第29話シエロイニ!
「さあ、いよいよここで『かつら旅館』が先頭に来たぞ。あれ?まだ先頭にいるのか、土屋君。問題。『カタカナを組み合わせた漢字で出来る名前は何?』さあいけ!引っ張れ!」
さすがにサービス問題。一生懸命『縄』を引っ張る『カクさん組』と『ヨムさん組』。
「(ぱわーじじょう!)」
「(ハン・ピレイ!)」
「(あれ?おかしい…。明らかにおかしい!俺の『ぱわーじじょう』が妨害されている!よーし、いったん『解除』!)」
「(ん?あいつ『能力』を解除したな。よし、僕も『ハン・ピレイ』解除!)」
そんなこんなで一生懸命綱引きを頑張る『カクさん組』と『ヨムさん組』。
「『ヨムさん組』が有利、『ヨムさん組』が有利、『ヨムさん組』が有利。はい。そこまで。『ヨムさん組』。ようやく土谷君の番だな。よし、正解は?」
「江口仁(シエロイニ)!」
「抜けたー!やったね。よかったねえ。おめでとう。その通りだ。よかったよかった。今度は『ふりんと日記とびーえるが大好きおいすたー』だからね。いきなり『長いタイトルが全然通用しない』ところへいくぞ。よかったあ。おめでとう」
そして握手を交わすとめさんと土屋君。
「ありがとうございます。みんな、頑張ってね」
そして拍手の中、綺麗なエルフさんに花で作ったであろう首輪をかけてもらう土谷君。あらまあ。ほっぺにキスまでされてます。いいですねえ。
「つーか、生き残ったあいつらって『馬鹿なの?』」
「カタカナで組み合わせた漢字で出来る名前って、『イヒ』でいいじゃん」
「ねえ。漢字一文字の名前でいいんだから。『イヒイヒ』でもいいよねー」
敗者となり『モブ』として綱引きを見ている一万人と二十七名がひがみとやっかみを漏らしております。いいですねえ。そういう本音は大好きです。
「さあ先頭にやってきましたのは山梨県からやってきました保坂さん。婚約者は『モブ』となってひがみとやっかみをまき散らしてますよ。山梨県の問題児ですね。では問題。『やっておしまいなさい。すけさん、かくさん。粒子、熱、運動量などが散らばり、広がる物理的現象は?』さあ引っ張れ!」
「(え、ああ『拡散』だ!)」
思い切り引っ張り合う『カクさん組』と『ヨムさん組』。そしてけん制し合う『ぱわーじじょう』と『ハン・ピレイ』の使い手。
「お!互角だ!イケイケイケイケ。頑張れ。一人抜けたんだから『カクさん組』の方が有利なんだぞ。ほら頑張れ!あら『ヨムさん組』が勝っている。『カクさん組』は男性が四名いるのになによ。女に負けてどうする。『ヨムさん組』には後ろに『日体大』がいる。強い。踏ん張っている。『日体大』がマジの顔で頑張っている。ほら、土谷君も応援している。頑張れ頑張れ。はい、そこまで。『ヨムさん組』の勝ち。先頭の保坂さんに聞いてみよう。答えは?」
「かくさん…」
「おめでとう!抜けたあー!よかったねえ」
「いや…、もう力が入りません」
「力が入らない?山梨県が頑張りました。おめでとう。ちなみに婚約者とはどうやってこの世界に転生してきたの?」
「あ、私が二股でストーカーに待ち伏せされまして。二人してめった刺しにされちゃいまして」
「よくないなあ。二股は。ちゃんと一人に絞りなさいよ。とりあえず『ふりんと日記とびーえるが大好きなおいすたー』行き決定だ。おめでとう。お、次は『山手線』が先頭に来たぞ。自信はあるか?」
「はい!」
「山手線ばっか運転してたら退屈じゃない?」
「そうですね。たまには京浜東北線とかも運転したいですね」
「はっはっは。山手線が京浜東北線に混ざって走るのか。それもいいねえ。事故るなよ。では問題。『いわし雲は巻積雲。では入道雲は何というか?』。イケイケイケイケ。がんばれ。『山手線』がんばれ。まだほとんど動いてない。おい。『ヨムさん組』は二人少ないんだぞ。『カクさん組』がんばれ。もうちょっと。おい。どうした。動いてないぞ」
人数など関係なく『ぱわーじじょう』と『ハン・ピレイ』の能力がけん制し合う。
「そこまで。『ヨムさん組』の勝ち。『山手線』、答えは?」
「積乱雲」
「おめでとう!抜けたぞ!頑張ったなあ。三十代」
「はい。これからもグルグル安全運転で走ります」
「はっはっは。たまには『逆走』もいいんじゃないか。さあ、そして先頭にサキュバス岸野さんが来たぞ!」
実はこのサキュバス岸野さん。とんでもないチート能力を敗者復活戦でゲットしていたのです。
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