第五話
「さあ、『
だが俺は、
「何、言ってやがる、勝負はこれからだ!」
「
「ああ、確かにお前はつええ。だが勝負は、こうじゃねえと面白くねえ! 自分より強い相手を倒す、これが勝負の
そして俺は自分の中に、力が
市之進は再び、
「
ならばと俺も、居合術の構えを取った。
「よく見ていろよ、市之進! 高速の居合術を使えるのは、お前だけじゃねえってことを見せてやるぜ!」
市之進は、少し驚いた表情になった。
「な、君も居合術を使えるのか?」
「ああ、もちろん
俺はまず、腰を左に
「それじゃあ
俺は体中の『ため』を一気に開放して、光速の居合術を放った。
鞘から飛び出した『血啜り』は、まばゆい光を放っていた。『血啜り』が光の速さで
市之進は、目を
「ば、
そして、左ひざを地面に着けた。腹部から血が、じわりと出てきた。
俺は市之進に、降参しろと説得した。この光速の軌跡という技を使った後は体中の力が抜けて、しばらく体を動かせない。なので俺は後ろに倒れこみ、そのまま大の字になった。
市之進は左ひざをついたまま、聞いてきた。
「手を抜いたな、
俺は、すがすがしい気分で告げた。
「お前を殺す必要は無い。お前は、
すると市之進は、
「ははっ、そうだったね……。そうか分かった、降参するよ。あんなにすごい技を見せられたから、もう勝負する気が無くなっちゃったよ」
そして市之進は、話し続けた。
「強くなったね誠兵衛君、本当に……。たくさん修行したんだろうねえ……」
大の字になったまま、俺は答えた。
「ああ、俺にはこれしか、沖石道場で
「僕たちを道場に引き取ってくれた、沖石
俺は、「ああ、もちろん」と答えた。そして市之進の話によると、宗太郎先生は亡くなって娘の
そして市之進は、顔を
以前、四刀は江戸で最強だった。そのため本郷翁は妖刀を託すのは元四刀の四人がふさわしいと、考えたのだろう。そして美玖は四刀の中で最強の、
俺はいずれ、その美玖さんと戦わなけらばならないのかと考えると、気が
「はあ、やだなあ、俺。苦手なんだよなあ、あの人。確かに美人だよ、あの人。で、普段は優しいよ、すごく。ああ、本当の姉ちゃんって、こんな風だろうなあって思うほど。
でも剣術のことになると鬼になっていたもん。宗太郎のおっさんよりも怖かったもん」
「ははっ、そうだったねえ。宗太郎先生も『沖石道場の将来は
「まったく、そんなもん押さなくてもいいのに。そんなことを言われたから
「そうだろうなあ、きっとそうだったんだろうなあ……」
俺は少し昔を、思い出した。美玖さんは、料理は
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