第九話
俺は暗闇の中から
俺は思わず、
「重助……。どうしてあんたが、こんな所に……」
「ふん、どうしてだと?
今夜、
俺はそれを聞いて、
「仕事って何をするか、分かっているのか?! 金を返せなくなった人たちを売ったり、最低な桝田や椎上を守ったりするんだぞ?!」
重助は冷静な表情で、答えた。
「もちろん、そんなことは分かっている……。
「くっ、そんなに金が大事かよ?!」
そして重助は世に中、金が全てだ。だから学んだ剣術を生かして、金を
俺は再び、憤った。確かに、金は大事だ。だが世の中には、金よりも大事なモノがあるはずだ。重助なら、それを分かってくれると思ったからだ。
「こんな最低の奴らの、用心棒にならなくてもいいだろ?!」
重助は、月明かりの下に出てきた。全てを吸い込みそうな、
「ふん、ならば刀で
「ああ、見せてやるよ。俺の正義を!」
すると再び
「
「ああ、分かった。それよりもお前は大丈夫か?!」
「あまり、大丈夫じゃない……。右のろっ
「ちっ、重症じゃねえか! 早く長屋へ戻って、おゆうに医者を呼んでもらえ!」
「くっ、すまない……」と市之進は、屋敷から出て行った。
戦いが始まると俺は重助を、
「さあ、始めるか、重助さんよお。かかってこいよ! じゃねえと、こっちから行くぜ!」
重助は、せせら笑った。
「ふん、元四刀の
「へ、それはやってみねえと、分からねえぜ!」と、俺は斬りかかった。
しかし重助は、
「ふん、確かに速く、重くなったようだな……。だったら見せてやろう、この
俺はそれを、『血啜り』で
「へ、おせえぜ! こんな攻撃!」
しかし『重』を受けた瞬間に、頭に
俺は、
「な、何?! か、体が動かない?!」
「くくく、どうだ、体の動きを封じる重撃は? まさにイノシシの
身動きができない俺は、
重撃!
くっ、駄目だ、攻撃をまともに喰らって、体が動かせねえ……。『血啜り』で受けるしかねえ! だが『血啜り』で攻撃を受けた瞬間、再び脳震とうを起こした。そして動けなくなった。
くそっ。俺は再び、連続攻撃を喰らった。くっ、
すると重助の、むかつく声が聞こえてきた。
「ごはははは、これで終わりだ!」
重撃!
くそっ、『血啜り』で受けるのは駄目だ。また脳震とうを起こす。何とかかわさねえと。だから俺は、体を思い切り
重助は『重』を、上段に構えた。
「ふん、かわしたか? だが
その時、俺は気づいた。うん?! 攻撃を受けなかったから、体が少し動くようになった。とにかく距離を取らねえと! 俺は中段の構えのまま、足さばきだけで重助と距離を取った。
重助は、せせら笑った。
「くくく、距離を取ってどうする? 確かに重撃は喰らわないが、お前も儂に攻撃できまい……」
くっ、確かにそうだ……。駄目だ、俺も市之進のように負けるのか?……、うん?
市之進? おお、そうだ、これならいけるかも知れねえ! 市之進は『
俺は『血啜り』を
重助は再び、せせら笑った。
「ごはははは、居合術だと? この距離で? 何を考えている?……」
俺は、
「うるせえ! 喰らってから笑ってみろ!」
「ごはははは! こんなに距離がある居合術に、何の効果がある?」
「くそっ、
だがまたしても、ただの居合術になった。
「ごははは、気でも違ったか?!」
「うるせえ! くそっ、もっと
「さあ、
俺はついに、イラついてキレた。
「うるせえって、言ってんだろ! 今度こそ出ろ、衝撃波……」
音波!
いいいいんんんん!
「ふん、つくづく
「ぐはあ!」
俺は、
「やったぜ! できたぜ、音波!
音波、音波 音波!
「ぐ、ぐ、ぐはあ!」と重助は、衝撃波の連続攻撃を喰らった。
「
重助は、
「く、くそお!
「ふん、妙な技はお互い様だろ?」
音波、音波 音波!
「ぐ、ぐ、ぐはああああ!」と重助は、前のめりに倒れた。
そこまで近づいて俺は、冷静に
重助は、必死の表情で
「た、助けてくれ、見逃してくれ! 金ならある! 桝田からもらった
俺は、冷静に答えた。
「そりゃあ、
今、欲しいのは、重助さんよお、あんたの命だ……」
「そ、そんなあ! た、助けてくれえ!」
「じゃあな、重助さん……」と俺が『血啜り』を振り下ろそうとした時、屋敷中に
「そこまでだ、誠兵衛!」
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