第31話 おい、ダンジョンって壊れ無い設定になってるんじゃ無いのか。

「『爆散』。」

その一言で一気に魔力が暴走し始めた。あれ?俺らにも当たるんじゃねぇの……?


「やべぇ!逃げるぞ!」

俺はミーヤとシェイラさんを担いで階段を駆け下りた。


絶対巻き込まれたらヤベェ…。それだけは絶対に分かる。

「ムゥゥゥ!ズルイよ!ギル兄ボクも!」

「我慢しろ!」

なんでこんなにマイペースでいられるんだ?


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SIDE:堕天


「ふむ、流石にこの質量には勝てなかったようだな。」

「………。」

「まぁ仕方のない事だ。我輩に勝とうなど、そうそう叶うことではないからな。」

「うるさいわね……!やってみなくちゃわからないでしょ!」

「まぁそうだな……ちゃんとお前にも勝機はある。まだ可能性としてだが。それに気づきチャンスを活かすか、気づかずに無様に負けるか。さぁ!やってみろ!」

「その上から目線やめなさいっ!」

私は氷術を展開し、一気に薙ぎ払う。


「これで少しは効いたんじゃない…?」

「あぁ……やはりヌルい…。まだまだ弱すぎる。もっとだ…もっと火力を上げろ。一気に解き放て!隠してないで早く見せろ!」

隠してはない。今はその準備をしているだけだ。


「これならどう‼︎」

「おっ?」

一度当たれば他の物に反応し、連鎖的に攻撃する物。それに加えこの質量。当たらなくとも少しはダメージが入るはずだ。

「うむ、いい発想だが…。もったいない。」

「なっ!確かに当たったはず…。」

「うむ。恐らくこの内の一つに媒体がいるのだろうが…それを潰されれば終わってしまう。確かに設定ミスで魔力を消費しすぎるのは怖い。だが、何事もやってみなくては、前には進めん。我輩は以前、ある者にそれを教わった。」

「チッ。綺麗ごとね、所詮はその程度ってことかしら。」


残り…5分…。

5分持ち堪えれば私の勝ち、持ち堪えられなければ私の負けってことね…。


「む……フハ!そう言う事か…ならばこちらも全力で行かねばならんなぁ。」

「⁉︎」

気付かれたの⁉︎だとしたらマズイ…!文字通り…あいつが本気で来たら……いや、あの方のためだ。我が身、燃やし尽くそうじゃない…!上等よ!やってやるわ!


「はぁっ!」

さっき出した能力以外にも、持っている能力は色々ある。

仮にも天使だった身だ。やろうと思えば


私は黒い羽を使って空へ飛んだ。

「食らいなさい!」

氷結の他に、私は火炎系統の魔法が使える。これらを上手く使って、

「5分くらい、耐えてやろうじゃないの!」

「5分も待たずに消してやろう!『ニコラス・テラ・ケイラス』!」


とんでもない量の槍が、虚空から登場する。


「なっ!やっぱり魔力お化けね!」

「はっはっは!褒め言葉だ…なっ!」

振りかぶる素振りをすると、一斉にその槍が、私の方に向かってきた。


残っている氷塊で対応するが、

「数が足りないわね……。クッ!」

いくつか体をかすめていく。だがここで魔力を消費するのは不味い。なら!


「ヤァァァァ!」

「ほう!今のを防御せず、生身で受け止めるか!面白い!」

「こっちは一杯一杯よ!」


残り、二分。


「うああああああああああ!!」

「フハハハハハハ!」

力と力のぶつかりあい。ダンジョンの壁は見るも無惨な形になってしまっていた。


「我輩の体がここまで干渉を受けたのはお前が初めてだ!ハハハハハハハ!愉快愉快!」

使うなら今しかない!

「『カイザーフレイム』!」

「何っ⁉︎」

極端に冷えたものに対し、極端に熱いものを当てると壊れやすくなる。この性質を、利用すればいくらこいつでも時間稼ぎにはなる!


「ぐっ!」

「っはぁ……。」


残り、1分。


「成程…かなり痛いな…。これは…だが、対抗策を考えれば問題はない。そうだろう?」

「どうかしら?少なくとも、あと一分しかないんだけど?」

「ふむ、後1分もあるのか。なら今仕留めれば万事解決、となるわけだな。」


……ほんとに覚悟を決めなきゃやられるわね。これ。

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