第21話優勝賞品に新しい夫が欲しい
「おめでとう!今晩飲もう!おめでとう!一気に変わったね。おめでとう!ゴリラが『小説家に楽してなろー』の地に足を踏み入れたぞ!駅前旅館!駅前旅館!おめでとう!横田君。君は『ランキング二位』だ!」
そしてどこから現れたのか、松戸のかとう君ウィズ黒服スタッフ軍団も拍手でおめでとうを繰り返しています。
パチパチパチパチ。
「おめでとう、おめでとう。コングラチュレーション、おめでとう(めでたいなー。おめっとさん)」
そしてランキング下位十一名を慰めるとめさん。
「おみやげは買ったの?」
「買ってません!」
「この坪坂さん、『生きがいは亭主をいびること。優勝賞品に新しい夫が欲しい』と申してましたがかわいい奥さんですね。ご主人と一緒にくればよかったのに。ご主人は今どこにいるの?」
「現世で車にガソリン入れてると思います」
「そうか。帰れたらいいなあ」
そして四十名に改めて激を飛ばすとめさん。
「さあ!よろこびを体で表すぞ!いくぞいくぞ!おめでとう!」
「いえーい!」
「いえーい!」
「いえーい!」
ここでスタジオの高島タダおさんと石川マキコさんに画面が切り替わります。
「スタジオの高島です。これで四十名の勝者が決定しました」
「ちょっとまってください。クイーンオブ敗者である増田紀子さん入れて四十一名になります」
「失礼致しました!でも増田さんは特別って言ったじゃないですか?」
「特別?」
「特別サービスって」
「いいえ。『異世界横断ウルトラクイズ』に『特別』は一切存在しませんので。『小説家に楽してなろー』に進めるのは四十名なんですよ」
「じゃあどうするんですか?」
「はい。クイーンオブ敗者である増田紀子さんとランキング四十位の方で最後の席を争っていただきます。何と言われましょうが『小説家に楽してなろー』に進めるのは四十名と決まってます。負けるのは誰なんでしょうか」
「サディスティックな顔!どういう性格してるんですか!あなたは。一人ぐらい行かせてあげなさない。一人ぐらい。日テレ(ひてれ)は」
「いえ、私もなんとかそう思いますけれども。会社の方針でどうしょうもないんですよ」
「『二十四時間テレビ愛のチャリティ』とか『愛の小鳩事業団』とかね。優しい会社だもん」
「あれはあれ、それはそれ。会社の方針です」
さすが『異世界横断ウルトラクイズ』ですね。運営もしっかりしてます。
ふたたび現場です。
「昨年の史上最大の敗者復活戦で七万人から勝ち残ったクイーンオブ敗者である増田紀子さんだ。みんな拍手」
パチパチパチパチ。
「皆さんがくるのを今か今かと待ってたんです。そこで、林さんいますか?林さん?あ、君が林さん?どうしてここに呼ばれたか分かります?」
「え…いや?分かりません」
「ここを通過できる人数は何名でした?」
「四十名?」
「そう。四十名。でもこの増田紀子さんを足すと?」
「…四十一名」
「そういうことだ!君の作品はランキング四十位!四十名の中では最下位だったんだよ。そこで林さん。今から君と増田さんとでどちらかに『敗者』となってもらう」
「マジですか…」
「ええ…(幸せだったのに…。七万人から勝ち残ったのに…)」
「いえーーーい!」
勝ち抜けが決定している三十九名はお気楽に歓声を上げて盛り上げてくれます。
「勝てばいいんだよ。勝てば。それでは問題。〇×だ。『ホールドアップ』と言ってからお答えください。では問題。あ、チートとか使っていいよ。どんどん。自由に。スマホもいいよ。では問題!『コケにはナンジャモンジャゴケと言うコケがある』。ホールドアップ!」
問題を読み上げてすぐに『ホールドアップ!』と叫ぶとめさん。これは『時間系』チートがなければ無理ですね。林さんも増田さんも『時間系』チートどころか、ここで使えそうな能力を持っていません。そして二人がすぐにボードを上げる。
林さん「〇」
増田さん「×」
「林さんが『〇』で増田さんが『×』と見事に分かれました。正解は。おめでとう!」
そう言って林さんの方へ歩み寄るとめさん。
「あとでぐーぐるてぃーちゃーに聞いておけ。『ナンジャモンジャゴケ』ね。増田さん。残念でしたね。どうですか。今の心境は」
「はあ…。残念ですね。でもここまでのんびりできましたので『モブ』でもいいかなと」
「そうですか。『来年』も是非参加してくださいね。皆さん拍手でお送りしましょう」
パチパチパチパチ。
「敗者のチャンピオンは所詮『敗者』のチャンピオンでしかなかったのか。それでは勝者のみんな!改めてばんざーい!」
「ばんざーい!」
「ばんざーい!」
「ばんざーい!」
さあ、ようやく第四チェックポイント『小説家に楽してなろー』です!ドロンコだああああああああ!!!
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