第68話一万と四十三人の優しい『モブ』
「どうもご苦労さんでした。気を付けて帰っていただきたいと思いますが帰れませんけどね。罰ゲーム、否、『罰』もあるけど。覚悟はあるか。で、どうだったこの『ロンダルキアに憧れて』は。いや、これまでの旅を振り返って印象に残ってるところとかさ」
恒例の『バンザーイ!』、『もういっちょバンザーイ!』を済ませてたとめさんが国士館さんに声をかけます。ちなみに勝ち抜けた転生者は全員岩瀬さんのご厚意で『ベホマゾソ』にて体力も全回復、冷房の効いた『異世界バス』に乗って次の『だまさみ・くるま』へと向かっていきます。
「いやあ、やっぱここですね。『ロンダルキアに憧れて』です。生死をさまよえるって言いますか…。本当に普通じゃクリア出来ないですよね…」
「そうだね。実は三十年前ぐらいかなあ。多くの人がちびっこも含めてこの『ロンダルキアに憧れて』ダンジョンに挑戦してきたんだよ。そして今も世界中の人たちがこの『ロンダルキアに憧れて』ダンジョンへ挑戦を続けてるんだよね。生死をさまよってるどころか何度も全滅した人がたくさんいるんだよ。さあ、罰だ。いくぞ。覚悟はあるか」
「あーあ。残念だねえ…」
「『読み専』の国士館には残って欲しかったねえ…」
「てか、今後も『読み専』としてどんどん活動して欲しいよね…」
「君たち。そんなこと言ってないでさあ。君たちだって『読み専』になれるんだろう?だって『書き専』じゃあないだろう?ちまちま更新してるだけだろ?だったら人の作品を読む時間を作ればいいじゃあないか。それで済む話でしょう」
「(いや…。他人の作品なんか興味ねえし…。そもそも『こっちの作品』になにかしら評価をくれたら読むけど…)そうですね」
「こらこら。私も『ハートイヤー』を使えるからね。このばかちんがあ」
とくさんと一万と四十三名の『モブ』がわちゃわちゃしている中、罰ゲームではなく『罰』が始まります。
「まずね。この『ロンダルキアに憧れて』ダンジョンから『一人』で帰ってもらう。薬草?いいよ。あげるよ。あ、ごめーん。ちょっと手から落としちゃった」
そう言いながら『あきらかにわざと』薬草を手から落とし、地面に落ちた薬草を足の裏で踏み踏みするとめさん。
「これ、汚いけど食べれるから。あと聖水の入った水筒もあるから。これね。聖水を浴びるとモンスターが近寄ってこなくなるからね。安全でいいね。あ!」
そしてまたも『あきらかにわざと』水筒を地面に落とす、否、叩きつけるとめさん。
「ごめんねー。水筒われちゃったよ。でもちょっと残ってるから。これを体につけとけ。大丈夫だから。あとね。もう一つ。『罰』ね。うん、今だけ限定で一万と四十三名の『モブ』全員に『ハートイヤー』のチート能力をね。『君の心の声』だけを聞こえるようにしといたから」
「え?」
一万と四十三名の『モブ』に国士館さんの心の声が聞こえます。
「(いやー、『読み専』とか言っちゃったけど。あれって噓なんだよねー。つーか、あんなネットのド素人が書いた『クソ作文』なんか読むわけねえじゃん。そんな時間あれば『ゲーム』とかするっつーの。あ?純文学?やたら長いタイトルとかそんな『自己満クソ作文』、いや、『自己満クソメモ書き』なんか読むわけねえから。つーか、そんなん書いてSNSで宣伝すること自体が『おこがましい』わ!とっとと諦めてリアルの生活に励めよな。どうせそういう奴に限ってリアルでは『モテない』、『職ない』、『やることない』なんだよなあ。頼むから自称小説家気取りは痛いから勘弁してくれよな)」
「え?」
「これって…」
「国士館の声だよね?」
「そうだよ。君たちは今、特別にチート能力『ハートイヤー』を使えるようになっててね。国士館君の心の声だけが聞こえるようになってるから」
とくさんの説明でさっきまでの『優しい』一万と四十三名の『モブ』が豹変します。
「ごるあああああああああ!この国士館!」
「てめえ!こっち側に来たら『あれ』だからなああ!」
「あああああああああああああああああああ!?てめえの『作文』のタイトルは何色だああああああああああ!?」
うわあ。知りませんよ。この後のことは。
第九チェックポイント『ロンダルキアに憧れて』。
脱落者、国士館大学さん。
通過した転生者の数、七名。
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