無能転生者の異世界英雄譚~冒険者パーティーを追放されたが、受け身で習得するチートスキルを悪役令嬢から授かったので英雄になれるみたいです〜ですがショタワンコにされました、ぴえん
第11話 ショタワンコと追放した冒険者の決闘
第11話 ショタワンコと追放した冒険者の決闘
剣士ビリーはギルドの訓練場で
先輩の指導という名の新人イビリをするつもりだ。
こいつの性格の悪さ…俺はよく知っている。
領主の息子の権限を使って
ツケを貯めていた店を踏み倒したり
他の冒険者の彼女を寝とったり
どこか抜けていたり(?)
やりたい放題やっていた。
前のギルドマスターは
それを全部黙認していたという。
領主からワイロをもらっていたのだろうか。
「俺が勝ったら、『生意気なことを言ってごめんなさい』と土下座しろ! いいな!?
ついでに有り金全部置いていけ!」
「良いじゃろう!
ウェルが勝ったら『全裸逆立ちでこの街を一周』
して貰おうかのう?」
待って!
俺が戦うのにずっと話が進んでいくんだけど!?
すると遠くの方でゲルドさんがこっちを見ていた!
俺はゲルドさんに視線で
「助けて!」
と送ったが
ゲルドさんは笑顔でウィンクをして親指を立てた。
要するに
「頑張れ(キラン)」
と言っているのだろう。
いや、頑張れ(キラン)じゃないわ!!!
まぁ、訓練場なら正式な練習や決闘だからギルマスは口を出さないということか。
仕方がない。
やってやる!
俺はもうあの時の『無能なおっさん』じゃない!
お前に勝ってトラウマを乗り越えてやる!!!!
「…行きます」
すると俺はすぐに縮地を使った。
「うわ!」
ガン!!
ビリーは俺の攻撃を防いだが、ゲルドさんと違って全く余裕はない。
その後、俺が一方的に攻撃をするようになる。
あれ?
こいつってこんなもんか?
「く! くそ! な、なんなんだ! こいつは!」
全く手も足も出ない様子のビリー。
それもそのはずだ
俺は元A級冒険者のココさん、ギルドマスターのゲルドさん、闇ギルドとの命のやり取りと強敵たちと戦ってきたんだ。
更にラーニングの力でゲルドさんの剣術も習得した。
だから、ゲルドさんと戦った時よりも強くなっている。
ちなみにラーニングの習得には受けてすぐに習得することはない。
1分のインターバルがかかるらしい。
これが今の俺の実力だ!
今さら親の七光りでB級冒険者になったやつなんかに負けるわけがない!
そして、
「貰った!」
完全に俺はビリーを捉えた瞬間だった。
しかし、
え?
俺の身体は急に重くなった。
するとビリーが俺を押し返し形成が逆転する。
「どうしたよ! こんなもんか!?」
急に強気な態度になったビリー。
何かある。
この感覚は状態異常の魔法だ。
闇魔法『バフ』。
相手の攻撃力、防御力、スピードを大幅下げる厄介な魔法だ。
この魔法を使えるやつを俺は知っている。
魔導士カーリン。
ビリーが負けそうになっていたから
こっそり魔法使ったな。
そして、それに気づいてビリーは急に強気になったのか。
くそ!
次第に追い込まれていく。
あぁ…俺はまた負けてしまうのか…。
やはり俺はダメなのか。
俺はまだトラウマを乗り越えられないのか…。
最初に話しかけられてきたとき、震えてしまった。
どんなに魔法やスキルを習得しても
俺はまだ『無能なおっさん』なのか。
何も変わってない。
俺の心はドンドン暗闇に引きずり込まれていく。
何も見えない。
真っ暗だ。
どうすればいい?
結局俺は一人じゃ何もできないのか。
まずい。
もう勝てる自信がない。
やられる。
「癒しの光、魔を取り除く精霊の加護を、汝に与える輝きの星、その全てを解除せよ!
光魔法 【リリース】」
エリスお嬢様が魔法を詠唱した。
すると状態異常が解除された。
【リリース】は、あらかじめエリスお嬢様に譲渡していた魔法だ。
「あきらめるでないわ! この大バカ者!!!!」
あぁ、エリスお嬢様…。
俺より気高く強い存在なのに、俺を救ってくれた。
そんな俺はエリスお嬢様の助けになればと思って
今もこうして戦っている。
そうか。
俺がこの半年で得たのは魔法や剣術だけじゃない。
エリスお嬢様、ココさん、ミリアさん、ゲルドさん。
心から信頼できる仲間がいる。
心を許せる仲間がいる。
心から叱ってくれる仲間がいる。
心を通わせる仲間がいる。
俺は…もう…。
一人じゃないんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「うおおおおぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガキン!!
その瞬間、ビリーの木刀は俺の木刀に弾かれて
宙を舞った。
「勝者、ウェル・ベルク!」
ギルマスのゲルドさんがここで声を上げる。
勝った。
俺はトラウマに打ち勝ったんだ!!
「手を出すつもりはなかったんじゃが、お主がその気なら容赦はせぬぞ」
「くっ!」
カーリンの妨害に気づいていたエリスお嬢様。
「ズルだ!!!!!!!!
何かズルしたに決まっている!!!!
俺がこんなチビに負けるわけがねぇ!!!!」
一回りも年下の子供に負けたことを認められないビリー。
「いや、ズルをしたのはお前たちだ!」
いつの間にかゲルドさんが俺たちの近くにいた。
「カーリンよ、お前はウェルに闇魔法『バフ』を
かけていただろう」
さすがギルドマスター。
見抜いていたようだ。
「うっ!」
何も言い返せないカーリンとユルゲン。
「まぁ、これぐらいのことでウェルが負けるとは思えなかったがな!!」
なるほど。
だから見過ごしていたのか。
いや、危なかったけど!!
ということでビリーは街を全裸で逆立ち一周することとなった。
数日後。
ビリーは全裸で逆立ち一周のせいで、色んな店や冒険者にデカい顔ができなくなり、さらに親である領主から勘当された。
ビリーのプライドはズタズタになり、その精神状態のせいでクエストの失敗が続くこととなってしまう。
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