第二十八話
そして僕たちの顔を見ながら、聞いた。
「それで良いか?」
僕たちは、
「それでなぜ、明日の朝かというと、それまでには『
「何? 『重』が直る?!」
「本当ですか、美玖さん?!」
「ああ、本郷翁の話だと二日くらいかかるそうだ。だから今日の夜か、明日の朝には直るそうだ……」
重助さんと市之進さんは、喜んだ表情になった。
「ふん。『重』を使いこなせるのは、
「『音』か、なつかしいなあ……。それに『音』には
そして美玖さんは、説明を続けた。
「よし。それで今日は何をするかだが……。簡単に言うと私が、重助と誠兵衛に
市之新は、疲れた表情をした。
なので重助さんと僕は、
「け、稽古って実戦稽古、千回ですか?!」
「ぼ、僕は仮にも美玖さんに勝ったので、もういいかなと思うんですが……」
すると美玖さんは、は言い切った。
「いや、実戦稽古、千回は時間がかかる。今日は一人に付き一刻(およそ二時間)稽古を付けようと思う。どうだ、二人とも?」
一刻の稽古……。それも相当きついな、と思ったが、もちろん美玖さんには逆らえず僕たちは頷いた。
そして美玖さんは、気合が入った表情で告げた。
「よし。一人目は重助で二人目が誠兵衛だ。重助、
重助さんが竹刀を持つと、美玖さんも竹刀を持って重助さんと向かい合った。
「かかってこい、重助!」
「はい、お願いします!」
重助さんは、
面!
すると美玖さんは、軽々と
「ふむ、速くなったな、重助。昔は
「当たり前です! これでも毎日、自分で稽古をしているんですから!」
「うむ、そうか……。よし、それでは今度は私から行くぞ!」
一刻後。重助は、ぼろぼろになった。
「あ、あ、あ、ありがとうございました。み。美玖さん……」
「うむ、ありがとうございました」
すると美玖さんは
「さて、次は
む、そうだ! 私は重助と市之進と誠兵衛が作った、いわしのつみれ
重助さんと僕は、答えた。
「やれやれ、しょうがない。作りますよ、美玖さんの頼みなら」
「僕も同じです。作らせていただきます!」
そして市之新さんを加えた僕たち三人は、台所で調理を始めた。市之新さんが、
「それでは重助さんは、野菜を切っていただきます。誠兵衛君は、つみれを作ってもらいます。僕が、いわしをすりつぶすので。では、お願いします」
重助さんがぼやくと、僕は取りあえずなだめた。
「やれやれ。今になっても料理を作らにゃ、ならんとは……」
「ま、久しぶりなんで、逆に
「どんな逆だよ?! と
「ふふっ」と顔を見合わせた僕と市之進さんは、つみれを作り始めた。
僕がふと台所の外を見ると、僕たちの様子を見ていた美玖さんが満足そうな表情で、台所から離れていった。
そして、いわしのつみれ鍋が出来た。美玖は両手を合わせた。
「それでは、いただきます!」
食堂に集まった全員も、続いた。
「いただきます!」
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