第18話

玄関にはチリすらひとつも無く、ホテルの様だった。


「玄関ひっろ!なんだこれ!てか、塵一つ落ちていないけど…」


こんだけ綺麗なら掃除しなくていい気が…


「玄関だけだね〜、玄関の先は魔境だから気をつけてね。それじゃあ着いて来て」


「えぇ…」


どうやら綺麗なのは玄関だけらしい。

俺は新奈さんに後を着いて、広い玄関から奥へと移動して、扉の前に立った。


「心の準備は良いですか?」


「まぁ、今のところは」


「それじゃあ、オープン!」


新奈さんがそう言って扉を開ける。

そこには………


「これは……」


俺は絶句した。


ダンボールは高く積まれ、ある部屋にはゴミ袋が溜まり、物が散々としていた。


しかもほぼ全スペース、唯一普通と言えるのはパソコンなどの、機材が置かれている場所だけ。


「こんなに広いのに1面ゴミだらけってどう言う事ですか…」


「凄いでしょ」


「誇る所じゃないって…まぁ、とりあえず始めますか。

まずダンボール、ゴミ袋、その他に分けて集めましょうか」


「え、ボクもやるの?」


え?何言ってんの?


「逆にやらなくていいとでも?」


「ボクはてっきり見てるだけでいいのかと…」


「スゥ〜、帰っていいすか?」


流石にこの量を1人では心身共にキツいし、正直言ってだるい。


「あ〜!ダメダメ、ちゃんと手伝うから!じゃあボク、配信部屋の方やるから、怜斗君はそっちお願い」


「絶対そっちの方が楽だから選びましたよね!?せこいって!」


「なんの事かな〜、じゃあそっちよろしく〜」


そう言って新奈さんは行ってしまった。


めんどくさい方を押し付けられてしまった…


「はぁ、まぁ始めるか」


俺はまず足元を片付けようとかがむ。

落ちている紙、ダンボール、衣服等を軽く分別しながら、集めて退ける。


すると、まるでRPGに出てくる宝箱のような箱を見つけた。

しかも持ってみると意外と重い。


「なんか入ってるな………開けてみるか」


俺は、新奈さんが見られたら嫌な物が入ってるかもしれないから、開けようか迷ったが、好奇心が勝ってしまった。


それを開けると…


「え?宝石?本物?」


箱の中には緩衝材と、宝石?が入っていた。


「新奈さん!ちょっと来てくださーい」


俺は新奈さんにとりあえず報告することにした。


「ん?なになに、どうしたの?」


新奈さんが、山積みのダンボールの影からひょこっと顔を出す。


「こ、これってどうすれば…」


俺は、少し手を振るえさせながら箱に指を指す。


「あ!これこんな所にあったんだ!」


新奈さんが箱を抱える。


「ちなみにこれって…」


「正真正銘本物の宝石だよ」


本物だったよ…やば、宝箱掘り当てちゃった。


「ちなみにこれの鮮やかな緑のがエメラルドで、こっちの神秘的な青のが、サファイアだね。

あとこのネオンブルー色のがパライバトルマリンだった気がする」


「こんな高価な物を無くすって…」


俺はもう言葉が出なかった。


「まぁ、ちょくちょくこんなの出てくるけど気にしないでね」


「いや、凄い気にするんだけど」


「ま、頑張って」


そう言って新奈さんは元の場所に戻っていく。


はぁ、俺はここを出る時には、 仏様のような動じない心になってると思う…


それから、沢山普通の人じゃ買えない物が出てきた。


高級ブランドの時計や、アクセサリー、日用製品と、様々な種類の物だ。


俺は驚きながらも、片付けを進め、ゴミ袋に燃えるゴミなどを入れ、ある程度の片付けを終えた。


「すっげ〜ゴミ袋の量、最初よりはスッキリしたけど、こんだけゴミ袋あるとまだ汚く見えるな」


時計を見ると午後1時半だった。


「思ったより早く終わらせられたな」


俺は少し休憩してから、新奈さんの方へ行く事にした。



「新奈さん、どんな感じ?………え!?」


俺が新奈さんの方へ向かうと、凄い綺麗になっていた。


「新奈さん本当に苦手なんですか!?もしかしたら俺のとこより綺麗かも!」


「いえ〜い、ボクもやれば出来るんだぞ〜」


新奈が、少しずつここのゴミを怜斗の方に流していた事を、怜斗が知ることは無いだろう……


「細かい事は後でするとして、飯にしますか?」


お昼もとっくにすぎていたので、そろそろお腹が空いてきた。


「あ、いいね!ボク怜斗君の手料理食べたいな!」


そう言えば食べたい的なことを言ってたな。


「良いですよ!食材ってありますか?」


「うっ、あいにくカップ麺しか…」


まぁ、そうだと思ってました。

ゴミの中にもカップ麺のゴミが多かったし。


「じゃあ買ってきますね、何食べたいですか?」


「う〜ん、じゃあ怜斗君の得意料理!」


「わかりました、じゃあ行ってきます。

あ、帰ってくる時は、どうすればいいんですか?」


ここに来るには、あのカードがなければ来れないことを思い出した。


「じゃあこのカード持ってっていいよ」


そう言って新奈さんにカードを渡される。

俺が持ってていい物なのか?

まぁ、いいか


俺は広くて綺麗な玄関に向かう。

すると新奈さんも着いてきた。


「え?新奈さんも行くんですか?」


俺がそう聞くと、新奈さんは恥ずかしそうに言う。


「い、いや、その玄関で行ってらっしゃいって言ってみたくて」


「っ!」


可愛いかよ!!


「そ、それじゃあ行ってきます」


「い、ってらっしゃい、あ!あと後で一緒に配信するから!」


ガチャ


え〜と、最後のことは聞かなかった事にしよう!

そうしよう!


てか新奈さんの、照れながらの行ってらっしゃいが可愛すぎてやばい。


こんな送り出され方したら毎日絶好調な気がする。


最後のが無ければ…ね。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

読んでくださりありがとうございます!


今回見直してないのでおかしいところがあったら教えてください!


いや〜、金曜ロードショー凄く良かった!!

まじで泣きそうになった。


さて、いよいよこの小説のコメントが100個に近ずいてきました!


誰が100個目の座に座るのか!!

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