第11話チート能力『ハッピーエンド』発動!

「さあ、本来ならここで『じゃんけん』に勝った五十名が素直に喜びながら次の『機内ペーパークイズ』へすすむところだが。今年に限っては『ジャンケン』に負けた君たち!まだチャンスはあるぞ!『ニューヨーク』にいきたいかああああああ!」


「おおおおおおおおおおおお!(え?『ニューヨーク』?)」


「ちょっとちょっとあなたねえ。今、なんとおっしゃいましたか。三年後の部長なんですから。アナウンス部から報道記者に戻りますか。なんなら入社前のバイトに戻しますよ」


「先輩すいません。ちょっと、まあ、ねえ。今年で七回目ですからよく慣れてませんでして。それでは。敗者のみんなあー!『ハーレム』でちやほやされたいかあああああああああああ!」


「おおおおおおおおおおおおおお!」


「よろしい。元気がありますね。君たちの元気は敗者のそれではない。それでは松戸のかとう君!準備はいいか!?」


「はい。大丈夫です」


「このマシーンには五十のボタンがついております。かとう君。頑張って作ってくれてありがとう!今から『じゃんけん』に勝った五十名には一人、一個ずつ、順番にこのボタンを押してもらう。この会場にはこのボタンと同じ数だけ札が配られています。手元の札をよく見ておくように。もちろん、敗者のみなさんはそれ以上に注目するよう。ではいくぞ!じゃあ、そこのロン毛!」


「え?僕?」


 一人のじゃんけんに勝った転生者がとめさんから指名される。


「そうだ。他に誰がいる。君だよ。君。君、名前は?」


「あ、田中浩二と申します」


「年齢とお仕事の方を教えてくれるか」


「あ、二十八になります。仕事は営業職です」


「営業職なら髪を切れ!この野郎。モテ意識か?それで、この『異世界横断ウルトラクイズ』にはどうやって転生してきたの?」


「ああ、実はトラックにはねられまして。残業続きでボケーっとしてましたね」


「トラックにはねられて!君も『ベタ』だねええええええ!もっとこうあるだろう?他にもさあ」


「は、はあ」


「まあいいや。それではボタンを押してくれ!」


 マシーンに取り付けられた五十個のボタンを迷いながら選びそのボタンを押す田中君、二十八歳営業職。


 『えすぽわーれ号』の『ぶるーすかいの魔』に設置された大型のモニターに大きく映し出される。


『勝ち抜けおめでとう!』


「え?」


「おめでとおおおおおおおおおお!『じゃんけん』突破第一号だ!」


「マジですか!?ありがとうございます!」


「君は本当に真面目だなあ。その真面目さが仇とならないことを祈る!とりあえず通過おめでとう!ちなみに手元の札を見せてくれる」


「あ、はい。『25』番ですね。記号は◇です」


「聞いたか!田中君が勝ち上がった組の『敗者』諸君!君たちは『モブ』だああああああああ!」


「えええええええ!」


「(今だ!『ハッピーエンド』(前回のお話を読んでいない読者のためにもう一度ここでおさらいしておこう!『ハッピーエンド』とは!実際に起きてしまった『事実』を自分が望むように『塗り替える』能力なのである!ちなみにすべて幸せな結末という意味で『ハッピーエンド』!)発動!モニターの表示を『勝ち抜けおめでとう!』から『残念!敗者の勝ち!』に塗り替える!…、あれ…。発動しねえ!お、お、遅かった…、がくう…)」


 こんな感じでサクサクとすすんでいきます。

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