第20話 ドブスは……

城君とはタイプが違うイケメンの弁田君。城君より少し背が低くがっしりしてる。そんな人と一緒に登校してるものだから……


「ちょっと、何でブス香が弁田君と歩いてんのよ」

「まさか九狼君から乗り換えたとか?」

「一体どんな手を使ったら……」

「罰ゲームじゃん?」

「絶対そうよ!」

「じゃ、じゃあ九狼君に聞いてみようよ!」

「九狼君は入院してるよ……」

「じゃ、じゃあ弁田君に……」


当然こうなるよね。無視しておいてくれたらいいのに。


「弁田君おはよう。み、御前さんもおはよう……」


「おう。」


「おはよう。」


この人は確かバスケ部のマネージャーさんだったかな。


「今日はどうしたの? 御前さんと一緒だなんて九狼君に怒られちゃうよ?」


「訳ありだ。ほっとけ。」


説明してあげればいいのに。


「そ、そうなんだ……じゃあ先に行くね……」


「おう。」


彼女の目はまるで『九狼君が怪我をしたら次は弁田君に手を出すのか』と言いたそうだった。好き好んで私に近寄る男性なんかいるはずないし、私が誘惑したとして乗ってくる男性も絶対いない。



弁田君の1m後ろを歩く私。どちらも無言、気楽で助かる。


「1学期の間は朝だけ一緒に行く。いいな?」


「うん、いいよ。」


もうすぐ夏休みだしね。それで城君が安心するのなら。



学校に到着。机が無事だといいな。


「待て、ちょっと部室に来い。城に渡して欲しいものがある。」


「いいよ。何?」


「トレーニング器具だ。重いもんじゃない。」


「うん、分かった。」


バスケ部の部室。もちろん行ったことなんかない。どんな所なんだろう。




「ここだ。」


「うん。」


弁田君について中に入ると……


「いらっしゃーい」

「よぉーこそ」

「朝からドブスかよ。最悪だぜ」

「俺が言ったことがホントだったらお前ら5000円ずつ出せよ!」


こいつらは……


「弁田くっ……」


ふと見ると部室のドアを閉め、鍵をかけている弁田君の姿が。いつの間に後ろに……動きが早い。


「よおブス香。お前この前言ったよな? 男なら力尽くで脱がせてみろってなぁ?」

「喜べよ。俺らが脱がしてやるぜ? サービスいいだろ?」

「嫌々だけどなぁ? それもこれも将来への投資ってやつですかぁ?」

「ほぉらよぉ!」


くっ、シャツのボタンを引きちぎられた。


「私なんか襲ってどうするの? そんなに飢えてるの?」


「ギャーッハッハッハ! 飢えてんのはブス香だろ! だから俺らが相手してやんぜ!」

「へぇ? ドブスのくせにキレーな肌してんじゃん! 高そうなブラ付けてやがんなぁ!」

「ほぉらどうした? 逃げてみろよ! 無理だけどなぁ!」

「どうだお前ら! 俺の目に狂いはねぇだろうが! 1人5000払えよな!」


シャツを脱がされブラジャーも奪われた。


「弁田君は城君の親友じゃなかったんだね。」


「こんな時に何言ってんだよ? 脱がして終わりとでも思ってんのか!?」

「こいつマジいい身体してんじゃん! 顔に袋かぶせてやっちまおうぜ!」

「多田、お前……レベル高えな……俺は無理だぞ。撮影係やってやるよ」

「抵抗してねえじゃん! 期待してんだろ? しょうがねーな。じっくりかわいがってやろうぜ!」


抵抗? 体育科の男の子が5人もいる狭い部屋。1人や2人ならともかく私に勝ち目がないことぐらい分かる。だから抵抗はしない。こんな時、胸や局部を隠そうとするのは無駄だからやめろとママから聞いている。毅然と、余裕な態度で対処しろと。私の対処はすでに終わっている。ヘアピンを外し手の中で折り曲げたこと、ただそれだけ。後は時間を稼ぐだけ。


「よーし、いよいよスカートだな。どうせ汚えパンツはいてんだろうぜ?」

「いや、この高そうなブラの感じからすると結構いいやつ履いてんじゃね?」

「撮影中ー。ほーれブス香、ピースしてみ?」

「誰からいく? 弁田もやるか?」


「やらん!」


「弁田君……なぜこんなことを……?」


無言でドアの前から動かない弁田君。


「おいおーい梶原ぁ、無茶言うもんじゃねぇぜ。誰が好き好んでブス香なんかやるかよー。弁田だって嫌に決まってんだろぉ?」

「とりあえず脱がしてから考えようぜ? 顔に袋かぶせりゃマジいけるって!」

「ギャハァ! 多田マジレベル高ぇ! はーい撮影ちゅーう。ほれほれ、早く脱がせろよ!」

「天野ぉ、しっかり撮っとけよ! おぅらよぉ!」


ついにスカートまで剥ぎ取られた。なのに不思議な気分。こんな姿を男の子達に見られているのに少しも恥ずかしくない。ああ、そういえばママが言ってたっけ。あなたは猿に着替えを見られて恥ずかしいの? って。そうか、この子達は猿なんだ。


「かぁー! 高そうなパンツ履いてやがんぜ! ほれ、多田ぁ脱がせてやれよ?」

「おうよ。任せとけ。ほぉーらブス香、そのまま大人しくしとけよ?」


多田と呼ばれる男の子が私の前に身をかがめ、パンツにゆっくりと手をかけた。馬鹿じゃないのか?


「ひゅっぎゅぬっ」


その男の子は変な声を出して倒れた。喉に膝蹴りをしたから。あんなに無防備な姿を見せられたから、つい蹴ってしまった。

間髪入れずスマホで撮影している男の子の股間も蹴り上げた。天野だったか?


「あっばぉっがぁぉ……」


隙だらけなんだから当然だ。。残り3人。もしかして勝てるかも……


「きゃっ!」


後ろから羽交い締めにされた。弁田君か。


「余裕かましてるからそうなるんだ。さっさとやれ!」


「お、おう、そのまま持っとけよ!」

「おーし袋、袋は……あったぜ!」


くっ、頭からコンビニ袋をかぶせられた。しかも顎の下で結んでいる。


「おっ、おい梶原……こりゃマジで……」

「だろ? 最高の体してんだろ? 俺からだからな! おい弁田、ブス香を床に押さえつけてな!」


「ああ……」


背中に冷たく固い感触がある。まだパンツは脱がされていない。弁田君の力はかなり強く解くことができない。上から二の腕を押さえつけられている。今の私に動かせるのは脚だけ。


「おう、早くやれよ。次ぁ俺なんだからな!」

「佐々木ぁ撮影な。しっかり撮っておいてくれよぉ?」


どうせなら……初めては城君がよかったな。でもまだだ。息は苦しくても足が動くうちは抵抗してやる。


「よーし、待たせたな。やっとお前を全裸に剥いてやんぜ? 嬉しいだろ? どうせ一生誰も見たがらねーんだからよ!」

「うひょー顔が見えねーからまるで超美人だぜ! でけぇチチしやがって! こりゃたまんねーな!」


せめてどちらか1人は全力で蹴る。絶対諦めない……


「おい、こいつの足には注意しとけよ。」


なっ、弁田君……

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