第33話『ころころこみっく』や『小学生一年』や『めばえ』に失礼だ!
「スタジオの高島です。さあ今度は『異世界横断ウルトラクイズ』初登場。『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』です」
「現在のところ生き残った転生者は十二名!この中の一名が脱落することになっています」
「い、一名!それは罰ゲームが恐ろしすぎると…」
「もちろん。さあいよいよですけど。ここで日テレ(ひてれ)が誇る最新のコンピューターが登場いたしまして、『落ちるのは誰か』を予想してもらおうと思うんですけども」
「さあ、どなた」
「ここでコンピュータールームに日テレアナウンサー部オモシロ真面目アナウンサーの小林さんが入ってますんで。呼び出してみたいと思います。小林さーん」
「はい、私、日テレアナウンサー随一の真面目アナウンサーの小林漢語です。えー、その日テレが二億円を投じて開発したこのコンピューターに勝ち残った転生者のここまでの各チェックポイントでの成績をインプットし、また次のチェックポイントである『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』での問題の傾向と照らし合わせまして、脱落者を予想すると。さてそれでは早速次の第六チェックポイント『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』での脱落者を予想してみます。あ、ああ…やっぱり。岩瀬さんに落選マークがついてしまいました。純文学『ランドセルが似合う妹が実の兄である俺にぐいぐいせまってくるんだが』、『幼馴染がクラス一の美少女なのにおいらにぞっこんばっこん』などやたら長いタイトルの作品を書かれている岩瀬さんではどうしても『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』では通用しそうにないようです。このコンピューターがクールに分析した結果です。果たして岩瀬さん、この難関を突破できるのでしょうか。頑張るのですぞ」
「元気か。おはよう」
「おはようございます」
「あっはっはっは。ここは一体何するところだと思う?」
「え?『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』ですよね?作品を書くんですか?」
「あー、近い近い」
「それにちなんだ問題?」
「あーちょっと遠くなった。ほら岩瀬。どうだ?」
「作品でランキング対決かと…」
「うわっはっはっはっは。岩瀬君。『ランドセルが似合う妹が実の兄である俺にぐいぐいせまってくるんだが』の『幼馴染がクラス一の美少女なのにおいらにぞっこんばっこん』が読まれると思うか?」
「い、いやあ…、純文学ですし…。勘弁してくださいよ」
「うわっはっはっはっは。大丈夫。ちなみにここはどれだけ『読まれてるか』はバレないようになってるから」
「(そう言えば)」
「(やたらすたーが多い作品はよく目にするけど…)」
「(ここは確か、すたーと本棚が表示されるんだよねえ。でもバンバンフォローしてすたーをバンバン投げまくると心ある人はすたーをどんどん投げ返してくれるんだよねー)」
岩瀬君の無様な負けっぷりを期待しながら一万と三十九名の『モブ』となった『敗者』が見守っています。
「ほら、すごいだろ?見てみろ。ここの世界は掲示板やコミュニティまであるんだよ。見ろ、この自作品をバンバン宣伝しまっくているのを」
「うわー。すごいっすねえ」
「必死ですわ…(え?なになに?『すたーと閲覧は送ってくれた方のみ』?わけわかめ昆布ですわね)」
「うわっはっはっはっは。すごいだろう?『すたーと閲覧は送ってくれた方のみ』だぞ。この人の作品を読もうが読まなかろうがすたーを投げまくればこの人はすたーを自分にも投げて返してくれるんだよ。ちなみにこの人、ミステリージャンルかな?ランキングの常連だそうだ」
「(へええ。そうなんだあ)」
「(作品のレベルとか関係なく上位狙えるってこと?)」
「岩瀬。君の作品のタイトルをもう一回聞かせてくれるか」
「いやいや。知ってるじゃないですか」
「いやごめん。ど忘れしちゃって。ごめなあ。お願い。もう一回。ほら『宣伝』だよ。『宣伝』大事だぞ」
「『幼馴染がクラス一の美少女なのにおいらにぞっこんばっこん』です」
「あー、そっちじゃない。『純文学』の方」
「『ランドセルが似合う妹が実の兄である俺にぐいぐいせまってくるんだが』」
ゲラゲラと腹を抱えて大爆笑するとめさん。
「いいなあ。純文学『ランドセルが似合う妹が実の兄である俺にぐいぐいせまってくるんだが』。売れるぞ。この令和の文豪!芥川も嫉妬してるよ」
「(ああ…『小説家に楽してなろー』はよかったなあ…)」
「(とりあえず『異世界』や『イチャイチャ』書いとけば『運営がクソなカクさんヨムさん』でも通用したんだけどなあ…)」
「(宣伝なんて『自主企画』の読み合いとかSNSでやればいいのに…)」
「ここでは主に『不倫もの』、『ポエムや日記』、『ぼーいずらぶ』ってのが比較的うけがいいそうだ。ちなみに『不倫もの』が読まれるぐらいなので作品に対する表現の自由は今までよりも格段と上がっている。『小説家に楽してなろー』なんか接吻レベルで即効削除だからね。『運営がクソなカクさんヨムさん』も同じ。そうだなあ。雑誌に例えるなら『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』は『女性せぶん』かなあ。『運営がクソなカクさんヨムさん』は…『ころころこみっく』レベル?『小説家に楽してなろー』は『小学生一年』、いな、『めばえ』レベルだな。いやいや、それじゃあ『ころころこみっく』や『小学生一年』や『めばえ』に失礼だ!だめだめ!。ここでは『〇×クイズ』をやってもらう。通過者は十一名。最後まで残った転生者はここで脱落となる。元気はあるか」
「あるうううう!」
さあ、第六チェックポイント『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』での戦いが始まります。
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