淵に臨みて魚を羨むは、退きて網を結ぶに如かず
藤泉都理
第1話 うら
羨ましかったんだ。
灯ってさえいれば、凛々しくなるはずの目が。
若草と老草色が交互に配色されて大きく波打つ前髪の裏にある、人を呪いそうな目つきの俺にとっては至極。
けれど、ああ、何故、どうしてだ。
どうしておまえは死んだ魚の目をしているんだ!?
羨ましかったんだ。
呼吸、運動、生産、食事、排残。
億劫な必要最低限の生命維持活動をこなしつつ、一つのことを追求し続ける君が。
僕はただ薬草を護る結界縄の生産しかできないのに。
けれど、まあ。
それ以外したいとも思わないから、君の薬草への熱量が羨ましくもあり、すごく鬱陶しい時もあるんだけどね。
(2021.9.17)
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