第41話海の色が赤クソまってゆく、無住力状態!このまま風邪にさらわれたいー

 それでも水割り片手にゲラゲラ大爆笑しているとめさん。


「おいおい。岩瀬。元気があるなあ。いいぞ。じゃあ次。サキュバス岸野さん。行ってこい」


「はーい♡」


 カランコローン。


「いらっしゃーい。お、女性のお客様ですね。それでは早速歌ってもらいましょう。譲れない、譲りたくても譲れない。でも座席は譲る優しい心をサキュバス岸野さんが歌ってくれます。『譲れない願い』。どうぞー!」


 お、マイクを持ってノリノリです。サキュバス岸野さん。


「とまーらなーい、みらいをめざしてー、柚子れないー願いをだきし目てー」


「おお、見事に前奏を歌い切ってくれました!美声ですねえー」


(たーたらーたらららーらたーたーちゃららーらー)


「海の色が赤クソまってゆく、無住力状態!このまま風邪にさらわれたいー、いーつもトベナイはーどるを巻けない気持ちでクリア指摘たけどー、だしきれないジツりょくはーーーーー誰の背い?とまーーら内、みら異をメザしてー柚子れないーネガ異をだきし目てー、いろあせないここ炉の地図、ひ仮にかぞそうーーー♪」


「おおおお!一番をパーフェクトに歌い切りました!素晴らしい!さあ二番!」


 そして二番もすべてパーフェクトに歌いきるサキュバス岸野さん。


「キンコンカンキンコンカン!合格でえーす!」


「おお、姉ちゃん上手いなあ」


「おお、合格だ。いいぞ」


 大木の凡ちゃんもストロングさんもたんこばさんも祝福です。そしてとめさんが。


「おめでとう!サキュバス岸野さん。抜けたぞ!第八チェックポイント『自信だ!爺さん』一番乗り!すごいなあ。アドリブもバッチシだ。これなら『歌詞の引用』問題もクリアだ!じゃすらっくも黙るしかないぞ」


「いえ♡これ大好きでして。アニメも全話繰り返し見てますし、CDも持ってますから」


 チート能力『テダマニ・トール』を使うまでもなくサキュバス岸野さんが抜けました。なるほど、こういうわけですね。


「さあ、サキュバス岸野さんに続け!国士館!行ってこい!」


「はい!」


 カランコローン。


「いらっしゃーい。お、若い方ですね。君いくつ?こういうとこ初めて?」


「あ、二十二歳です」


「それでは歌ってもらいましょう。もう二十歳は過ぎましたが『お前が二十歳になったら』と父の気持ちを歌います。おやじと息子で交わす酒の味はいつの時代も不変です。それでは国士舘大学に歌ってもらいます。『野風僧』。どうぞ!」


「(知らねえ…)」


 ちゃららららーちゃららららー


「おれはのうふうぞー、おやじと酒を涙と女―♪グラスを片手にスマホで更新♪」


「ごるああああああああ!」


 曲がストップし、ストロングさんとたんこばさんに詰められる国士舘大学。


「てめえ、河島さん舐めてんのか!この野郎!」


「時代遅れを舐めてるとぶち殺すぞ!てめえこの野郎!」


「なんだ!スマホで更新だと!楽しやがって!涙みせちゃあいけねえ法律でもあんのか?ごらああああああああああああ!」


 強制退店させれる国士舘大学を見ながらとめさん大爆笑。


「お前さあ、スマホ片手に更新はまずいだろおー。日体大!手本を見せてやれ!ほら元気はあるか。行ってこい!」


「はい!(ハン・ピレイ使えねえ―)」


 カランコローン。


「お、ラッキーです!サービス問題ですよ!まさに転生者にピッタリのこの曲!おらは死んじまっただ、おらは死んじまっただ、あなたも私も死んじまっただ、異世界だ!それでは日体大さんに歌ってもらいましょう。『かえってきたよっぱらい』。どうぞー」


「(し、知らねえよ…)」


「ほらほらどうしました?始まってますよ」


「(えーと)おらは死んじまっただ、おらは死んじまっただ、おらは死んじまっただー」


「おお!いいぞ!いけるいける!」


「(え?マジ?このまま繰り返し?サービス問題って言ってたもんな!)」


「おらは死んじまっただ、おらは死んじまっただー、おらは死んじまっただー♪おらは死んじまっただー」


 ちょっとノリノリで小指を立てながらマイクを握っている日体大ですが音楽は止まります。


「ごるああああああああ!」


「てめえ!天国舐めてんじゃねえぞ!甘くねえんだよ!ぶち殺すぞ!」


「悲しくて悲しくてとてもやりきれねえんじゃねえぞ!このやるせない気持ちとか甘えてんじゃねえ!死ぬか!?死ぬか!?あああああああああ!」


 天国からいきなり地獄。強制退店の日体大君を見ながらとめさんがゲラゲラ爆笑しております。これ、怒られますが楽しいですね。

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