第17話さっきの『ざまあ』はやっぱなしで!
「それで『クイズ』なら上位四十名が通過なのは分かりますが。今回は『小説』ですよね?どうやって上位四十名を決めるんですか?」
とめさんに質問をする転生者の一人。
「(ま、まさか…)」
分かっている転生者もいるようです。
「かばやろー!君たちは『異世界』大好きの『ランキング』大好きなんだろ!?『祝!書籍化』とか『祝!書籍イヒ!』とか『祝!300万PV!』とか自分で書いてんだろ!?だったらここは決まってるだろお。君たちの大好きな『ランキング』で決めるんだよ!」
「ええええええええええええええええ!」
「(やっぱり…)」
「(でも…、どうやって『ランキング』をつけるの?え?どっかの小説投稿サイトと提携してるとか?)」
(ざわざわ)
そんなかつてない『ざわざわ』なんか気にせずとめさんが拡声器で叫ぶ。
「君たち。ここは『ウルトラ』の世界だよ。『異世界横断ウルトラクイズ』は伊達じゃあない!君たち五十一名の作品はすべて読ませてもらった!おい、ブラック企業の屋上から飛び降りた山下ぁ」
「はい?」
「君は本当に『ブラコン』(さっきネットで調べたから知っている!お兄ちゃんのことが大好きなかわいい妹の設定を『ぶらこん』って言うんだろ?)が好きだなあ」
「あ…、はい…」
「でもとくさんは君の小説をすごく気に入っていたぞ!」
「本当ですか!?」
「本当だ。ゲラゲラ笑ってたよ」
「(ゲラゲラって…。あれは泣ける物語なんだけど…)ありがとうございます!」
「僕も同じくだ」
「ありがとうございます!」
「ちょっと病院に行った方がいいね」
「え?」
「あ、独り言だよ。『美容院』だよ。『美容院』。君は髪が長いだろ?」
「あ、そうですね…(いや、聞こえた…。絶対聞こえた…。『病院』って言ってた…)」
「それから木下さん」
「あ、はい」
「君の作品はあれ?婚約破棄っての?どん底からハッピーハッピーの連続だよね?」
「あ、はい♡」
「あれって君の願望?」
「へ?いや…、『ざまあ』要素も結構いれたんですが…」
「え?あれが『ざまあ』?君は確か…、腐女子からホストにいれあげて人生転落してお風呂に沈んでそこから三千万ぐらい貯めてコインロッカーに通帳とハンコを入れてたら同僚にそれを盗まれてやけっぱちになって『こいつ使えねえデブになりましたね』って店をクビになってその帰り道にトラックにはね飛ばされてこの世界に来たんだよね?」
「…え、いや…、違います(そこまで暴露するか…。こいつは…)」
「もっと『シェーン』を観た方がいいよ。『シェーン』はだね」
「あ、とめさん。長くなりますから。いやあ、木下さん。僕はすごく面白いと思いましたよ。いやあ、いいなあ。あのどん底からのご都合主義は最高ですよ」
「ありがとうございます!」
「そう。もっと自信を持った方がいい。そして病院に行った方がいい」
「え?」
「あ、『美容院』ですよ。『美容院』」
「(こ・い・つ・ら…、殺す!)」
「まあ、そういうわけで僕ととくさんで君たちの作品をすべて読ませてもらった!でも二人だけだと感想は偏りませんか?」
「偏る!」
「二人だと偏るだろお!」
「二人だと偏るだろお!」
「そうだ!」
「そうだ!」
「もっと多くの人に読んでもらって順位を決めるべきだ!」
「決めるべきだ!」
「そう思って君たちの作品。五十一作。多くの人に読んでもらったよ。その数!なんと一万人!」
「え?一万人?」
「すげえ!これなら平等だ!」
「だろ?『異世界横断ウルトラクイズ』はまさに『ウルトラ』なのだ!」
「すいませーん。その一万人ってどこで集めたんですか?」
「おいおい。一万人と言う数字にピンとこないか?」
(ざわざわ)
「まだ分からないのか。この『異世界横断ウルトラクイズ』の最初の参加者数は何人だ?」
そこで勝ち残った一人の転生者が気付く。そして絶望の表情を浮かべる。
「い、一万と五十一人だ…」
「そうだ!君たちの作品をジャッジするのは『モブ』となったジャスト一万名の『敗者』たちだああああああああああああ!」
「うそおおおおおおおおおおおおおおおおおん!」
そして『とっとと死ね』と温かーいメッセージを送ったことを激しく後悔する勝ち残った転生者たち。さあー、地獄のランキングが始まる!
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