第12話ざまああああああ!!

『勝ち抜けおめでとう!』


『勝ち抜けおめでとう!』


『勝ち抜けおめでとう!』


 どんどん勝ち抜ける『じゃんけん』の勝者たち。松戸のかとう君まで黒服にサングラスを身に着け、拍手をしながらおめでとうです。


 パチパチパチパチ。


「おめでとう。おめでとう。コングラチュレーションおめでとう」


「おめでとう」


「めでたいなあ」


「おめでとさん」


「くぁくぁくぁーー」


(怒られますよ!)


 そしてついに!最初の犠牲者が!


「さあ、どんどんいこう。みんな通過してるよ。えー、あなたのお名前は」


「川田雄二です。二十二歳、大学生です」


「川田ぁー!君は老けてるなあー。二十二歳の大学生?嘘つけ!子供二人ぐらいいるだろう!」


「いえ、勘弁してください。よく言われるんです」


「だろうなあ。で、川田はどうやってこの『異世界横断ウルトラクイズ』に転生してきたんだ?」


「あ、就職活動の途中にトラックのパターンです」


「お前もトラックかあ!ひねりはないのか!ひねりは!黒塗りの高級車とかあるだろお!子供よりも後輩をかばえ!後輩を!じゃあいってみよう!」


「なんかドキドキしますね」


「大丈夫大丈夫。ほら、未だに誰一人として『残念!』を出していないぞ。続け―!松戸のかとう君がうっかり全部のボタンを『おめでとう!』にしちゃってるかもしれないぞー!」


「(かとお!マジか!)」


「(ざけんなよ!かとう!松戸に乗り込むぞ!)」


 敗者たちに揺さぶりをかけるとめさん。そしてボタンを押す川田君。


『残念!敗者の勝ち!』


「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 川田君と同じ組だった『じゃんけん』に負けた転生者たちが一斉に歓喜の雄たけびをあげます。それと同時に呆然と立ち尽くす川田君。


「え…、ほ、ホントですか…」


「残念だったなあ、川田よ!来年もまたチャレンジしてくれよな!カメラに向かって何か一言あるか?この『異世界』のみんなが見ているぞ」


 川田君の肩を叩き、優しく慰めるとめさん。カメラマンが川田君を映します。


「今度はもっと『捻り』ます…。そうですね…。せめてバンジージャンプの紐が切れたとかにします…」


「バンジージャンプで紐が切れるかあ!いいなあ!川田ぁ!来年も待ってるぞ!それじゃあ川田も『モブ』だああああああああああ!」


 そして意気消沈の川田君に『敗者の味方』とくさんが近寄ります。


「残念だったね」


「いや、『持って』ないんですよ。僕は…」


「そうなのか?」


「はい。せっかく『更新』しても同じ時間にものすごい人気の作品に挟まれたり…」


「実はここだけの話。まだ『望み』はあるんだよ」


「え?ホントですか!?」


「私は『敗者の味方』だよ。そして『異世界横断ウルトラクイズ』は『敗者』が主役。まあ、いったん最後まで待ってみようか」


「はい!」


 まさか…。まだ『敗者』にチャンスあるんですね。一方、川田君に負けた転生者たち。『#』の記号で39の組の敗者五十六名はとめさんの前に集まります。


「おめでとう!『異世界横断ウルトラクイズ』は『敗者』が主役!さっきまで浮かれてた川田になんか慰めの言葉をかけてやれ」


「ざまああああ!」


 爆笑するとめさん。これは『ざまあああ』だ!ラノベお約束の『ざまああああ!』だ!


「君たちは酷いなあ。しかし!これぞ『ウルトラ』!『敗者復活』だあ!『#』の39組の五十六名はやり直し!もう一回勝者を決めるのだ!」


「じゃんけんジャガイモさつまいも!」


 あの掛け声は川田君の組だったのか…。そして新しい『勝者』が。どんどん続きます。

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