第10話「じゃんけんジャガイモさつまいも!」
「(どうせ負けても五人に一人は負けた方が通過やろ?気楽だなあ)」
「(確率を考えれば『勝てば』通過する確率八十パーセント…。『負ければ』…二十パーセント。まあ、勝っておいた方がええよなあ)」
「(俺はなんと!チート能力『ハッピーエンド(説明しよう!チート能力『ハッピーエンド』とは!実際に起きてしまった『事実』を自分が望むように『塗り替える』能力なのである!ちなみにすべて幸せな結末という意味で『ハッピーエンド』!)』を持っているのだ!負けても勝ってもどうでもいいんだよねー。は、待てよ。とくさんは『敗者』を『モブ』にしちゃうんだよなあ。そうなる前に使わないと!うーん、使うタイミングだよなあ)」
「(へー。『モブ』になった能力者の能力をとくさんが持ってるんだあ。実は俺ってまだチート能力持ってないんだよねえー。とりあえずサクッとなんか能力をゲットしなきゃなあー)」
そんなことを考えながらジャンケンを始める転生者たち。
「ジャンケンポン!」
「ジャンケンポン!」
「インジャンホイ!」
「ジッケッタ!」
「じゃんけんジャガイモさつまいも!」
「やーきゅーうーうー、すーるなら、こーゆーぐあいにしやさんせ、あうと!せーふ!よよいのよい!」
「ろっくぺーぱーすずしゃう!」
各組で様々な掛け声が聞こえますねえ。これもまた『異世界横断ウルトラクイズ』の醍醐味のひとつ!あ、どうやら五十名が決まったみたいですね。
「終わりましたー」
「お、早かったね」
「いや、やっぱりチート能力者がどこの組にも誰かしらいるみたいでして。『あいこ』は一回もありませんでした」
「あいこ…。『とくさんの初恋の女性の名前はあいこである!』〇か×か!」
「いやいや、あなたねえ。本当にそう言うのはやめませんか。『シェーン』を八回観に行ったことをばらしますよ」
「先輩…。いくら先輩でも『シェーン』の悪口は許しませんよ。あんなに素晴らしい映画は他にありますか?ああ…、ロケ地だったグランドテートン行きたいなあー」
またもとくさんととめさんの内輪話を聞かされ、ポカーンとなる転生者たち。でもさすがに『じゃんけん』で勝った五十名はまだ笑っている余裕があります。一方、負けた転生者。二千七百六十五人はそわそわしつつ、残された二十パーセントの確率に希望を持っているような、持ってないような。
「それじゃあ『じゃんけん』で勝った五十名!それぞれ番号札を配るのでそれを大事に受け取ってください。それから番号札にはそれぞれ『組』の記号が入っています。なので自分の組の勝者が何番の番号札を持っているかをちゃんと確認しておくように!それでは配ります。松戸のかとう君!松戸のかとう君!はい、配って!」
松戸のかとう君が『じゃんけん』の勝者五十名にそれぞれ記号が入った番号札を配って回ります。何故か黒服数名が松戸のかとう君の後ろについて回っています。
「おめでとうございます。おめでとうございます」
松戸のかとう君は腰が低いですね。そしてその後ろで黒服たちが拍手をしながら。
「コングラチュレーション、おめでとう」
あ、そういうことですか…。
「あ、ありがとうございまーす。えーと、俺は『A』の5かあ」
「はい、どうも。ん?『☆』の43」
「私のは…?ん?これってコロ助の似顔絵?数字は38だけど…」
確かに『あいうえお』でも『アルファベット』でも五十には足りないのは分かりますが…。アニメの似顔絵って…。
「配り終えましたー!」
松戸のかとう君の声を待ってましたといわんばかりに聞き取ったとめさん。
「よーし!『ハーレム』でちやほやされたいかあああああああああああ!」
「おおおおおおおおおおおおおお!!」
「どんなことをしても『ハーレム』でちやほやされたいかあああああああああああ!」
「おおおおおおおおおおおおおおお!!」
「罰ゲームで死ぬのは恐くないかああああああああああ!!!」
「え?」
「罰ゲームで、ほら、大根おろしみたいな?ああいうやつで作られた滑り台を滑るのは恐くないかああああああああああ!!」
「いやあああああああああああああああああああ!!!」
「あれ?『異世界横断ウルトラクイズ』の醍醐味は罰ゲームだろお!さあ、サクサクいくよ!松戸のかとう君!例のマシーンだ!」
えーと。子供を助けようとして大型ダンプカーとかトラックにはねられて命を失って『異世界』に来てるんですよね?そこでさらに負けたら『死』ですか?過酷ですねえ。さあ、ここから『じゃんけん』の敗者十名が勝者と入れ替わるのです!
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