第3話ムーディー・勝山・ブルース!!

「それでは記念すべき第一問!問題はあそこだ!『異世界コロシアム』のビジョンを見ろ!!」


 とめさんの掛け声でうしろのビジョンに注目する一万と五十一名の転生者たち。そして記念すべき『異世界横断ウルトラクイズ』の第一問が映し出される。


『わたしの今日の朝ご飯はおにぎりである』


(ざわざわ)


「なんやあれ」


「そんなんヒントもくそもないやん」


 そんなことはお構いなしでとめさんが一万と五十一名にマイクで声をかける。


「さあ!〇と思う方は赤いボールを持って一塁側に、×と思う方は白いボールを持って三塁側へ!走れええええ!!あ、とりあえず一時間は考える時間あげるからね。いろいろ相談していいよ。電話で聞いてもいいし。ネット?スマホ?で調べても全然いいぞ!チートもどんどん使っていいぜ!あと、この『異世界コロシアム』には各所にヒントとなる『もの』が置かれているぞ!さあ行け!!」


「いや、スマホもくそもねえだろ!」


「ヒントあるって。とりあえず探してみよう」


「(ふふふ。実は俺様はどんなに遠くでもハッキリと見える『神の目(ゴッドラブ←愛とアイをかけているみたいです。しかも自分で能力名を名付けたみたいです。痛いですね)』の能力を身に着けているのだ!とめさんのアップを…、あ!歯に『海苔』がついている!!よっしゃああー!これは〇だ!でもギリギリまで迷ってるふりしーよおっと)」


「あんた、なんでも攻撃を跳ね返す『無敵の能力』を身に着けたとか言うてたけど使えんなああああああああああ!」


「(くっ!屈辱!!)」


「あ!そういやさっき『時を戻せる』能力者(自称)いたじゃん?そいつにとめさんの『過去』を見てもらえばええんちゃう?」


「それだ!とにかく『モブ』は嫌だあああ!!途中までは他人の力を借りてでも生き残るのだ!」


 そんな感じでわちゃわちゃする一万と五十一名。なにしろいろんな異世界で無双する『能力』がほとんど意味ナッシングなのだから。どんなに強かろうと、どんなに俺TEEEだろうと、クイズを解かないと『モブ』です!


「んなろー。『異世界横断ウルトラクイズ』だかなんだかしれねえけど、とめさんをやっちまえばそれで済む話だろ」


 広―い『異世界コロシアム』でそんなことを頭の中で考えたものもいた。その瞬間、とめさんが言う。


「あ、私を倒しちゃうと即全員『モブ』だあああああああ!!『悪役令嬢婚約破棄ざまあ』ですっきりしたいかああああああああああああああ!!!」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!(いや…、それどころじゃ…)」


 とめさんを倒しちゃうとダメみたいですね。さすがこの『異世界横断ウルトラクイズ』のゲームマスター的存在。ある意味、これはデスゲームでもありますねー。あ、遅くなりましてすいません。私は『敗者の味方』、とくさんです。徳島の『徳』でとくさんです。ちょーさんとたまにメシ行ったりするんですよー。すごいっしょ。で、一万と五十一名の転生者が『異世界コロシアム』の至る所でわちゃわちゃしております!


「とりあえずさあー。お前、『時を戻せる』能力使えるんだろ?時を戻してとめさんの過去を見てみろよー」


「…」


「ん?お前!出し惜しみか!?」


「いや、人にものを頼むときは『頼み方』があると思うんですが」


「(こ、こ、こいつ!俺の『消し去る右手(ゴッドハンド。当然自分で名付けました)』で削ったろうか…!い、いや。こいつを消すと問題が…)え、えへ。そうですよねー。すいません!お願いシャス!あなたの能力でとめさんの過去を見てください!」


「え?お願い『シャス』?『シャス』?」


「いえ、お願い『します』ですよー♡(絶対途中でぶっ殺す!)」


「ではとめさんの過去を見てみます。時を戻すと言っても私の頭の中で脳内再生される能力ですので」


「(え?こいつが嘘を教えたらどうしょー。あ、こいつについていけばええんや)」


「ではいきます。『ムーディー・勝山・ブルース』!」


「(え?)」


「(…あの左から右の人?)」


「(まあ、普通にやれば著作権でアウトだけど…。捻りもくそもねえ…)」


「見えてきました。とめさんは…、おにぎりを食べてます!おにぎりを食べてますよ!〇です!」


「ホントに!?よっしゃー!」


「ええ。ちょうど午前六時から二時間ほど再生してみました。確かにおにぎりを食べてますね。あ、ちょっと待ってください!」


「え?どしたの?」


「サンドイッチも食べてます…」


「なんだと!」


「カツカレーも…、牛丼も…、業務用のアイスまで食べてます…」


「え、じゃあ〇でいいんじゃね?」


「でも『おにぎり』は夜食とか間食扱いで、実はカツカレーが朝ご飯とかいいそうじゃね?」


「誰か!他に使える能力者はいないのかあああ!!」


 一方、『異世界コロシアム』に設置されているヒントを探す面々も。

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