第21話 オークの大群
オークといえば危険度Cランク。
駆け出しの冒険者にはキツい相手だが、倒すのはそれほど難しくはない。
しかし、個体だけならまだしも大群と来るか…。
いったいどのくらいいるのかやら。
「Cランク以上の冒険者は全員俺についてこい!
それ以下のランクは住民の避難を最優先だ!」
ギルドマスターであるゲルドさんはギルド内の冒険者に指示を出していた。
「オークの数はどのくらいだ!?」
「数えられません! 推定1000~5000体です!」
やっばいじゃん。
リザード10000体よりずっと厄介だぞ。
そしてゲルドさんは冒険者たちに鼓舞する。
「相手はオークとはいえ5000に匹敵する大群だ!
間違いなく危険度Sランク任務となる。
命を落とすものもいるだろう。
だが! 我々には冒険者の誇りがある!
この街が終わっても住民だけは生きながらえさせろ!
死ぬなとは言わん。全力で暴れてこい!!!」
うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ゲルドさんの言葉に
血の気の満ち溢れた男たちが雄叫びをあげる。
「そしてもう誰も疑う者はいないだろう!
このギルドの最強の冒険者であるウェル・ベルク!!
期待しているぞ!」
確かに俺はこのギルドで一番強い。
何しろギルマスを倒して更にラーニングの習得で、色んな魔法や魔力を得た。
でも、俺でもどうにかできるか分からないぞ?
だから俺が言えることは
「やるだけやってみます!」
ということしか言えない。
「それにしてもヴィリーたちは何をやっているんだ?」
「別のクエストで今はいないらしいぞ」
「アイツらがいれば百人力なのに」
B級冒険者の剣士ビリー、魔導士カーリン、剣闘士ユルゲン。
俺を追放した冒険者で性格は悪いが、なんだかんだこのギルドのエースでもある。
だが、いないなら仕方がない。
俺たちでなんとかしよう。
そして、オークの軍勢が街の近くにやってくる。
街の外にある魔物がほとんどいない森がおる。
しかし、今日はその森がオークで埋め尽くされていた。
「こんな光景初めて見たな」
俺は空から森を眺めていた。
オークで絶景という日が来るとは…。
さぁ、始めようか!
俺はリーダーの器じゃないが
先陣切って指揮を上げることはできる!
「俺に続けーー!!!」
俺と俺の肩に乗ったエリスお嬢様は、上空からオークの大群に突っ込んだ。
そして、二刀流でオークの首や足を斬りまくる。
ズバババババーーンンン!!!!
「ウェルがいくら強くても俺たちが先輩だ!
後輩に遅れを取るな!!」
「獲物は早い者勝ちだ!!!」
「続けーー!!!」
次々とB級冒険者とC級冒険者はなだれ込む。
「まったく、暑苦しい奴らじゃ」
エリスお嬢様にはこの高揚がわからないのか。
まぁ、男だからこそわかるのかもな。
「もっと飛ばすよ! エリスお嬢様!
『ラーニング』2つ同時発動。
『剛剣』『フレイムバースト』
合成!『炎の剛剣』!!!!」
ズドーン!!!!!!
遠くから見てもわかるほどの森の中心で大爆発。
オークの群れが一瞬で黒焦げになる。
魔法と剣術同時発動。
2週間前はできなかったが俺は日々腕を磨いているのだ!
その様子を観てポカーンとする冒険者たち。
「こんなに強いのか…」
「ま、負けねぇーぞー!!」
B級冒険者もC級冒険者も負けていない。
オークを前に剣で切りつけ者。
魔法でオークを仕留める者。
そして、
「ふははははは!!!!!
現役引退したがまだまだ若いもんには負けんぞ!!!!!」
元A級冒険者でギルドマスターのゲルドさん。
うん、なんかゲルドさんが
一番元気ハツラツオロ〇ミ〇Cしている。
オークを巨大な剣で次々とぶった斬ったり
ぶっ飛ばしたりしている。
5000もいるであろうオークの大群を意外とものともしないギルドの冒険者。
これがこの街のギルド『ルミネスゲート』。
初めて関わったギルドでここに入ったが
こんなにも頼もしいと思ったのは始めてだ。
しかし、やはり多勢に無勢。
みんなの体力や魔力が尽きかけてきている。
「はぁはぁ」
俺も最初から大技を連発したから魔力がどんどん減っていった。
しかし、俺にはこれがある!
「闇魔法『マナドレイン』!」
リザードほどバンバン吸えるわけではないが
オークから魔力を吸収して10体ほどのオークが魔力切れで倒れた。
「よし! まだまだ行くぞ!
『ラーニング』2つ同時発動。
『迅剣』『サンダーボルト』
合成『雷の迅剣』!!!!」
ズドーン!!!!
森の中心に落雷が落ちたかのように広大に雷が発生した。
俺が大技を出す度に100体ほどのオークが倒れていく。
「気をつけるのじゃ!
マナドレインで魔力が回復しても疲労は回復しないぞ!」
エリスお嬢様の助言。
その通りだ。
だからグリーンドラゴンを倒した瞬間、俺は倒れたんだよな。
しかし、それから俺は更にトレーニングを積んで魔力のコントロールが上手くなった。
それで、剣術と魔法が同時併用できるようになったのだ。
もっと強くならないと。
エリスお嬢様を守れない。
もうあの時のように、エリスお嬢様を失うのはいやだ!
今度こそ守ってみせる!!
「ぎゃあああああああああ!!」
他の冒険者たちは疲労が溜まり、ケガをする者が出てきた。
「くそ! まだいやがるのかよ!?」
疲弊する冒険者たち。
確かにこのままじゃジリ貧だ。
ん?
あれは?
オークの大群の奥の方にひときわ大きなオークが数体いるぞ。
「なんだあれ!?」
色も他のオークより黒くて禍々しい。
というより凄く強そうだ。
「文献でしか見た事がないが
ジェネラルオークじゃな。
他にもハイオークもおるぞ」
ノーマルのオークだけじゃないのかよ!!
そして、エリスお嬢様、博識!
オークは危険度Cランク。
ハイオークは危険度Bランク。
ジェネラルオークは危険度Aランク。
これはかなり厄介だぞ。
どうしたものか…。
ん?
あそこに誰かいるぞ?
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