第十話
「そ、その声はまさか……」
重助の後ろに、
「重助……。あこぎな
「じ、実戦稽古、千回?! そ、そんな……。し、死ぬ。そんなことしたら死ぬ……」
重助の
そして女は、俺に聞いてきた。
「どうした、
俺は恐怖で直立不動になり、言い放った。
「お久りぶりです!
すると美玖は、少し
「ほう、やれば出来るじゃないか。まあいい。お前も稽古をつけてもらいたかったら、いつでも道場にこい……」
「い、いや、それは……」
「何だ? 嫌なのか? 私に稽古をつけてもらうのが、そんなに嫌なのか?」
俺は美玖さんの、切れ長の鋭い目に
それが一番怖いことは、
「何だ? どうした? ぼーっとして?」
「い、いえ、何でもありません! 近いうちに、必ず道場に
美玖は氷のような冷静な声で、「うむ、それでいい。だがその前に、やることがあるようだな……」と答え、重助が握っている『
「誠兵衛の『
それを見た重助は、「ひいいいい!」と情けない声を上げて、そこから立ち去った。
美玖さんは、その背中に声をかけた。
「おーい、後でちゃんと道場にこいよー! 全く、あれが元四刀の二番刀とは
俺は、直立不動のまま答えた。
「はい! 全く、その通りです!」
「うむ。ところで、お前は
「はい、
「うむ。『血啜り』とやらを、私にも見せてみろ」
「はい!」と俺は抜刀し、その
「なるほど、まさに血のように赤いな……。どれ、私が持つ最強の妖刀『
俺は『極み』のあまりの神々しさに、
「つまり残った妖刀は『極み』と『血啜り』のみ。さあ、どちらが一番強い妖刀なのか、今、ここではっきりさせよう!」
その言葉に俺、は
そんな俺に、美玖さんは言い放った。
「どうした誠兵衛? あまり女を待たせるものではないぞ」
俺は心の中で、思い切り
身動き一つしない俺に美玖は、しびれを切らした。
「お前がこないのなら、こっちから行くぞ……」
「え? ちょっと待っ……」と次の瞬間、俺の目の前に美玖さんが現れた。
は、速い!
美玖さんは取りあえず『極み』を左から右へ、水平に
薙ぎ払い!
かろうじて俺は『血啜り』を右に構え、防御の形を取った。しかし俺は薙ぎ払いを
くっ、壁などに当たる瞬間、後頭部を打たないように頭を前方に丸め、手が空いていたら壁に打ち付けて
そのため俺は後頭部と背中に、もろに衝撃を喰らった。次の瞬間、再び美玖さんが現れた。今度は
突き!
俺は軽い脳震とうを振り切り、かろうじて体を
おいおい本当かよ! 刀でこんなことが出来んの? 見たことも聞いたことも無いんですけど!
「どうした? 逃げてばかりいては、私には勝てないぞ……」
いやいや、ありませんから! あんたに勝とうなんて気持ち、これっぽっちもありませんから!
「はあ……」とため息をついた後、美玖さんは言い放った。
「市之進と重助に勝ったといっても、この
死ねって言っちゃってますけど! 殺す気、
美玖さんを見ていると、体を捻り『ため』を作っているようだ。一体、何をする気だ?……。
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