第19話勝ち抜けおめでとう!
「よし。次は吉野。君の番だ」
「え?僕ですか」
「順番なんかどうだっていいだろう。ランキング上位四十位に入ってれば通過なんだから」
「いや、でも、心の準備が」
「ちなみに吉野。君の作品も読ませてもらったぞ。ああいうの嫌いじゃないぞ。私は」
「本当ですか!?」
「異世界で魔法、冒険、ダンジョン、恋愛、よかったねえ。『シェーン』の足元には及ばないけれども」
「ええ。あれは僕の自信作ですから。やっぱりパーティーを組んで冒険してると恋愛感情とか絶対に芽生えるじゃないですか」
「うんうん。分かるぞ。吉野。ちなみに君はリアルの小説投稿サイトではどうなんだ?」
「あ、全然人気ありません!ランキングどころか更新もたまーに気が向いた時だけですし」
「吉野ぉ!『異世界横断ウルトラクイズ』を舐めてはいけない!手元の資料によると君はSNSで作品の宣伝をバンバンやっているだろう」
「あ、…はい」
「毎日書かないどころか更新も適当。気が向いた時にだけちょろっと書く。それで宣伝するのか!?」
「あ、いえ。『小説家に楽してなろー』は結構読んでくれる人が多くて」
「それにお前、手元の資料によるとSNSどころかリアルの知り合いに高評価をどんどん送ってもらってるらしいな」
「(そ、そこまで…。どこで調べたんだ…。は、恥ずかしい!)え、いや、あははは…」
「そら、いけえ!」
そして階段を降りていく吉野君。一方、敗者である『モブ』になった一万人の反応は。
「あれ?あいつ誰?」
「知らんなあ…」
「あいつの作品どうやった?」
「え?『作文』レベルちゃう?」
「だよな」
「まあ、あいつの『作文』レベルの作品なら他のやつも高評価はしねえだろ」
そんなことを言ってます。そして階段の最後の一段に思い切って両足で飛び降りる吉野君。
(無音)
「おめでとう!一人目の合格者だ!吉野君!『小説家に楽してなろー』へ勝ち抜き決定!!」
「やったああああああああああああ!!」
「ちなみに吉野君。君の作品はランキングで『何位』だったと思う?」
「え?いやあ、ぎりぎり四十位とかじゃないですか?もう嬉しくて!何位でもいいです!」
「なんと『三位』だよ!すごいじゃん!文豪!文豪!天才!天才!」
「いやあー。実は自信はありましたんですよー。えへへ…」
そんな吉野君の喜びを見ながらムカつく一万人の『モブ』となった敗者たち。
「(クソが!)」
「(あんな『作文』が三位?クソが!)」
「(あんなのお決まりテンプレ量産クソ作品だろが!)」
「(ちっ!俺、あいつに星三つつけちゃったんだよなあ…)」
そうなんです。実は『えすぽわーれ号』の決まりで与えられた『星』は使い切らないとダメというルールがあったのです。そのルールがなければ全員星ゼロも普通に想像出来ますので。当然、星をトイレに流すのも即ペナルティ。さすが『異世界横断ウルトラクイズ』。抜け目がありませんね。
「次は、敗者復活で五十一番目の女性。東野さん。『あなたの番』です」
「あ、はい(私はあの人たちに『とっとと死ね』って言ってないもんねー)」
そして敗者である一万人の『モブ』となった審査員たちも「あの人は…まあいいよねー」と普通に評価。なんと普通の現代ドラマ(ポエム多め)の作品を書いた東野さんの作品。ランキング第一位!
「マジかああああああああ!」
これぞ『異世界横断ウルトラクイズ』!どんどんいきます。
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