第69話鬼編集長とめさん
「スタジオの高島です。いやあ、よくあんなとこでクイズやりましたよね」
「それが『異世界ウルトラ』なんですよお」
「いやあ…そっかあ」
「実は『ロンダルキアに憧れて』ダンジョンを管理しているおじさんがいらっしゃいましてね。『お前ら、ほんっーーーーーーーーーーとぉにクイズやる気か?こんなところで?死んでも責任とらんぞ』とおっしゃってまして。クイズの最中には『お前ら、ほんっーーーーーーーーーーとにクイズやってんのか。馬鹿なのか?』と最高のお褒めのお言葉を頂いた次第であります」
「ホンマになんちゅう『作品』やっちゅうに、これは」
「またも岩瀬さんは勝ち残りましたよ。本当にすっぽんのような方ですね。これはもう予想コンピュータールームの小林漢語さんに責任を取ってもらいましょう。小林さん、どうしてくれますか?」
日テレ(ひてれ)が二億円を投じて開発した予想マシーンの画面には『ガンバリマス!』の文字が虚しく表示されております。
「さあ次の『だまさみ・くるま』は一体どうなったでしょうか。なるほど。やはり予想では横田さん、渡辺さんが不動の一位、二位を守ってますね。そしてまたもや岩瀬さんに落選マークがつきました。しかしコンピューターを庇うわけではありませんけれども岩瀬さんは純文学『ランドセルが似合う妹が実の兄である指名で120分コースをトリプルで前々日から予約して予約料も当然払ってずっこんばっこん順番順番、すぐに回復するからどんどん笛吹き上手な件』ですよ。一体、この岩瀬さんを除いて誰に落選マークをつけろというのでしょうか。果たしてコンピューターが勝つか。もしくは似たような日体大さんが落ちるか。その前にコマーシャルです」
『ド田舎教師ビンビン物語』!ぽろりもあるよ!絶賛公表発売中!!
本当にCMでしたね。さてさて。
かつての黄金時代。六百五十三万部という週刊誌としてはあり得ない飛び抜けた数字を叩きだしたモンスター少年誌。ギネス記録として認定されております。七つの球を集めると願ったりかなったりもありーの、サラダ油風呂に入るものもありーの、バスケットで坊主頭にしつつ、同時連載開始されたアイスホッケーのやつはどうなったのかもありーの、やまどめたつひこもありーの、貧弱う、『おいダニエルが?それなら力づくではなくスタンドを使えよ』もありーの、お前はすでにスカイラブを真似してボールはそっちのけで筋肉の消しゴムに金をつっこむ時代があったのです。今やその数字は不可能。え?公表と実売は全然違いますよ。紙の漫画は今やもう終わってると言われております。そしてやれ『電子書籍』だとか『あまぞーんでゼロ円で作品を発表し自称を語る表現者』だとか『祝!書籍化』だとか。本当に今は底辺で『コネ』と『人脈』と『運』の世界なんです。それでも一握りの努力家の皆さんが『もう一度』そんな時代を築き上げようと頑張っていらっしゃるのも事実。
第十チェックポイント『だまさみ・くるま』
「ごるあああああああああ!おめえら!元気はあるか!この野郎!!返事しろ!返事!」
「あ、はい。ありますうううう!」
「ったくよお。あ、読者の皆様。大変下品な言葉を使ってしまい申し訳ございません。おらあああ!返事しろ!元気はあるか!てめえら!」
「元気です!」
「じゃあ『風呂』入りながらクイズやろうぜ!」
「え?」
そこでとめさんが上着を脱ぎ棄てます。そして中に着込んでいたTシャツの背中を見せます。
「これだ!見ろ!」
背中には『MASIRITO』の文字が。怒られませんか?
「ここは編集部だ!俺は編集長のましりとだ!ほら!てめえら!『風呂』に入れ!この野郎!」
渋々、各々が用意していた水着を纏い、それぞれに用意された『風呂』の横に立ちます。
「あのお…」
「なんだ?ごるあああああああ!元気がねえぞ!」
「はい!あのですね!」
「おう」
「この『お風呂』はなんかぬるぬるしてそうですが。それに今どき『五右衛門風呂』ですか?下に焚火があるようですが!」
「おめえらさあ。『サラダ油風呂』って知ってっか?」
「え?」
「『え』って言うなああああああああああああああ!元気はあるかあああああああ!」
「え?」
「『え』って言うなああああああああああああああ!次言ったら地獄だぞ。関西弁になるからな!関西弁で頭に馬超みたいなのを被って拳を流星のようにくりだすからな」
やばいです。本当にやばいです。
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