第4話 プールの回

 それは暇な休日であった。ベッドでゴロゴロと携帯をいじっていたら、姫葉からメールが届く。


『プールのタダ券が手に入ったの一緒に行かない?』


 突然の誘いである。基本、姫葉は自分が中心になって地球が回っている感覚だ。


 うーん……。


 屋内の温水プールで場所は電車で三十分だ。急に言われても水着など一着しかない。フリルワンピースであった。


 さて、どうしよう……。


 クローゼットの奥から水着を取り出す。わたしは試しに着てみるが小さく感じる。肥ったか?イヤ、成長と判断しよう。最近は身長が伸びるのが止まった気がするが深く考えるのはやめよう。なんか、タダ券でプールに行く事を前提に考えているな。


 どうしたものかと首を傾げていると。姫葉からメールが届く。


『この格好で大丈夫かな?』


 添付されていたのは眼鏡をかけたスクール水着姿の姫葉である。しかし、歌姫のオーラが出ているので極めて大胆に感じる。


 エロいな……。


 一般ピープルのわたしとは違うと改めて思い知らされた。姫葉の場合は何を着ても同じなら確かにスクール水着もありだ。わたしは行くとの返事を返して駅に向かう事にした。待ち合わせで十五分程待つと姫葉が現れる。


「えへへへ、デートだね」


 いくら女子校で出会いが無いとはいえそれは無いだろう。


「アホな事言ってないで電車に乗るぞ」


 今日の姫葉は少し砕けた感じであった。プールはと恐ろしい魔力を秘めた場所である。


 目的のプールにたどり着くと早速にして女子更衣室に入る。あれ?さっきまで一緒にいた姫葉がいない。トイレにでも行ったのかな。まあ、良い、わたしはフリルワンピースに着替える。更衣室から出ると姫葉が待っていた。その格好は大胆なビキニであった。


「あれ?スクール水着ではないの?」

「ふ~あれは目だっていけない」


 確かにそうだろうな。世の中なにが正しくてなにが間違っているのか難しいのである。


 さて、泳ぐか……。


 完全に娯楽モードである。姫葉はベンチに座りまったりとしている。


「お姉ちゃん、遊んで」


 何処からか幼女が寄って来てナンパされている姫葉であった。これはいったい……普通は獣の様な野郎だろ。ナンパされるのはお約束ではあるが幼女か……。困っている姫葉を助けねば。わたしは姫葉の手を引きプールの中に連れこむ。


「あわわわ、わたし泳げないのよ」

「大丈夫、足がつくから」


 仕方がない、ここはゆっくりと歩いて上がろう。プールのはじにたどり着くと姫葉は安心した様子であった。それから帰りの電車の中で隣に座った姫葉が疲れたのか寄りかかってくる。


 それも良かろう。そんな一日であった。


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