第31話
☆☆☆
3人で手分けをして調べて見た結果、エレベーター内の事故は3件に絞られた。
1つ目はエレベーターの故障により機能が停止し、その時に閉じ込められた生徒がいること。
しかしこの生徒はすぐに助け出されていて、命に別状もなかったようだ。
2つ目は扉に挟まれる事故だった。
車いすを使っていた生徒が車輪を挟んでしまったらしいが、こちらも無傷だったようだ。
3つ目は……。
足が悪く、エレベーターを利用していた女子生徒が運悪く箱の中で心臓発作を起こしてしまった事故だったのだ。
少女は箱の中で誰にも見つかることなく、息を引き取ったらしい。
あたしは3つ目の記事を何度も読み直して充弘を見た。
「この事故が一番関係ありそうだな」
「そうだね」
あたしは頷き、その記事を写真に収めた。
亡くなった少女の名前は末永咲子(スエナガ サキコ)さん。
当時16歳だったようだ。
あたしを脅かしている存在は咲子さんなんだろうか?
エレベーター内に現れる影には顔がなく、男女の判断はつかない。
しかし、あの『助けて』という声は女性で間違いないような気がしていた。
これで、一歩真相に近づけた気がする。
「清田先生、ありがとうございました!」
そう言うと、清田先生は少しだけ右手を上げてみせたのだった。
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