第8話松戸のかとう君
「というわけでここでは『ジャンケン』をやってもらう!この第二チェックポイントを突破できるのは五十名!記念すべき第一回『異世界横断ウルトラクイズ』の第一問を突破した二千八百十五人のうち残念だが二千七百六十五人は『モブ』だああああああああああ!実はここがあの数々の名場面を生んだ豪華客船『せすぽわーれ』号の『ぶるーすかいの魔』でございますが。ささ、『元気』はあるか!」
「あるうーー!」
「やっていいか!」
「いいともー!」
「番組が違うんだー!(どや?)」
「ハハハハ…(疲れる…)」
「さて…」
そこへとめさんの言葉を遮りながら『敗者の味方』とくさんが登場する。
「とめさん。とめさん」
「おはようございます。おはようございます」
二千八百十五人の転生者たちにも丁寧に挨拶をするとくさん。さすが!『徳島』の『徳』どころか『徳を積む』の『徳』でもあります!
「おはようございます。あれ?どうしたの」
とりあえず『敗者の味方』とくさんを拍手で迎える転生者たち。
「(とくさんは『敗者の味方』だもんなあ。まさか一回戦の敗者がさっそく何名か敗者復活してきてたり!?)」
「とめさん。あなたはこの七年間、ずーーーーっと言い続けてきた言葉があるじゃないですか?」
ざわつく転生者たち。
「(え?七年間?)」
「(ずっと言い続けてきた?)」
「とめさん、あなたがずーっとおっしゃってきた言葉。この『異世界横断ウルトラクイズ』は『敗者が主役である』そうおっしゃってきましたよね?」
「あ、まあ確かに言ったことはあるかな…」
「いやいや。常に、つねーに『敗者が主役である』と繰り返されてましたよ。それでこの『えすぽわーれ』号でこれから開かれるジャンケン。何故、勝った人が第三ステージに行けるんですか?ジャンケンで負けた人が行けてもいいじゃないですか」
ざわざわが大きくなる異世界転生者たち。
「とめさん。冷静に考えてください。ネット小説の世界でも同じじゃないですか?ランキングも常に同じ顔ぶればかりじゃつまらない!みんなもそう思いませんか!?」
「おおおおおおおおおお!」
「たまにはランキングも上位と下位を逆にしてもいいんじゃないでしょうか?そうすれば読まれる機会だって増えるわけだろう!なあ!皆さん!」
「おおおおおおおおお!!」
「今のランキングは『平等』じゃない!」
「おおおおおおおおおおおおお!」
いやあー、気持ちはすごく分かりますねえ。それにその発想は面白い!
「とめさん。じゃあこうしましょう。全部が全部それをやるってのは無理があると思います。せめて五十名全員『敗者』ってわけにはいきませんが、十名だけ。十名だけはジャンケンで負けた人。負けた人が勝者ってことにしませんか?」
「五十名の中から十名だけ?敗者を次のステージに行かせたい?はあ…」
「そこをどうか!のんでいただけませんかね。三年後の部長でしょ?あなたは」
思い切り今後の人事を暴露され苦笑いを隠せないとめさん。
「わかった!わかった!やりましょう!やりましょう!負けたら十名だけ通過を!」
「よし!松戸のかとう君!松戸のかとう君!いや、彼は番組スタッフの一人でして松戸に住んでるかとう君です」
「(個人情報駄々洩れやん…)」
「(時代だなあ…)」
「いや、こんなこともあろうかと。松戸のかとう君にこんなマシンを用意してもらってまして」
「分かりました。先輩。みなまで言わなくても分かります。このマシーンを押してランダムに選ばれたものは負けても『勝者』です!それではそろそろやるか!」
『異世界横断ウルトラクイズ』
第二チェックポイント。『ジャンケン』がようやく始まる。
(とめさんの方が後輩なんだ…)
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