厄災戦争 無限と支配者は世界を壊す3
周囲の魔力をかき集めて作られた魔力弾。
その魔力量は凄まじく、魔力を強引に圧縮し己の強化に使う仁の技“
団員の中でも破壊力に関してはトップレベルのアスピドケロン。
その一撃は、自身を中心として直径約30km全てを消し去った。
光に包まれ、草木は消滅し地面すらも吹き飛んでいく。
厄災級同士の戦いに巻き込まれないように遠くで体を震わせていた魔物達も光に包まれ、更には膨大な嵐を引き起こして50kmほどまで離れた村にまで被害をだす。
“浮島”などと言う可愛らしい二つ名からは想像できない火力。
厄災級魔物の中でも上位に位置する絶対的な力がもたらした破壊が、再びこの世界に顕現した瞬間だった。
「........何度観ても滅茶苦茶だな。相変わらず火力に関しては化け物じみている」
「これでもファフニールさんには勝てなかったけどね。今だと、団長さんや副団長さんにも勝てないかな?後、実際の力は見てないけどアンスールちゃんにも勝てない気がする」
「フッハハハハハハハハ!!我らが傭兵団は人外魔境しか集まらんな。とは言え、奴らもしぶといものだ」
ウロボロスはそう言うと、少し離れた場所で血まみれになりながらも何とか命を紡いでいるアジ・ダハーカとバハムートを見る。
今の一撃でアジ・ダハーカの頭は2つ吹き飛び、バハムートは左の翼がまるまる無くなっていた。
ウロボロスのサポートが会ったとはいえ、厄災級魔物を2体同時に吹き飛ばせるだけの力。
相手の戦力差を見誤ったアジ・ダハーカとバハムートは、痛みに顔を歪めながらこの状況をどうしたものかと焦る。
相手は無傷で、こちらは満身創痍。
逃げるにしても、背中を見せれば死することは確実だ。
「ガハッ........糞が。あのデブ強すぎだろ」
「永年連れ添った頭を2つ失うとは思わなかった。クソッ、厄災級魔物として括られてはいるが、力の差があり過ぎる」
どう足掻いても勝ち目がない。
逃げるにも逃げられず、更には勝ち目もないとなればこの二体が苦虫を噛み潰したような顔をするのも無理はないだろう。
戦っても死。逃げても死。
この時点でアジ・ダハーカとバハムートに勝ち目はなかった。
「仕方がない。時間を稼げるだけ稼ごう。バハムート、君はやりたいことをやれ。ここからでもできるだろう?」
「........チッ、お前に借りを作る日が来るとはな。あの世で払ってやるよ」
「ハハハ。女神の輪廻の中で返せる借りがあるなら教えて欲しいけどね。さて、時間稼ぎの時間だ」
アジ・ダハーカはそう言うと、1本だけになった首を大きく振るって魔力が続く限り黒い閃光を放ち続ける。
友が少しでも復讐を果たす為、アジ・ダハーカはその全ての力を持って時間を稼ぐのだ。
「最後の抵抗か。儂が防ぐぞ」
「ありがとうウロちゃん。ところで、あのクソ野郎は何やってるんだろう?私達に敵意を向けていると言うよりは、遠い何かを見ているように見えるけど........」
アジ・ダハーカの攻撃をさも当然のように空間を捻じ曲げて軌道を変えるウロボロスに守られるアスピドケロンは、こちらを全く気にしないバハムートに目を向ける。
バハムートは、持てるだけの全てを使って、ここから遠く離れた合衆国を消すつもりなのだが、過去にバハムートが合衆国と戦ったことがあるということを知らない2人には、その動きが理解できなかった。
だからこそ、対応が遅れる。
一気に強大に膨れ上がった魔力。
魂すらも削って生み出した魔力を使い、バハムートは生涯最後の一撃を世界に残す。
「........?!いかん!!あやつ、儂らを殺すのではなく人々を殺す気だ!!止めろ!!」
「そう言えば、この世界の人類を滅ぼすことが彼らの目的だって団長さんが言っていたね。させないよ」
「邪魔はさせん!!」
バハムートの目的に気づいたウロボロスは、アスピドケロンにバハムートを止めさせようとするが、アジ・ダハーカの抵抗と気づくのが遅れたことにより最後の一撃を許してしまう。
「滅びろ。クソッタレの人間共」
バキッ!!
と地面が割れたと思ったその瞬間、大陸は七つに分断され世界は割れる。
自身の魂すらも削った一撃は合衆国だけではなく、獣王国やその他大国にまで被害を及ぼし、わずか一撃で現在のこの世界に存在する人類の五分の一を消し去る。
その中にはバハムートが憎くてたまらない“聖刻”も含まれており、国を代表するミスリル級冒険者は、厄災級魔物と戦うこと無く殺された。
「吹き飛べ!!」
その直後に、アスピドケロンが口から魔力をかき集めた光線を発射。
その光線は2体の厄災級魔物を巻き込み、地理も残さず消え去る。
かつて、あまたの国を滅ぼした絶望の一撃が厄災を振り払ったのだ。
「チッ........やられたな。団長殿に怒られそうで怖いわ」
「あちゃー、こりゃヤバいね。マジヤバって感じ?」
全てが消え去った跡地にて、ウロボロスとアスピドケロンが見た光景は悲惨なものだった。
地面が破壊され、地平線の彼方まで地割れが続いている。
特に、合衆国方面には数多くの地割れが伸びており、どう見ても合衆国が無事では無いことが分かる。
「まぁ、人類全てを殺されるよりかはマシだったという事にしておくか。最初から全て守れるとは思っておらんしな」
「切り替えマジ早だねぇ。でも、しょうがないと言えばしょうがないのかな?」
二体はそう言うと、世界が静かになるまで世界の音を聞き続けるのだった。
その日、七大国の一つ“合衆国”が滅んだ。何が起きたのかは分からない。地面が揺れたと思った矢先、全てが消え去ったのだから。私は運が良かったのか生き残ったが、合衆国のほぼ全ての人々は死んでしまった。かつての栄光は既になく、この国も他の国と同じく無き亡国として後世に語り継がれるだろう。この文を拾った者よ。人々の記憶から消し去られるであろうこの国を語り継いでくれる事を願う。“一日にして滅んだ大国達:序章”より
滅びのバーストストリーム?えぇ、私も書いてて思いましたよ‼︎
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