第6話『読み手』は作品に感想を書いたりはしない。

 うざ…うざ…


              うざ…うざ…


 そんなヒソヒソ声もお構いなしにとめさんが、否!ダークとめさんが熱弁をふるう。


「おまえたちは大きく見誤っている。この『異世界』の実態が見えていない。まるで書かない『なろーさっか』のように。執筆用にと高いパソコンとかプリンターとか作務衣とか購入してみたり。高い万年筆とか。そして『俺はランキングで日間〇位だ!』とか『祝!書籍化』な作品に対して『テンプレ量産型作品』だとかクソ批評ばかりの『エッセイ』を書いて満足し。それだけならまだしも作品に対して相手が不愉快になるような感想を書き込み満足する」


 うざ…うざ…。


              うざ…うざ…。


 どこか心当たりのあるものが多いような転生者たち。ダークとめさんはさらに続ける。


「『甘えを捨てろ』」


 うそ…うそ…(言っちゃったよ…)。


             うそ…うそ…(こいつ…、マジか…)。


「お前らの『甘え』。その最たるは『何故ランキングに載らないんだ』『感想がもらえない』との愚痴だ。たまにちょこちょこと似たような作品を書けば読者が読んでくれるのが当たり前か?なぜそんな風に考える?バカがっ!とんでもない誤解だ。読者というものはとどのつまり肝心なことは何一つ答えたりしない。読み専の読者がそんなたまーにちょこちょこ書かれたテンプレ作品を読もうと思うか?読み専に限らずだ。純文学カテゴリーどころかその他、エッセイにまで『異世界』『馬鹿みたいにやたら長いタイトル』の作品。それらもコツコツ書いて読んでもらいたいから恥も外聞もなくネットにあげる。連中は何か肝心なことに答えてきたか?答えちゃいないだろうが。これは読み専だから、読み専に限らずだからってことじゃなく。普通の読者でもそうなのだ。読み手は作品に感想を書いたりはしない。それが基本だ。お前たちはその基本をはき違えている。無論、中には感想を書いてくれる読者もいる。しかし感想を書く側にとって『俺も書いたんだからお前も俺の作品に感想を書いて返せよな』と都合のいい考えからそうしてるのであって、そんなものを信用するってことはつまり『のせられている』ってことだ。なぜそれが分からない?なぜそのことに気付かない?」


 うぜ…うぜ…。


            うぜ…うぜ…。


 ダークとめさんは止まらない。


「そりゃあかまわない。お前らの作品を読むこと、それ自体は容易い。簡単だ。読まずにPVだけをつければそれで済む。じゃあ感想は。『読みやすかったです』とか『面白かったです』と書いとけばいい。実際に作品のこういう設定がよくて、何時間かけて読んで、気になった点は?目新しいと思った点は?星の評価は?そんな話はいくらでも出来る。しかし今、俺がそんな話を仮にしたとしても『その真偽はどうする』?」


 うぜ…うぜ…。


           うぜ…うぜ…。


「真偽などどうでもいいから『感想』だけ聞きたいというのか?ククク…」


 ダークだ!とめさんがダークだ!ダークとめさんはまだまだ止まらない。

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