第4話答えはオーロラビジョンが知っているぅ!
「あったあ!」
どうやらゲーセンに置かれているクイズゲームのような筐体が。筐体には『百ゴールドを投入』とのシールが貼られている。
「おい、誰か百ゴールドコイン持ってる?」
「(いや、お前が出せよ…)」
そこに『敗者の味方』、とくさんが。
「おお!いいものを見つけたね!君たちぃー。これには一問目の正解が入っているかもだ!ふふふ…」
(ざわざわ)
「俺、百ゴールド持ってるからやるわ」
「おお!よし!頑張れ!」
「いや、俺の百ゴールドだからね。他の人はちょっと見えないところまで離れてくれる?」
「そんなセコイこと言うなよー」
「じゃあ君が百ゴールド出す?銅のつるぎ一本買えるのと同じ値段ですよ?」
「ええー。私も見ちゃあダメえ?」
転生者の中には若くてめちゃくちゃかわいいお姉ちゃんもいますねえ。
「え?あ、いや。『女性には紳士に』が俺のモットーですから。女性は見てもいいよー。だが『野郎』はダメだ。あっち行け」
「なんだよー。いいよいいよみんな行こうぜ(実は『神の目(ゴッドラブ)』を使える奴がいるんだよねえ)」
そして『神の目(ゴッドラブ)』の能力を持つものを中心に遠くから筐体を見守る野郎たち。ちなみに見た目が『残念』な女性転生者もいたが『女性には紳士に』と言ってしまった百ゴールド自腹くんはしぶしぶそれを認める。まあ、ちょっとした『ハーレム』だからいいじゃん!
百ゴールドコインを取り出し、筐体に投入する自腹くん。すると画面にタイトル画面が表示される。テッテレー♪
『異世界横断ウルトラクイズ必勝法』
〇のボタンと×のボタンのみのこの筐体で問題が出される。
『問題。とめさんはジャイアンツファンである』
「え?」
いや、これはとめさんにまつわるクイズだからね。〇か×で答えるんだよ。ていうかこれぐらいは即答レベルだよ。君ぃ。ちなみに私こと、とくさんも同じだよ。
そのまま〇のボタンを押す自腹くん。画面が切り替わる。
『正解!!』
そして画面も切り替わる。
『常識!!』
「おお!(なんかイラっとさせるなあ…)」
『問題。とめさんの今日の朝ご飯はおにぎりである』
「きたああああ!!」
「きゃあ!これで正解が分かるわよ!」
遠くでそれを見守る『神の目(ゴッドラブ)』の能力者を中心に固まっている野郎どもも盛り上がる。
「おおおお!」
そして〇のボタンを押す自腹くん。ここは間違ってもいい場面である。消去法で正解が分かるのだから。そして画面が切り替わる。
『まだ答えはインプットされていません。自分で考えろ!!』
プツーン。
「ふざけんななあああ!!俺の百ゴールド返せえええええええ!!」
「なあんだ。あんたって使えないのねえ。あっち行きましょう」
一瞬だけハーレムを味わった自腹くんがすぐに独りぼっちになってしまう。それを慰めるとくさん。とくさんは『敗者の味方』です。優しいなあ。『神の目(ゴッドラブ)』の能力者を中心とした野郎どもも一瞬の『ざまあ』気分を満喫し、ほうぼうへ散っていく。そしてあっという間に一時間が過ぎる。
「今、この異世界には大型台風十四号が直撃しようとしております。しかし本当の台風の目は今まさにこの『異世界コロシアム』にあります!〇をえらんだ一塁側の皆さん!ハーレムでちやほやされたいかあああああああああああ!」
「おおおおおおおおおおおお!!」
女性の転生者も多くいらっしゃいますがとりあえず盛り上がります。さすが『異世界横断ウルトラクイズ』!
「×を選んだ三塁側の皆さん!追放、ざまあは恐くないかああああああああああ!」
「おおおおおおおおおおおお!!!」
『異世界コロシアム』の真ん中で派手に爆竹が鳴らされ『異世界交響楽団』の皆さんによる楽しい演奏まで行われております。これは祭りですねえ。盛り上がってきましたよ!
「それでは栄えある第一回『異世界横断ウルトラクイズ』一問目の答えがオーロラビジョンに出るぞ!出るぞ!いいか?いいか?答えはオーロラビジョンが知っている!さあいけ!答えはこれだああああああああ!』
一塁側からは「まーる!まーる!」のコールが。三塁側からは「ばーつ!ばーつ!」のコールが。最高潮の盛り上がりを見せる『異世界コロシアム』。一万と五十一名が一斉にオーロラビジョンに注目する。
『×』
盛り上がる三塁側。文句の嵐で盛り上がる一塁側。
「どうなってんだ!俺は過去に遡ってとめさんの朝飯を確認したんだぞ!おにぎり食ってたじゃねえか!」
「そうだそうだ!カツカレーも食ってたけどおにぎりも食ってたじゃねえかよ!」
「かばやろー!私の過去を見れる能力者がいるようだが。もう一度よく見てみろ!」
とめさんの言葉でもう一度とめさんの過去を確認する『ムーディー・勝山・ブルース』。
「…、あ!おにぎりに見えるけど…、よくみたらおにぎりケーキ?最近流行ってるおむすびケーキだ…」
「でも『おにぎりケーキ』だろうと『おむすびケーキ』だろうと『おにぎり』だろ!?じゃあ〇じゃねえか!」
「そうだ!そうだ!」
それに対し反論する三塁側。
「おにぎりとおにぎりケーキは別もんじゃああああい!おにぎりとケーキをごちゃにすなあ!」
「そうだ!そうだ!」
そしてとめさんが一喝。
「あ?おにぎりケーキ?よく見てみろ!もう一度!」
とめさんの言葉でもう一度『ムーディー・勝山・ブルース』が確認する。
「……。あ!よく見たら色をおにぎりそっくりに塗った『スライム』だ…」
「なんだとお!てめえ!この『ムーディー・勝山・ブルース』!!責任取れええええ!!」
そんなわちゃわちゃしている一塁側で冷静に、かつ、不気味な笑みを浮かべるある能力者が。
「ふふふ…。実はおいらは時を十五分だけ戻すことが出来るチートを身に着けているのだ…。それを発動し、三塁側へ移動すれば…。ふ、いくぞ!『トキノスーナ(時の砂をモジって、自分で名付けました)』!」
「ちくしょー!ざけんなよ!」
「(あれ?おいらの『トキノスーナ』が発動されない…。何故?)」
そんな疑問もすべてとめさんの一言で解決する。
「というわけで一塁側の敗者はすでに『モブ』だあああああああああ!!!」
「うそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
記念すべき第一回『異世界横断ウルトラクイズ』。一問目を突破した転生者の数。二千八百十五人(これは『ムーディー・勝山・ブルース』のせいですねえ。まあ、他力本願なのもダメですが)。
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