも公にはされておらず、利用できるのはごく一部の者に限定されていたのだが。
本当にあったのか!
ていうか、なんでまだ残ってんだよ!
もしかして今回のトラブルもこれが関係してたんじゃないの?!
確かヴァンパイアなんていう種族はなかったはずだ。
コウモリのイメージで適当に設定しやがったな。
なんだよ!バグに転生かよ!
ということは、、
予想は的中した。
やはりスキルがスゴイ状態になっている。 創造主の記憶なんてふざけたネーミングになってるから、もしかしてと思ったけど。
とても見切れないほどの魔法やスキルの羅列。
何がなんだか分からないスキルもたくさんある。
製作側の設定なのだから当然と言えば当然だが。
でも、待てよ?
俺の知ってる世界ということはゲーム内転移ってことか!?
以前の俺は休みの日までこのゲームをする気になれず、今までプレーしたことはなかった。といっても、ある程度のことは知っている。
現実逃避の妄想をしていても、腹が減っているこの現状は満たされない。
とりあえず今はこのスキルを使って生き延びていくしかないんだよな。
もともとパッとしない人生だ。
死んでるのか生きてるのか知らんけど、どんなところでも楽しんだもの勝ち!
今を生きる!
俺はもう考えるのが面倒くさくなっていた。
寝不足はだいぶ解消されたが、今度は腹が減ってしょうがない。
とにかくまずは腹ごしらえ。食糧調達だ。
こうなったら開き直って、自由気ままに異世界ライフを満喫してやる。
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