第5話

「響ー!先学校行くわ!鍵閉めろよ!」


「へーい」


今日、俺はいつもより早く家を出た。

なぜかと言うと部活の朝練があるからだ。


歩いていると後ろから声をかけられた。


「あっ、怜斗くん!おはよう!」


「ん?あぁ松本か、おはよ」


声をかけてきたのは松本だった。

松本は高校で仲良くなった男友達だ。


松本のフルネームは松本 翔、こいつはいわゆる男の娘と言うやつだ。

身長は149cmで顔は女顔だ。


クラスのみんなからは可愛いので翔ちゃんと呼ばれている。


「怜斗くん、今日は早いね。部活?」


「そそ」


「怜斗くんは陸上だっけ?」


「あぁそうだ。松本は確かバスケ部だったか」


「うん!そうだよ!」


松本は小柄な女の子体型なのにバスケ部で活躍してるらしい。


「怪我しないように気をつけろよ」


「うん!ありがと!そういえば怜斗くんってVTuberって知ってる?」


俺は思わずドキッとした。


もしかしてバレたか?

一応昨日の配信では声を作ったのだが、、


とりあえず俺は嘘をつくことにした。


「いや、見ないが流行っているらしいな」


「見てないならさ、試しにこの人見てみて!」


そう言って松本はスマホの画面を見せてきた。

見せてきた画面には響のチャンネルが映っていた。


「この人、話も面白いしゲームも上手いから見てて面白いよ!

あと昨日、ゲストとして来た同居人?の声が怜斗くんに似ててびっくりしちゃった。」


「そ、そうなのか?」


「うん!まぁ怜斗くんより少し声高かったけどね!」


バレてはいないらしい。

めっちゃ焦ったわ


この後も話しながら歩いてしばらくすると学校に着いた。


「じゃあな、部活頑張れよ」


「うん!そっちこそ頑張ってね!」


そう言って俺らは別れた。


ん?待てよ?松本がバスケ部で来てるってことは響ヤバいんじゃ、、


とりあえず響にバスケ部朝練あるけど大丈夫?と連絡しておいた。


俺がグラウンドに行くとまだ誰も居なかった。

それもそうだ。まだ部活の時間より30分はやいしな。


俺は部室に荷物を置いてからシューズを履いき、体をほぐしてからグラウンドを走り出した。


「フッ、フッ、フッ、」


規則正しく息を吸って吐いてを繰り返しながら段々とペースを上げていく。


5周をしたあたりで誰かに話しかけられた。


「おはようございます。もう練習ですか、早いですね。」


「おわっ!」


「すいません、驚かせちゃいましたか?」


そう言って話しかけてきたのはマネージャーの柊 真冬さんだった。

黒くて綺麗な髪を真っ直ぐ伸ばし、整った顔をした美人さんだ。


彼女は1日に何人もの人に告白されているらしい。

だが全てとても冷たい対応で断るので学校では【冷酷のバラ】と呼ばれている。


「お、おはようございます!来るの早いですね」


「私より早く来てる人に言われたくないわ」


そう言って柊さんは部室に行ってしまった。


別にこうして話していても、少し冷たく感じるだけで冷酷まではいってないんだけどなぁ


そんなことを考えている間に続々と先輩と後輩がやって来た。

俺は先輩達に挨拶をしに行く。

あとついでに汗も拭くことにした。


さすがに9月になってくると涼しくなるし、汗が冷えると寒いからね。


ガチャッ


先輩達に挨拶に行くと部室で何やら盛り上がっていた。


「なぁなぁ!昨日のキョウの配信見たか?」


「見た見た!フィルの声めっちゃ好きだわ!」


「わかる!俺もあんな声になりたかったぁー」


「それな?」


部室は昨日の配信のことで盛り上がっていた。

俺はさすがにやばいと思い、失礼だが挨拶をしないでタオルだけ取って部室を出た。


あの配信、先輩達も見ていたのか…

身近の人が配信の話をしてると焦るが、やはり褒められるのは嬉しい。


それから俺は1時間部活に集中した。


部活が終わり、教室に向かっている途中に部室にタオルを忘れてしまったことに気づく。


「やばっ、タオル忘れた。」


俺は急いで取りに行った。


部室に着くと扉が少し開いている。

誰かいるのかと思い中を覗くと。


「スンスン、はぁぁぁ、やっぱこの匂いさいこぉ〜、癖になるぅぅ」


なんと!柊さんが俺の汗を拭いたタオルを鼻につけ、匂いを嗅いでいるではないか!


俺は今入るとなんだかまずいと思い、タオルを置いて教室に行くことにした。


待ってろよタオル!必ず助けに来るからな!


てかなんで柊さんが俺のタオルの匂いを嗅いでいるんだ?

もしかして匂いフェチってやつか?


いやでも、あの柊さんだぞ、俺の見間違いの可能性も、、うん!そうだな!見間違いに決まってる!


俺はそう結論付けた。

いや、そう結論付けて気にしないことにした。


教室でも皆昨日の配信で盛り上がっていた。


「昨日の配信神ってた!!」


「私フィルさんの声めっちゃ好きー!」


「しかも家事できるんでしょ?付き合いたいわ〜」


「あのキョウがいじめられてるの初めて見たわw」

と、良いイメージをもってくれてるようだ。

恥ずかしいが嬉しい。


「出席とるから座れー」


篠原先生が来たら皆、席に着き静かになった。

ここら辺を見るとさすがは名門校だなと思う。


1時間目と2時間目が終わり、15分休憩の時に事件は起きた…


「すいません、怜斗さんはいますか?」


そう、教室に柊さんが来たのだ。しかも手にタオルを持って。


柊さんが来たことにより教室は盛り上がる


雄叫びを上げる者もいれば、悲鳴を上げる者もいる。

悲鳴を上げている人は振られる時にトラウマを植え付けられたのだろう。


とりあえず俺は呼ばれているので柊さんの方へ向かう。


「どうしました?柊さん」


「部室にタオル忘れてましたよ。自分の持ち物くらいしっかり確認しなさい。」


そう言ってタオルを渡された。


「ありがとうございます。すいません今度から気をつけます!」


俺はしっかりお礼を言って受け取った。


「それじゃあ放課後の部活も頑張ってちょうだい。」


それだけ言って柊さんは自分の教室に戻って行った。


俺はカバンにしまう前にタオルを見て朝見たことを思い出してしまう。


でも俺はすぐにタオルをしまい、邪念を振りほどくようにお気に入りの小説に、集中した。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

読んでいただきありがとうございます!


フォロー、ハート、レビューをして下さりありがとうございます!

とても嬉しいです!


急に変態ヒロインを出したくなったので出しました笑


アドバイス、誤字脱字などがありましたら教えてください!













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